モノサシトンボ
2014.7.6
イトトンボがハート形になって交尾していた、と妻が写真を撮ってきてくれました。
茎に掴まっているのがオスで、腹端部でメスの首を挟んでいます。
メスは首を挟まれた状態で自分の腹端部を、オスの腹の付け根のところに当てています。
この動作で、オスの腹の付け根のところにある精子を、受け取っているのです。
これが精子の受け渡し動作ですから、交尾。
これは別のカップルです。もうハート形の交尾は済んでいます。
これから産卵するはずですが、妻が見ている間には産卵はしなかったそうです。
私は笑って、「つゆくさ神社」で安産祈願をするモノサシトンボ夫婦みたいだ。
メスの首を挟んで腹で立っているオスは、脚を胸の前に縮めているのですよね。
なんか、お参りで手を合わせて祈願している姿みたいだ。
★「トンボの不思議」 新井裕 著、復刻どうぶつ社、丸善出版 より。
「おつながり」になっているトンボを見て、交尾していると思う人が多いようだが、それは交尾ではない。
・・・
オスはメスを見つけると、・・・しっぽ(腹部)の先端にある把握器で、メスの頭か、首を挟む。・・・イトトンボやカワトンボの仲間では「首」・・・オスはしっぽの先でしっかりとメスを掴むと、脚をメスから放す。これが「おつながり」で・・・。
・・・
おつながりになると、オスはしっぽを「つ」の字型に折り曲げて、自分のしっぽの先と自分のしっぽの付け根を接する動作をとる。これは「移精」とよばれるトンボ独特の動作で、精子を交尾器に移すために行うものである。トンボのオスの場合、精子をつくる生殖器はしっぽの先に、メスと交尾するための交尾器はしっぽの付け根にある。このため、オスは交尾に先立ち、生殖器で作られた精子を交尾器に移す必要があるのだ。・・・
移精が済むと、オスはメスをたぐり寄せるような動作を行う。これはメスに交尾を促すサインになっているようで、メスはそれに応じてしっぽを曲げ、しっぽの先にある交尾器をオスの交尾器に結合させる。これで交尾が成立である。トンボが交尾したときの姿勢はハートのような形になる。・・・
★
7.9
イトトンボが産卵していた、と妻が写真を撮ってきてくれました。
しゃがみ込んで、低い位置から、危うくカメラが水面に触れそうになりながら撮ったそうです。
オスはメスの首の上に突っ立っているだけに見えますが、これが実は監視態勢なのです。
オスは、自分が渡した精子で受精した受精卵をメスに産んでほしいわけです。なんたって、自分の遺伝子を残したいのだから。
ところが、交尾後、メスから離れると、他のオスがメスに交尾を仕掛けるかもしれない。そうすると、後から交尾したオスの精子が受精に使われることになるので、自分の精子が無駄になる。で、オスとしては、ハート形からおつながり形に戻って、メスを把握したまま産卵を促すのですね。
イトトンボではこういう形の産卵が多い。おつながりは解くけれど、メスの産卵を上空から監視して、他のオスが割り込んでこないように監視するタイプの産卵方法もあります。
メスは腹端部を水中に入れて、茎や葉の水中部分に卵を産み付けています。
この写真では、水面に翅脈が映っていたりして、なかなかいいショットをものにしてくれました。妻万歳!(そんなに歳とってないわよ)
別のカップル。
これはオオカナダモの茎に産卵しているのではないでしょうか。
小さな池ですが、にぎやかなこと、たいへんですよ。
日々楽しい。
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