タヌキの溜め糞
★NHKでこんなニュースがありました。
NHK(9月1日 16時30分)
大阪の「タギング」 男を逮捕・起訴
大阪・ミナミの繁華街で、自分を誇示するために書くとされる「タギング」と呼ばれる落書きをビルの壁などに書いたとして、30歳の無職の男が逮捕・起訴されました。
大阪市内では似たような大量の落書きが確認されていて、警察は男が関わっている疑いがあるとみて調べています。
・・・
逮捕・起訴されたのは、・・・被告(30)です。
被告はことし4月から5月にかけて、大阪・ミナミのビルの壁やエレベーターにスプレーなどで「タギング」と呼ばれる落書きをしたとして、建造物損壊などの罪に問われています。
「タギング」は若者が自分を誇示するために書く落書きとされていて、大阪ではミナミの繁華街などで大量に確認されています。
芸術性のあるストリートアートとは異なり、判読できないサインのようなものがほとんどで、景観を損なうとして住民などから被害の届け出が相次いでいます。
・・・調べに対し「自分の名前を広めるためにやった」などと供述しているということです。
★以前の読書を思い出しました。
「先生、シマリスがヘビの頭をかじっています」([鳥取環境大学]の森の人間行動学)小林朋道、築地書館、2008.10.10初版
この本に、
「駅前に残された”ニオイづけ”はタヌキの溜め糞?(スプレーで描かれたサインの動物行動学的意味)」
という章がありまして。
・・・
動物行動学的に言えば、この「若い男性」というのは、少年期から次の段階へ進み、地域の大人社会(狩猟採集社会においては大人たちが構成する部族集団)のなかで、自分の存在を受け入れてもらい、また異性に自分の魅力をアピールしなければならない時期である。
そういう意味で、同世代の同性などとの競争もより強く求められる時期である。
・・・
タヌキは、山奥や人里近くの山林に生息し、複数の個体が、はっきりとした縄張りはもたずに、同一の地域で暮らしている。
・・・めずらしい習性がある。それは「共同トイレ」である。その地域に生息する複数の個体が、区域の中に数か所、共通して糞尿をする場所をもっており、皆、律儀にそこで用足しをするのである。
このような共同トイレは「溜め糞(タメフン)」とよばれているが、複数の個体が長年、集中して利用するものだから、大きいものでは、直径1m以上の広さで、糞がつもっている。
タヌキたちは、溜め糞場に排出された糞尿について誰のものかをニオイで識別しているらしい。そして、直接出会うことのない個体同士は、溜め糞のニオイを通して互いに情報交換しているらしいのである。
たとえば、新しくその区域に棲むようになった個体が、溜め糞場を利用することによって、
「新しくこちらに越してきたものです。以後お見知りおきを」という情報を糞尿にこめる。
また、少年から青年になった雄が元気に糞尿をすることによって
「そろそろいっぱしの雄になってきました。お嫁さんを募集します」といった情報を発する。
・・・
私は、駅前通りのサインをいろいろ見ていくうちに、それらは、タヌキの「溜め糞でのニオイづけ」にちかいもものではないかと思うようになってきた。
人びとが多く通る場所で、
「この場所はおれのなじみの場所なんだ。おれはここにいるんだ」
とアピールしているのではないかと。そしてその心理の奥には、
「おれを認めてくれ、おれを知ってくれ」という、大人社会に入りつつある若い男性の、大人や同年代の同性、異性に向けたアピールがあるのではないだろうか。
・・・
地域の大人社会の一員になるためには、地域の共同体のなかで自分なりの役割を果たすようになることが必要だ。
・・・
駅前地域でサインを書いて自分をアピールしたいという思いを、共同体の皆が「よくやった」と思えるような行動に結び付けてほしい。
タヌキもヒトも哺乳類、そう大差はない。と。
逮捕された被告は30歳だそうで。
もういい加減そろそろ「大人」になりなよね。
幼いんだよなぁ。
どう考えたって66歳のかかしが落書きなんかする訳ゃないんで。
私ゃ干からびた立派な「大人」だもんね。
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