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2014年10月 8日 (水)

発光ダイオードと太陽電池は、原理的に、対をなす装置

★ノーベル物理学賞が発表されましたね。
青色LED、3氏ノーベル賞 物理学賞に赤崎・天野・中村氏 省電力の照明、爆発的普及(朝日新聞 2014年10月8日05時00分)

 スウェーデン王立科学アカデミーは7日、今年のノーベル物理学賞を、赤崎勇・名城大教授(85)と天野浩・名古屋大教授(54)、中村修二・米カリフォルニア大サンタバーバラ校教授(60)の日本の3人に贈ると発表した。赤崎さんと天野さんは青色の発光ダイオード(LED)を初めて作り、中村さんが実用化につなげた。これにより光の三原色がそろう道筋がつき、LEDの爆発的な普及につながった。
 授賞理由は「明るく省エネルギーな白色光を可能にした効率的な青色発光ダイオードの発明」。研究成果を受けて、白熱電球や蛍光灯に代わるLED照明が実用化。室内照明や携帯電話、交差点の信号機のほか、省電力・長寿命の大型フルカラー・ディスプレーなどに使われている。
(後略)

で、マスコミは早速に「物語」を求めて大騒ぎ。
で、かかし爺さんは早速に「嫌気」がさしてげんなり。

昨日のNHK夜7時のニュースを見ていたら・・・
赤崎先生の記者会見の際に、質問の時も回答のときも、カメラのシャッター音が絶え間なく入っていました。
あれって、すっごく失礼じゃないですか?
ご高齢なんだし、記者の質問が聞き取りづらいようにもお見受けしました。
私は左右の聴力バランスが狂っていて、ああいう雑音の中では、相手の声を「音」として認識できるけど、その「音」から意味を聴き取ることができないものですから、赤崎先生がおつらそうに見えました。
司会者が「質問時、回答時にはシャッター音を自制してください」と記者たちにお願いしたっていいんじゃない?
あるいは、ゴルフで「お静かに」とかいうボードを掲げたりしますが、あれをやってはいかが?
それが記者さんたちの取材に対する妨害行為だ、なんてことはないでしょ。

★早々にこの大騒ぎからは身を遠ざけることにします。
ところで、LEDの何たるか、そのくらい知って取材してるんでしょうねぇ。「LED」って何の略?
「?」を打ちたくなるような取材も見受けるようですよ。

◆LED(発光ダイオード)(Light Emitting Diode)
 ダイオードは電気を決まった方向に流す性質をもつ半導体で、電気を流したときに光るものを発光ダイオード(LED)と呼ぶ。もともとは米軍用に、切れない電球を目的にして開発が始められた。
 当初は家電機器の表示部などに使われたが、RGBの光の3原色(赤・緑・青)がそろった現在では、信号機やスタジアムの大型スクリーンなどにも使われ、また発光部分が小さく、発熱が少なく、長寿命で省エネなことから照明用としても用途が拡大している。紫外線を出さないことから美術館でも使われている。家庭向けとしては白熱電球や蛍光灯の代替として低価格化も進み、省エネ家電のナンバーワンとなっている。
     現代用語の基礎知識2013年版より引用

 私はゲルマニウム・ラジオを自作した小学生でしたからね。ダイオードの「整流作用」やら「ダイオード検波」など、子どもの時から付き合ってきた世代です。{まだトランジスタ・ラジオがなかったりしてね。真空管ラジオを聞いてましたっけ。}
 小学生の「U君」と理科おじさんの部屋というの100回ほどやりましたが、そこで太陽電池と発光ダイオードを扱った実験をしています。私の基本姿勢は、正確な理論は無理としても、子ども相手だからと言って、出来事の本質をあいまい化したり矮小化したり、おもしろおかしいショー的な実験で、はしゃがせたりはしない。
10年もたってから思い出してみてもらえたら、そうなのか基本原理にそこまで突っ込んでいたのか、というような「後で効く本物」を追求しました。

★では私のHPから引用しましょう。
http://homepage3.nifty.com/kuebiko/science/91st/sci_91.htm
理科おじさんの部屋:第91回
・第91回は2007年5月30日(水)でした。
   ・・・
★発光ダイオードと太陽電池
・実は今日のメインテーマはこれ。
   ・・・
Fig1
・上図左のように電源につなぐと、電源のプラス極は「電子を引き抜く極」ですから、P型半導体から電子を引き抜き、正孔をたくさん作ります。その正孔はマイナス極のほうへ引かれます。
 電源のマイナス極は「電子を押し込む極」ですから、N型半導体に電子を押し込み、電子が増え、プラス極のほうへ引かれます。
 ここで電源は電気エネルギーを消費してこの仕事をしています。
・上図右のように、正孔と電子はそれぞれ向こう側の極に引かれて移動し、接合面のところで、衝突します。マイナスの電子とプラスの正孔がぶつかれば、合体して電気が消滅します。
 このとき、電子が持っていたエネルギーが「光」として放出されるのです。
◆これが発光ダイオードの原理です。

・では、この発光ダイオードに逆に光を当てたらどうなるでしょう?
[理屈]光のエネルギーがPとNの半導体の接合面に当たると、そこで、電子が光のエネルギーを吸収して高エネルギーで動き回れるようになります。
 当然、同時に正孔が発生します。電子と正孔が生じた場所で再び結びついてしまっては何にもなりません。そこは工夫があって互いに離れるようになっています。すると、P型半導体には正孔がたまり、N型半導体には電子がたまってきます。
 このとき、外部の負荷(電気を消費するもの)につないでやると、電子は負荷を通って仕事をしてから正孔のある場所へたどり着いて、合体します。
 電流は定義上電子の流れと逆向きですから、N型半導体の方がマイナス極、P型半導体の方がプラス極の電池として働くことになりますね。
◆これが太陽電池の原理です。
Fig2
   ・・・
・発光ダイオードをテスターと接続し、テスターの測定レンジは直流0.12Vのレンジです。
 手元にある一番明るい電球「100V 150W」のレフ球を使いました。この電球は明るいけれど、発熱量もものすごくて、長時間は点けられないし、触るとヤケドします。
・さて、Uおじさんが電球とスイッチを持ち、U君は発光ダイオードを電球の表面にくっつくくらい近くに持って、テスターの針をにらみます。
 おじさんがスイッチを入れると、情けないほどわずかなのですが、それでも「テスターの針が振れる!」とU君。
・U君には、「ちょっと情けないねぇ。今度、お日様が出ているときにもう一回やってみようね」と、言い訳しながら、それでも、何回も電球のスイッチを入れては針の振れを楽しむ二人でした。
・デジカメのフラッシュを強制発光にして、フラッシュの前に発光ダイオードをくっつけて発光させると、ピクッと針が動く程度、でした。
   ・・・
★発光ダイオードと太陽電池は、原理的に、対をなす装置なのですね。そのことは確認できたと思います。
Fig3
・上の図で、E1が電気エネルギーでE2が光エネルギーのとき、つまり、電気エネルギーで自由な電子と正孔をつくり、それが合体消滅するときに光を出す、というのが発光ダイオードです。
 電気エネルギーが直接光エネルギーに変換されたといってよいでしょう。白熱電球のように熱エネルギーを介して光にすると、エネルギー効率が非常に低くなります。発光ダイオードは高いエネルギー効率で光をつくります。最近身の回りで、発光ダイオードが多用されるようになってきたのは、そのせいなのですね。
・今度は、同じダイオードに、E1として光のエネルギーが注入され、それによって自由な電子と正孔が生じ、それが外部に対して電気エネルギーE2を出して、電気的な仕事をするとき、太陽電池になります。
 光エネルギーが直接電気エネルギーになり、火力発電のような二酸化炭素の発生もないので、最近「太陽光発電」として脚光を浴びていますね。
 ただ、太陽光発電は天気次第で不安定なので、電力会社などは買取に渋いのですが、やはり将来的には絶対必要な発電方法でしょう。
   ・・・
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★とまあぁ、こんなことをやっていました。
いかがでしょう。古びてはいないと思いますが。7年前の私の「授業」。
この「授業」に付き合ってくれた当時小学生だったU君は、今年度、獣医学科の大学生。
私は古びていき、若い人は成長していく。しみじみ思います。

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