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2014年12月24日 (水)

√2 の話:その4(黄金長方形と白銀長方形を折り紙で作る)

http://yamada-kuebiko.cocolog-nifty.com/blog/2014/12/post-d389.html
2014年12月22日 (月)「√2の話:その3」
↑ここでお話しましたように、AとかBなどの系列の紙の場合、半分に折っても相似が保たれる、というのが条件で、そこから1:√2という白銀比が出てくるのでした。
辺の比が白銀比であるような長方形を「白銀長方形」とよぶそうです。

★黄金比(Golden Ratio)というのをご存知の方も多いと思います。
いろいろな考え方があるのですが、ここでは、紙のA系,B系という話の直後ですから、長方形の形で黄金比の話をします。
「黄金長方形」というやつですね。

●長方形がありまして、短辺を1、長辺をxとします。
この長方形の端から1辺が1の正方形を取ると小さな長方形が残りますね。
この残った小さな長方形が元の長方形と相似だ、というのが黄金長方形の条件なのです。
↓この条件でxを求めてみますとこうなります。
Gldenratio
この(1+√5)/2 という数は「Φ(phi,ファイ)」という名前でよく呼ばれます。
「((1+√5)/2):1」 という比を黄金比といいます。

当然ですが、小さな長方形FECDからまた正方形を切り取ると、また相似な長方形ができ、この操作はもうとめどがありません。数学というのは不思議なもので、「とめどがない」ということが起こるんですね、そこに「無限」という怪物が潜んでいるわけです。
白銀長方形も同じ、半分半分・・・にはとめどがない。コワ。

●(かの有名な、The)ユークリッドの原論にもあります。
「ユークリッド原論」(縮刷版)訳・解説 中村幸四郎・寺阪英孝・伊東俊太郎・池田美穂、共立出版株式会社、1996年11月20日 縮刷版2刷発行
1224genron 
 こんな本を持っているのですが、有名な個所、何カ所かに「噛みついて」みましたが、歯が立たなかったという本です。
巻末に『原論』内容集約というサマリー、インデックスがありまして、それによりますと

第6巻 比例論の幾何学への応用
定義 1-5.図形の相似、外中比、高さ
・・・
命題29.与えられた線分上に、与えられた直線図形に等しく与えられた平行四辺形に相似な平行四辺形だけはみだす平行四辺形をつくること。
命題30.与えられた線分を外中比に分けること。(黄金分割)
・・・

こう書いてあって、命題30を読んでは見ましたが、大混乱をきたしただけなのでした。
命題29や第2巻の「与えられた線分を2分し、全体と一つの部分とにかこまれた矩形を残りの部分の上の正方形に等しくすること」というあたりを一緒にして考えると何とかなるのかもしれないなぁ、という感触だけを得ています。
もう少し勉強してから、ご報告できるようでしたらご報告します。

★今回は「外中比」というところだけちょっと。

線分は、不等な部分に分けられ、全体が大きい部分に対するように、大きい部分が小さい部分に対するとき、外中比に分けられたといわれる。

Goldensection
少しは見通しがよくなりましたでしょうか。
全体(a+b):大きい部分(a)=大きい部分(a):小さい部分(b)
こうなんです。
b=1としてaを求めると「黄金数Φ」が出てくるんですね。
で、a:bは黄金比なのです。
Cが決まればこういう結論になりますが。じゃあ。
「どうやってCの位置を決めるんだよ?」
というのは、この時点ではわからないわけです。
悩ましい。
{ユークリッドの時代には平方根は使えませんから、その辺も難しいことになるわけですよね。}

★辺の長さが黄金比である「黄金長方形」を折り紙で作る。
・今回私はA4版のプリント用紙を縦半分に切って細長い紙を作り、そこから出発しました。
この長方形の短い辺の長さを「1」とします。
1224rectangle
①辺の長さが1の正方形を折り出す。
②その正方形を半分に折る。
 この小さな長方形の長辺は1、短辺は1/2です。
③この小さな長方形の対角線を折り出します。
 この対角線の長さは、ピタゴラスの定理により(√5)/2です。
④この(√5)/2という長さを下辺へ写し取ります。
⑤下辺左下の頂点から1/2という位置から更に右へ(√5)/2の長さを写し取りましたから、(1+√5)/2ができました。
⑤の長方形は短辺が1、長辺が(1+√5)/2ですので、黄金長方形です。
・簡単でしょ。

★ついでに白銀長方形も折り紙で。
これはもう、辺の比が1:√2になっていることを折り紙で証明する、という話をそのまま使えばいい。
1224silver
細長い紙から正方形を折り出し、その対角線を辺に写し取ればおしまい。

★今回はこれだけにします。
黄金比、白銀比の話はまだ完結してません。
発展形がいずれまた出てくるはずです。

★思い出話。
ユークリッドの原論の訳・解説に伊東俊太郎先生の名前がありますね。
私がおそらくは理解できないようなこの本を買ったのには、そのこともあるんです。
伊東先生のバビロニアの数学のゼミをとったことがあるんです、ワタシ。
なにせ伊東先生は語学の天才、バビロニアの楔形文字が読めるんです。古代ギリシャ語も辞書なんかなしで読めるんです。現代の英独仏などは自由自在、「その上、日本語までできるんだぜ」というのが学生のジョーク。
バビロニアの楔形文字の粘土板の写真のコピーを読んで、数学的な内容を議論するゼミでした。ご存知かと思いますが、バビロニアの数学は「60進法」。あまりの面倒くささに私は「60進法の九九表」を作ってしまいました。そうしたら、伊東先生が驚いてくださいまして。それは嬉しかったです。何年か後に、あんな九九表を作るという発想は君以外に誰もやってない、と言われて、褒められたのか、呆れられたのか、思い出深いのでした。

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