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2014年12月29日 (月)

朔旦(さくたん)冬至

★ちょっと時期が遅れましたが。今年の冬至について。
朝日新聞の記事から引用

冬至の東京、長い影 19年に1度のめでたい日(2014年12月22日)
 22日は、太陽の高さが1年で最も低い冬至。・・・
 ・・・
 今年は19年に一度、冬至と新月が重なる「朔旦(さくたん)冬至」。この日を境に日照時間は延び始め、月も再び満ちていくため、古くから縁起の良い日とされる。

さく‐たん【朔旦】
ついたちのあさ。
さくたん‐とうじ【朔旦冬至】
陰暦11月1日が冬至に当たる日。ほぼ19年に一度のことで、これを吉日として、公卿は賀表を奉り、天皇は紫宸殿に出御して祝った。これを「朔旦冬至の旬(しゅん)」という。後日、豊明節会(とよのあかりのせちえ)に朔旦叙位・恩赦を行う。
   広辞苑第六版より引用

なんだかやたらと「めでたい」日だったようです。でも
「この日を境に日照時間は延び始め、月も再び満ちていくため」という理由付けは、ちょっとなぁ。
前半は冬至、後半は朔の通常のこと。
それが19年に1回重なる、というところが「縁起がいい」というのではないですか?
それと、おそらく、暦をきちんと管理できるというのは昔の「権力」にとって大事なことだったと思うんですね。
「朔旦冬至」を暦に掲げて、それがちゃんと起こる、ということはおそらくある種の権力基盤の支えみたいなものではなかっただろうか?と、想像をたくましくします。

★ところで「19年に一度」というのが気になる。
前にも引用したサイトです。
https://www.rikanenpyo.jp/kaisetsu/koyomi/koyomi_014.html

古くから 19 太陽年と 235 朔望月は、ほぼ等しいことがわかっていたので、太陰太陽暦では閏月を 19 年に 7 回入れて太陰暦のような大きな季節のずれが生じないように運用された。

19太陽年は  365.2422日×19 =6939.60日、
235朔望月は  29.53059日×235=6939.69日
{筆者注:19×12=228ですので19年に7回の閏月を入れると、235になります。}

 このようにすれば、長い間に太陰太陽暦と季節とのずれが蓄積していくことはなくなる。それでも閏月を入れる時には、月日と季節の関係が 30 日ほどずれていることになるので、月日とは別に季節の目安となるものが必要になった。

二十四節気(にじゅうしせっき)は太陽の動きを基に、太陰太陽暦の季節の目安として設けられた。

 二十四節気の決め方には、 1 年の時間を 24 等分して決める恒気法 (平気法)と、現在のように 1 年の太陽の黄道上の動き(視黄経)を 15 度ごとに 24 等分して決める定気法がある。

天保暦では、定気法を採用し、太陽の実際の動きに対応したものになった。
定気法では中気を二つ含む月が存在しうるので、天保暦では二至二分を含む月は 2 月、 5 月、 8 月、 11 月と決め、中気の含まれない月に閏月を置くこととした。

★さて、「中気」というのは、二十四節気を一つおきにとった太陽の位置の30度ずつの分点です。ですから12あります。
雨水・春分(2月)・穀雨・小満・夏至(5月)・大暑・処暑・秋分(8月)・霜降・小雪・冬至(11月)・大寒
こうです。
これは年に12回で規則正しい。
ところが朔望月は29.53059日なので、年に12回か13回。

★おそらくはちょっと目新しいだろうという考え方をしてみたいと思います。
物理的な「振動数」になぞらえて、音の「うなり」のような考察をしてみましょう。

中気による1年に12回という振動数を「fs(sunによる振動数)」とします。(回/年ですから、次元は1/時間になり、振動数の次元です。)
朔望月は
365.2422/29.53059=12.368266
ですので、1年に「12.368266」回の振動と考えます。これを「fm(moonによる振動数)」としましょう。
fsとfmはとても近い。
振動数がわずかに異なる二つの正弦波の振動を重ねると何が起こるでしょうか?
高校で物理をとった方は「あれ、それって音の『うなり』の話じゃない?」と気づくでしょう。
Unari
三角関数の和の公式を使いますと、上の式のように、2つのサインカーブの和を、サインとコサインの積で表せます。
サインの項は二つの振動の平均の振動数での振動を表し、コサインの項は振幅の変動を表すことになります。

物理をとっていなくても。日常感覚での事例。
自動車に乗っていて、ウィンカーを出して止まっている。前の車もウィンカーを出している。
ウィンカーの点滅周期は、全く同じということは稀ですが、結構近い。そうすると、自分の車のウィンカーの点滅と前の車のウィンカーの点滅が、ある時ほとんど完全に同期し、またずれていって、今度は完全に反転し、またずれていって同期する、ということが繰り返されます。お気づきでしたでしょうか。
二つの周期が近いほど、ある同期から次の同期までの時間は長くなります。

音の場合だと、振動数の差がn(Hz)だと、1秒間にn回のうなりが聞こえます。
除夜の鐘はうなりますね。今回はぜひ、1回のうなりに何秒かかるか大雑把に観察してみてください。1秒に1回うなったら、鐘の異なる部分から出るご~んという二つの音が1Hzずれていることがわかります。2秒に1回なら、0.5Hzの差です。

さて、fsとfmの話に戻りましょう。
音じゃないですけれど、周期的出来事が二つあって、その周期・振動数が近いとき、一度重なってから、次に重なるまでの時間が長くなります。
この場合、fsで繰り返される「中気(冬至)」と、fmで繰り返される「朔」が一回一致してから次に一致するまでの期間は長い、という話になりますね。

★↓こんなプログラムを書いてみました。
DECLARE EXTERNAL FUNCTION ys
DECLARE EXTERNAL FUNCTION ym

LET left = -1
LET right = 20
LET bottom = -3
LET top = 3

SET WINDOW left, right, bottom, top
DRAW GRID

FOR t=left TO right STEP 0.0001
   PLOT LINES : t, ys(t) + ym(t);
   !PLOT LINES : t, 2*COS(2*3.1415*((12.0-12.368266)/2)*t)
   !PLOT LINES : t, -2*COS(2*3.1415*((12.0-12.368266)/2)*t)
   !PLOT LINES : t, SIN(2*3.1415*((12.0+12.368266)/2)*t)
   !PLOT LINES : t, 2*COS(2*3.14159265*((12.0-12.368266)/2)*t)*SIN(2*3.14159265*((12.0+12.368266)/2)*t)
NEXT t

END
!*****************************
EXTERNAL FUNCTION ys(t)
LET fs=12.0
LET ys=SIN(2*3.1416*fs*t)
END FUNCTION
!*****************************
EXTERNAL FUNCTION ym(t)
!365.2422/29.53059=12.368266
LET fm=12.368
LET ym = SIN(2*3.1416*fm*t)
END FUNCTION
!*****************************
{いろいろ試した痕跡を消さずにおいてあります。私が何をしたか、読み取れるかもしれません。}
結果はこうなりました。
Sakutan
グラフの左の方に、実線の縦軸があります。これが起点の「0」です。
点線の縦軸は1年ごとです。
Sakutan2
ごちゃごちゃしていますので、コサインの項だけ描いて、細かい振動を省いてみました。
このグラフで、振幅が大きい部分は、「中気」と「朔」が同期に近いことを意味します。
●「0ゼロ」で冬至と朔が一致しているとしましょう。
2.7年後、中気と朔が近づいて振幅が大きくなっていますが、これは冬至と近づいているのではないのです。1カ月ほどのずれが生じているのですね。そうなると、ある朔望月には中気が入らないという現象が生じ得ます。ずれてりゃいいんですけど、同期してくるとそういうことが起こる。ですから、中気のない月を閏月として挿入することになります。
そういう、閏月の挿入が必要となる中気と朔の同期がほぼ2.7年周期で生じます。
そして、7回目の同期の時=19年後に、冬至と朔のほぼ完全な一致が繰り返されることになります。
きちんと19という縦軸のところで最大振幅になっていますね。

◎ハイ!19年に一回、冬至と朔が一致するのです。


1朔望年=12.368266月=12+1/2.7154…
ですので、2.7年に1回の閏月で近似できるわけです。

★というわけで、周期的現象の重ね合わせとして暦の出来事「朔旦冬至」を考察してみました。
いかがでしたでしょうか。

*****************************
★閏月に関してはこのブログで2つ記事を書きました↓
http://yamada-kuebiko.cocolog-nifty.com/blog/2014/11/post-dc67.html
2014年11月 7日 (金)「閏九月:1」

http://yamada-kuebiko.cocolog-nifty.com/blog/2014/11/post-03f5.html
2014年11月 7日 (金)「閏九月:2」
●ぜひここをもう一回お読みください。エクセルシート上で、朔と中気がだんだん接近していって、旧歴10月1日と11月1日(=朔旦冬至)のところで完全一致している様子が見られます。この時は朔旦冬至を意識していなかったので、表がちょっと短いし、縮小しすぎて見づらいかとは思いますが、是非ご覧ください。わずかにずれた周期的出来事が同期していく様子が可視化できています。

NHKラジオの天気予報士・伊藤みゆきさんの「天気のヒミツ」↓です。よくまとまっています、お読みください。

http://wol.nikkeibp.co.jp/article/column/20141222/197322/?n_cid=nbpwol_else&rt=nocnt

12月22日は今年の冬至―19年に1度の新月&流れ星が見える可能性も(2014年12月22日)
 きょうは二十四節気の冬至です。
 冬至は昼の時間が最も短いころで、「暦では冬の真ん中」ですが「寒さはこれから」ということから、「冬至・冬なか・冬はじめ」という言葉もあります。
 ・・・
 そんな中で迎えた今年の「冬至」は、19年ぶりに「新月(旧暦11月1日)」と重なる特別な冬至です。これは、「朔旦冬至(さくたんとうじ)」とよばれます。
 月の満ち欠けで決まる「旧暦」の12カ月と現在の「太陽暦」の12カ月では、旧暦の方が約11日少なくなることから、周期的に「閏(うるう)月」を加えてズレを調整しています。この閏月を19年間に7回加えることで太陽暦とほぼ一致するため、月の満ち欠けの日付は19年ごとに揃うのです。
 今年は1月と3月に新月が2回あり、「19年ぶりに新月パワーがアップする」ことでスタートしました。そして最後の新月は、「19年ぶりに冬至と重なる」ことで1年の締めくくりとなります
 昼間の時間が最も短くなる冬至は、1年で1番太陽の力が弱いとされ、「これ以上陰が極まる日はない=これからは陽に転じる」という中国の易経から「一陽来福(悪いことが去り、良い方向に転じる)」という言葉と結びつけられています。また、ヨーロッパでも太陽復活の祭りが行われていたようです。
 ・・・

★私「うなり」が好きでして、理科おじさんの部屋で何度も扱っています。
関心がおありでしたらお読みください。結構オリジナリティーのあるものもあると思います。
http://homepage3.nifty.com/kuebiko/science/freestdy/Moire.htm
モアレ 空間的うなり または 「穴モアレ」

http://homepage3.nifty.com/kuebiko/science/freestdy/CrclMoir.htm
黒丸のモアレ(BASICプログラムによる)

http://homepage3.nifty.com/kuebiko/science/freestdy/VrnrBeat.htm
バーニア(副尺)とうなり
http://homepage3.nifty.com/kuebiko/science/freestdy/WCsub/vernier.htm
副尺の原理

http://homepage3.nifty.com/kuebiko/science/freestdy/NouUnari.htm
耳で聞くうなり、脳で聴くうなり

http://homepage3.nifty.com/kuebiko/science/freestdy/sum_diff.htm
正弦波(サインカーブ)の差もうなる

http://homepage3.nifty.com/kuebiko/science/118th/sci_118.htm
音のうなり(パソコンソフトを使って)。脳内うなり。空間うなり(1次元:クシの歯。2次元:穴あき鉄板)。バーニアの原理は空間うなり。

http://homepage3.nifty.com/kuebiko/science/119th/sci_119.htm
テルミンを作る。(テルミンは「うなり」を可聴音にした楽器。)

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