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2014年9月30日 (火)

御嶽山噴火について:私見

  

 遭難なさった方々に謹んでお悔やみ申し上げます。合掌。

・噴火の報道に接して、理科爺さんが感じるところをいくつか申し述べたいと思います。

★「水蒸気噴火」ではないかという話について。
私は
「これは高圧の過熱水が減圧によって一挙に気化した『水蒸気爆発』ではないか」
と当日のニュースを見ながら妻と話していました。

・圧力鍋の事故というものをご存知でしょうか。
圧力鍋では内部の圧力を1気圧以上に保って100℃以上の過熱水で調理するものです。
2気圧で120℃くらいというのが多いでしょうか。
圧力調節弁から過剰な圧力を逃して、鍋内部の圧力を一定に保ちます。
ところが、粘っこいものを調理して圧力調節弁が詰まってしまったりなどすると、圧力が異常に高くなります。
それでも普通は圧力調節弁自体が吹き飛んで鍋の破壊を防ぎます。
そうすると、鍋の内部の圧力が一挙に1気圧近くに下がりますが、120℃の「水」は1気圧では液体ではいられません。一挙に気体の水=水蒸気になってしまいます。とんでもない体積膨張ですので「爆発的出来事」になるのです。
鍋の内容物が天井まで噴き上げた、くらいで済めばいいとしましょう。
最悪の場合、鍋が爆弾になってしまう可能性すらあるのですから。

・御嶽山を巨大な自然の圧力鍋と考えてみます。
地下水が溜まる部分があるのでしょう。
熱源はその下にあるマグマ。
何らかの原因で、マグマによる加熱が強くなる。(マグマが少し動いて上昇したとか)
地下水は強く熱される。しかし、密閉されていて100℃で沸騰できず、圧力が上がり100℃を超える。
こうして過熱水が生成する。
過熱水がさらに熱されると圧力もさらに上がっていく。
そのうち、さすがに周囲の岩も圧力に耐え切れずに、ひびが入るかどうかして、過熱水が外界と通じてしまう
すると、圧力が一挙に下がるので、液体でいられなくなった過熱水が気化し、爆発的に噴出する。岩を吹き飛ばし、土砂を巻き込んで噴出する。温度はマグマの温度ほどには高くない。

こういう過程ではないか、と私は思いました。
マグマが上がってきた場合、よく「火口が赤く光る」というようなことがありますよね。そういうのは今回はなかった。
「噴火」というには低温のように思われる。
水蒸気と土砂の爆発的「噴出」のようでした。
また、噴気孔が複数並んでいたというのも印象的です。マグマが噴出する時とは違う気がしました。

水蒸気爆発というと、高温熱源と液体の水の「接触」による爆発的沸騰による水蒸気発生のことを呼ぶことが多いようです。
しかし私はこのように
「加圧された過熱水が1気圧にさらされて爆発的に気化する」という現象も「水蒸気爆発」である、と理解しています。

★東京大学地震研究所の資料を読みましたら、

御嶽山 2014 年 9 月 27 日噴火の火山灰について 
【要旨】
27 日午前 11 時 52 分から始まった噴火で堆積した火山灰の現地調査を実施し,噴出 量の概算値見積もりと,火山灰構成物の解析を行った。その結果,噴出量は約 100 万 トンであり,火山灰中にはマグマ由来物質が確認できなかった。9 月 27 日噴火は 1979 年噴火と同程度かやや大きい規模の水蒸気爆発であったと考えられる。 

こいういう記述がありました。「水蒸気爆発」という表現があります。
また

以上のことから今回の噴火は地獄谷の下にあった熱水溜まりが,何らかの過熱か減圧により,お湯が吹きこぼれるような形でおきた水蒸気噴火であると思 われる。

こういう記述もありました。
マグマによる加熱の強度が増して「過熱」状態が強くなったか、周囲の岩盤のひび割れなどにより「1気圧に減圧」した、と読んでいいと思います。

★さてNHKの解説では

「水蒸気噴火」と「マグマ噴火」(NHK、9月28日 14時05分)
 「水蒸気噴火」は地下の高温のマグマの熱で地下水が熱せられて急激に水蒸気が発生し、火口周辺の土砂や火山灰が水蒸気とともに吹き上げられる噴火で、次第に白色の噴煙が多くなる特徴があります。
 「水蒸気噴火」ではマグマと地下水は直接接しないため、マグマ本体はほとんど噴出されません。
 御嶽山で昭和54年と平成19年に起きた噴火はいずれも「水蒸気噴火」でした。
 一方「マグマ噴火」は、高温で溶けた岩石であるマグマそのものが火口から激しく噴出する噴火で、大量の火山灰や溶岩流、それに高温の火砕流を同時に起きやすいのが特徴です。
 平成23年の霧島連山・新燃岳の噴火や、平成3年の長崎県の雲仙普賢岳の噴火、それに昭和61年の伊豆大島の噴火などは「マグマ噴火」でした。
 また「マグマ水蒸気噴火」は地下水と高温のマグマが直接接触することで急激に膨張し、水蒸気がマグマとともに爆発的に火口から噴出する噴火です。
 伊豆諸島の三宅島では昭和58年の噴火や平成12年から平成14年にかけて起きた噴火で「マグマ水蒸気噴火」が確認されています。

このように「水蒸気噴火」「マグマ噴火」「マグマ水蒸気噴火」と分けて解説していました。
ただ「水蒸気噴火」について「地下の高温のマグマの熱で地下水が熱せられて急激に水蒸気が発生」としか言っていませんが、これでは「お湯が沸いて」発生する水蒸気の勢いで土砂や火山灰が吹き上げられる、ということになって、今回のようなやはり「爆発的」な出来事の説明としては弱いというか不足というかでしょう。
100℃を超える過熱水が減圧によって一気に「爆発的に」気化した、という解説が必要でした。
その点、28日の夜7時のニュースで解説した若い社会部の記者の方は、「圧力鍋」の例を出して解説しました。
またこの方は、記者会見の中継を聞いたそばから、ここが聞き取るべき注目点だ、というポイントを的確に示していました。
おそらく、理科系のしかるべき学科で基礎訓練を受けた方だろうと察しました。成長してくれるといいな。クローズアップ現代にも出てました。やはり火山関係の知識がある人なのではないかな。理科系爺さんの「嗅覚」に「似た者の匂い」を感じました。

★溜まっていた水の大部分が沸騰蒸発してなくなってしまったとすると、下にあった熱源のマグマがむき出しになってきた可能性がありますね。そうすると、マグマから火山ガスがストレートに出やすくなるでしょうし、次の活動はマグマ噴火に近いものになるという可能性も高くなっているのではないか、と危惧しています。

★書きたいことはまだいっぱいあるのですが、いったん切ります。

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