巨大なプリン
★朝日新聞の「はてなTV」という記事
巨大なプリンは?(2014年7月1日)
Q 三菱冷蔵庫のCMに出てくる大きなプリン=写真=は撮影用に作られたのですか。また、撮影後はみなさんで食べたのですか。
A 女優の杏さんが「お隣さんからプリンいただきました」と家族に見せるプリン。だれもが「デカッ」と口に出してしまうほどの大きさです。
・・・「完成したプリンの横幅は約40cm、重さは約5kgです。プリンが崩れないようにするために、中にベニヤの芯が入っています」
・・・杏さんが巨大プリンを持つシーンについては「重さをまったく感じさせない抜群の笑顔で演じてくださいました」と、担当者は話します。
・・・
テレビはニュースくらいしか見ない私。このCMは全く知りませんでした。
三菱電機のHPから見てきました↓
http://www.mitsubishielectric.co.jp/me/ad/
なるほど「デカッ」。
高さはおそらく10cmを超していますね。
私としては杏さんも素敵だけど、お義母さん役の戸田恵子さんがいいなぁ。
ガンダムのTV版でも声優やってたしなぁ。
杏さんと戸田さんが並ぶところがおもしろい。
★さて、本題。
もし「芯」なしで作った場合、高さ10cmを超すプリンは作れるでしょうか?
あるいは極端な形で、
「1辺が1mの立方体のプリンは作れるでしょうか?」
★実は昔、30年位も前かな、工業高校で化学と物理を教えていて、物理の定期テストで
「1辺が1mの立方体の豆腐は作れるだろうか?」
という問題を出したことがあるのですよ。
私の定期テストでは、ほぼ教師になりたての頃から退職する時まで、授業とは必ずしも直接には関係ない「思考問題」を出し続けたのです。5点満点。自分で考えたのであれば、結論として間違っていても部分点3~4点をあげる。答えとしてあっていても、何も途中の過程がなければ2~3点、トートロジーなんかやると×。
{「これこれこうなるのはなぜか?」と訊いたときに「それはそういう性質だから」というような答え方です。それは思考停止ですね。}
こういう問題、言うは易く作るは難しいんですよ。結構。
★さて、実にみごとな正解を書いた生徒がいました。
解答用紙の裏にイラスト付きで。
1m立方の豆腐が、下の方からぐずぐずとつぶれていくという絵を描いて、ナ、ナ、ナント!とびっくり仰天の生徒を描いて、豆腐は自重で下が潰れる、と。
大正解ですね。
豆腐が水の中にあるのなら、浮力で支えられて多分つぶれない。
ところが、空気中に出したら、上の部分の重さが下の部分を押しつぶすことになるのです。
自重でつぶれる、という現象を考える必要があるのですね。
巨大草食恐竜は自重に耐えられる限界近いでしょう。
ウルトラマンは自重に耐えて立っていられるかどうか、無理っぽいな。
針供養で、豆腐に針を刺すという行事がありますね。
大きな豆腐を使う。でも高さは限界があって30cm立方の豆腐は相当に無理っぽいでしょう。できるかもしれないけど、「超硬豆腐」なら。
高さは10cmちょいくらいまでで、面積を広くしてたくさん針を刺せるようにするのでしょ。
★さて冒頭のプリン。芯がないと10cmの高さはかなりきついでしょう。(1mなんてゼッタイ無理)
10cmなら、できるかもしれませんが、自重で側面が膨らんでスマートなプリンにならなかったりしそう。上面の真ん中が凹んだりね。
ですから、芯を入れて、その周りを薄いプリンが覆うようにして、プリンらしい形を保ったのだと思います。
★昔、若い夫婦だったころに、おいしいものを思いっきりいっぱい食べてみたい、と相談して。
「どんぶりイチゴ」を食べましたっけね。
「どんぶりプリン」を作ってみよう、と試みたこともあります。
どんぶりから出すと形が崩れますので、どんぶりに入れたまま食べるしかなかったですね。
★豆腐は水に入れてある。昔は朝のお使いで、鍋を持って豆腐屋さんに買いに行きましたっけね。
今、豆腐のパッケージでは、豆腐の周囲が何mmかの厚みの水で覆われている。水は豆腐に加わる衝撃を和らげるだけではないんです。浮力が働くのです。あんなわずかな水でも、浮力で豆腐を支えているのです。
★脳って硬い頭蓋骨の中に収まっていますね。実は脳は「脳脊髄液」という液体に囲まれているのです。
豆腐のパッケージをイメージしてください。水の層は豆腐の厚さや高さに対してずいぶん薄い層ですが、衝撃吸収の働きがあり、浮力で豆腐を支えて下の面に強い圧力がかかって壊れやすくなることを防いでいます。
脳も同じ。脳脊髄液によって外部からの衝撃が緩和され、浮力によって脳の下面に過大な圧力がかかることを防いでいます。
脳の密度は1よりちょっと大きなものでしょうから、水の中で沈みますが、それでもかなり実質的な重さが軽減されるのです。
★サッカーで大騒ぎですが、私の個人的な意見としては、少年サッカーではヘディングを禁止すべきだ。
頭蓋骨自体がまだ柔らかいでしょ。
ボクサーが「パンチドランカー」になるのは、繰り返し脳に衝撃が加わって、脳震盪など常態化しているからじゃないのですか。
子どもの脳をちゃんと保護するために、ヘディングはやめた方がいいと思うんだけどな。
実際のところ、少年サッカーはどうなっているのだろう。
★自重でつぶれる話をしましたが。
ロープが自重で切れる、という発想もあるんですよ。
東京スカイツリーでは600mの高さまで一挙にものを釣り上げるなんてことはしませんでしたが、やったらどうなる?のでしょう。
へたすると、自重だけで切れかねない。(ロープの強度次第ですけどね。)
海の深さを測るために、ロープに錘をつけて垂らしたとしますね。(測深線)
浮力はありますけど、これまた、1万mの海溝などに垂らしたら、切れることもあるかも。
宇宙エレベーターという話がありますね。赤道上の静止衛星から、地上にロープを垂らすわけですが。
3万6千kmものロープですからね。普通の材質では切れちゃいますね。もちろん遠心力がどうとかこうとか話は複雑なのですが、ごく単純に「3万6千km」のロープを安全にコントロールできますかね?無理だよなぁ。
★最後に、もういっちょ。
「プリン」は日本語。
英語では「pudding」ですね。
プディングというのが聞き取りにくかったか、発音しにくかったか。
由来は知りません。
★私の「脱線」はとめどがない。
授業で、「私の授業は脱線だらけですまんなぁ。ちっとも進まんね」といったら「先生の授業は『脱線命』」と目の前の男子生徒が笑いながら言ってくれたことがあります。うれしかったな。ある種の「名物教師」だったかもしれない。
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