視直径
★前の記事で、視直径について解説しませんでした。
↓お読みください。視半径について書きました。
太陽の実際の赤道半径は696000kmで、月の半径1737kmの400倍も大きいのです。
ところが月軌道は地球から約38万kmなのに対して、太陽-地球間の距離は1,5000,0000kmで、月より太陽の方が約400倍遠い。
その結果、図中のθ=d/Lで計算すると
d/L = 696000/150000000 = 0.00464 = 0.266 deg
d/L = 1737/380000 = 0.00457 = 0.262 deg
{これは視半径ですので、スーパームーンのところで出てきた視直径にするには2倍にすればいい。すると、月の視直径は0.524度=31分ですね。平均距離での話です。}
このように、地球から見た「月と太陽の角度=視半径」はほぼ同じなんですね。
ですから、たまに月と太陽が重なると「日食」が起きる。ほぼ同じ「大きさ」だからです。
軌道が真円じゃないですから、皆既日食になったり金環食になったりはしますが、太陽と月がほぼ同じ大きさだということは納得できると思います。これは全くの「偶然」です。
というわけで、このθ=d/Lで求まるθを「見た目の大きさ」=「視半径」(直径については視直径)といいます。
θは角度ですが、θとdが比例するという近似が成立している範囲での話ですから、長さの次元と考えてかまいません。
8月11日「満月の瞬間の月の視直径は約33分角」
1月16日「このときの月の視直径は約29分角」
で視直径の比をとると
33/29=1.14
直径の「長さ」の比が1.14倍だ、と考えていいのです。
そうすると面積比は直径比の自乗ですので
1.14×1.14=1.3
こういう計算をしていいということになります。
天文などではこの「視直径」という概念をよく使いますから知っておくと便利です。
たまに報道で「富士山のてっぺんに置いた○○」くらいの大きさ、のような言い方をしますが、あれも視直径で話をしているのですね。
腕の長さを60cmとして、直径2cmの1円玉を指先につまんで眺めると
2/60=0.0333rad=約2度です。
太陽を覆い隠せますね。
(この条件では)1円玉は太陽より大きい、のです。
{内緒話:180/πは約60です(57.3)。ですから、ラジアンの値を60倍すれば角度のおおざっぱな見積もりはできる。
0.0333×60=1.998≒2 ですね。有効数字1桁でよければこれでいい。「πを3で扱う」なんていうと、怒られそうだけど。有効数字概念がわかっていれば大丈夫。}
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