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2014年3月14日 (金)

(逆)三日月

★気象予報士の伊藤みゆきさんのブログを読んでいたら
http://wol.nikkeibp.co.jp/article/column/20140225/174364/

来月は19年ぶりに「新月パワー」アップ!?(2014年2月26日)
「“ひと月に2度の新月”が2回ある年」、次回は2033年に
・・・
 ひと月に2度の新月がやってくる…というのは2~3年に1度あって、それほど珍しいものではないそうですが、今年は3月も「新月が2度やってくる月」になります。
 国立天文台によると「“ひと月に2度の新月”が2回ある年」というのは、19年に1度しか巡ってこないのだそう。前回が1995年で次が2033年だそうです。
 ともに1月と3月の、それぞれ1日と31日で今年と同じパターンです。
 逆に、今年や1995年と2033年は2月に“新月”がありません。
・・・

なるほど。今年は1月1日と1月31日が朔。3月1日と3月31日が朔です。
今年は、新年の出だしが、新暦と旧暦が一緒だ、ということは意識していましたが、ひと月に朔が2回、という風には見ていなかったので、な~るほど、と納得。
2033年なんて私が生きている可能性は極端に低いからな。珍しい年に出会えたと喜ぶことにしましょう。

・・・
 ラジオで伝えにくいのが「三日月ではない細い月」です。私自身も、空に浮かんでいる細い月はすべて三日月とよんでいた時期がありました。
 三日月は旧暦3日の月…新月から2日くらい経った月で、「日の入り後の西の空」に見えるのです。このため早朝のラジオ番組で三日月が見えることはありません
 同じくらいの細さで「日の出前の東の空」に輝く月は“二十六~二十七日月”で、新月へと欠けていく途中の月なのです。三日月とは対称の弧が輝いています。
  {かかし注:2月26日のブログ記事ですから}
 2月中に見える薄い月は「三日月」ではなく、次の「三日月」は3月3日の月です。ひなまつりの夕方に西の空に薄い月が見えたらいいですね。と同時に、対称側が光る細い月にも名前があって浸透するといいな、とラジオで伝える側としてのささやかな願いです。
・・・

2月の25日か26日か、の頃に、テレビの早朝の気象情報で、予報士さんが「空に三日月がかかっている」と言っているのを聞いて、ちょっとなぁ、と思ったのでした。
早朝に見えるのは三日月ではないんだよなぁ。
今年は新暦と旧暦がほぼ一致していることを意識していれば、2月の下旬に細い(あるいは薄い)月が出ていても、三日月ではないと、すぐにわかるのにね。

●調べてみたら、日付が変わってしばらくして出てくる、(逆)三日月には「二十六夜」という名前があるようですね。
参考

にじゅうろくや‐まち【二十六夜待】‥ジフ‥
陰暦の正月と7月との26日の夜半に月の出るのを待って拝すること。月光に阿弥陀仏・観音・勢至せいしの三尊が姿を現すといい伝えられ、特に江戸では7月に高輪たかなわ・品川などで盛んに行われた。月待。秋
広辞苑第六版より引用

★さて、さらに調べていると。
英語では「三日月」も「二十六夜」も”crescent”と表現できるらしい。
あるいは、new crescent と old crescent で識別することもできるようです。
「三日月形の月」なのでしょうね。
そういう意味では、テレビの気象予報士さんも、間違いとも言い切れないわけですね。

フランス語の三日月= croissant
英語の三日月 =    crescent
この二つの語は、おそらく同じ語源というのか、語根でしょうね。
そうなると
イタリア語のcrescendo(音楽で使うクレッシェンド)も同じ語源でしょう、見るからに似てるもんな。
「だんだん大きくなる、成長していく」というような古い語があって、そこから派生したのだろうと想像しますが、言語学者じゃありませんので、あくまで「逞しき想像」に過ぎません。

●ムム、私その昔、ラテン語の論文読んだ経験があるんだっけ。その時首っ引きで引いた「羅英辞書」がある。
THE NEW COLLEGE LATIN & ENGLISH DICTIONARY(1971年版)ですね。

cresco crescere crevi cretum
  (vi) to come into being, arise;
       to grow, grow up;
       to increase, swell;
       to prosper, thrive;
       to become great, attain honor

ラテン語の母音は英語と同じじゃないんですけど、英語のアルファベットで表記してしまいました。正確性を欠いています。ごめんなさい。
このあたりが、おそらく語源でしょうね。ヨーロッパの人たちはラテン語の分かる人が多いですから、きっとあっさりと語源を知りながら使っているのかもしれません。
英羅の方をみたら、crescent は「luna crescens」だそうです。

http://whatsinaname.wiki.fc2.com/wiki/%E4%B8%89%E6%97%A5%E6%9C%88
↑ここに、いろんな言語での三日月がありました。同じ語源だろうというものを並べてみます。

英語     :crescent
フランス語 :croissant
イタリア語  :crescente
スペイン語 :luna creciente
ポルトガル語:crescente

★ちょっと調べていたら
<上弦>7・8・9・10日月。  HALF MOON ・ FIRST QUARTER MOON
<下弦>21・22・23日月。 HALF MOON ・  LAST QUARTER MOON

こういう言い方があるらしいです。わかりやすくていいですね。
「上旬」「下旬」が、月の初めの10日間、月の終わりの10日間という時の「上・下」と同じ感覚でいい。
初めの「1/4月」
後の  「1/4月」
ナットク。

広辞苑では

じょう‐げん【上弦】ジヤウ‥
新月から満月に至る間の半月。日没時に南中し、月の右半分が輝く。真夜中に弦を上にして月の入となる。太陰暦で毎月7日・8日頃に当たる。初弦。かみのゆみはり。かみつゆみはり。

か‐げん【下弦】
満月から次の新月に至る間の半月。日の出時に南中し、月の左半分が輝く。太陰暦で毎月22~23日頃に当たる。弦を下にして月の入となる。しもつゆみはり。
広辞苑第六版より引用

なるほど。FIRST QUARTER MOONとLAST QUARTER MOONの意もちゃんとあるんだ。
ただ、私自身は、「月の入りの時の弦の向き」という教わり方をしていて、さて、沈むときにはどっちかな、と考えなくちゃならない人なのです。
上旬下旬と同じ考え方でいいというのは、とっても楽です。

★月の後半全部でよければ「有明の月」というのもありますね。

ありあけ‐の‐つき【有明の月】
夜明けになお空に残る月。八雲御抄「―は十五日以後を云ふ由匡房往生伝に在り」
広辞苑第六版より引用

百人一首にも「有明の月」はいくつかあったと思いますが。すぐ浮かぶのは

今来むと 言ひしばかりに 長月の 有明の月を 待ち出でつるかな

私が百人一首を教えられたのはもう60年も前か。意味も分からず熱中しましたっけね。
結局、上の歌、実は正確な意味は今もって分かってませんけど。

★なんだか、逆の三日月から話がどんどん飛び回ってしまいました。
昔からすぐ脱線する教師でした。
ある時
「私の授業はすぐ脱線するからなぁ」といったら、ある男子生徒が「先生の授業は『脱線命』」などと言ってくれて、笑いながらうれしかったことを思い出します。高校生って面白いんだよなぁ。

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