青銅鏡
★青銅という合金を見たこと、ありますか?
青銅鏡とか銅鐸とか、青銅のものが発掘されるとみんな錆びて緑青を噴いているので、青銅とはあのような緑青色のものだと思っていませんか?
ちがうんだなぁ。
オリンピックの「銅メダル」は青銅(ブロンズ)製です。
銅に加えるスズの量で色は変わります。
10円玉も青銅。スズが少ない。
スズを増やすと、黄色くなります。ほとんど金色。
ですから、出来立ての銅鐸はおそらく金色に輝いていた。
それって、まるで本物の金みたいで、すごく「威光」があったんじゃないでしょうか。
スズがもっと増えると「銀白色」になります。
古代の鏡はこの白銀色の青銅製でしょう。
赤っぽい青銅で鏡を作って、研磨し、表面を水銀処理して「銀白色」の鏡にする技術もあります。
これ、以前に私が作った青銅鏡です。
鏡面は光がかえってこないので真っ暗。
縁を見てください、銀白色ですね。
もう、30何年か前に作ったのかな。
ルツボでスズをとかし、そこへ銅片をとかしこんでいって、耐熱ガラス板に流して固め、研磨したものです。
銅:スズ=2:1(重量比)
だったはず。
一番右のものが、鏡面が一番きれいになっています。
写っているのは私の左手。指紋まで識別できるでしょ。
昔の製法だとぼんやりしか映らないなんてことはないのです。
「銀白色の青銅鏡」の実物です。
これは教材屋さんから私費で購入した青銅鏡。
白い表紙のハチの本が映っています。ということは、この青銅鏡はうっすらと黄色いんですね。
江戸では、市中を鏡研ぎ職人が回っていたという話もあります。研磨して水銀塗布する。そのような仕事で生業が立つくらいに鏡は普及していたのでしょう。
★↓わたしのHPから引用
http://homepage3.nifty.com/kuebiko/science/6th/sci_6.htm
・以前、Uおじさんが先生をしていた頃に教材屋さんから買った、昔の鏡を復元したものをU君には見せてあげました。黄色っぽい合金です。普通、古墳から発掘された鏡などは、青くさびているし、裏の文様が文化的に大事なものですから、そちらを展示したあることが多いと思います。でも、鏡の「表」も展示して欲しいですね。同じ成分で復元したものでいいですから。なんだか、時代が古くなると、なんでもかんでも「遅れていて」、現代こそ「最も進んだ」時代なのだ、という通念があるようです。でも、青銅は古代に作られようと現代に作ろうと、物質の性質に変わりがあるわけではありません。磨き上げれば、同じように鏡として反射し、ものを映すのです。そういうことをぜひ、博物館は見せてほしいですね。古代の鏡は、あまり映りが良くない、なんて思うのはまったくの間違いなのですから。
・Uおじさんが自分で作った青銅鏡もU君に見せてあげました。スズをルツボに入れて、バーナーで強熱してどろどろに融かし、そこへ銅の小さな板を溶かしこむのです。銅は融点が約1000℃ですが、200℃強で溶けたスズに溶かし込むと、合金は約700℃くらいで溶けるようになるのです。夏休みにやったのですが、熱いこと暑いこと。汗だくでしたが、融けたスズに、銅片がスルスルっと溶け込んでいくのはとても面白いものでした。この作業は数十分。
合金が出来上がったら、耐熱ガラス板に流して固め、砥石からはじめて、少しずつ細かい研磨剤を使って丹念に研磨していきます。この作業は数時間。疲れますが、だんだん鏡面ができてくるとうれしいものです。
ごく小さな鏡で、片目くらいしか映らない大きさなのですが、Uおじさんは、化学の授業で「金属の性質」の「金属光沢」のところで、この自作の青銅鏡を10数年間教材として生徒に見せてきました。結構うけましたよ。
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初めまして、埼玉県蓮田市内にある、黒浜貝塚の展示場にて、私は市職員の解説者に「古墳から発掘された鏡などは、青くさびているし、裏の文様が文化的に大事なものだから、そちらを展示したい気持ちはわかる。でも、鏡の「表」も展示して欲しい。例えば裏表が見えるように立ててもらいたい。同じ成分で復元したものでいいですから」と伝えました(笑)。若いころ直径15センチの反射望遠鏡を作ったことがあります。最後の磨きはベンガラを使いました。焦点は100センチです。銀鏡反応で、鏡にしました。土星の輪も良く見えました。当方、現在はボランティアで、大勢の子供たちに創作した楽しい実験を演じています。
投稿: 大山 登 | 2014年7月11日 (金) 19時59分
初めまして、埼玉県蓮田市内にある、黒浜貝塚の展示場にて、私は市職員の解説者に「古墳から発掘された鏡などは、青くさびているし、裏の文様が文化的に大事なものだから、そちらを展示したい気持ちはわかる。でも、鏡の「表」も展示して欲しい。例えば裏表が見えるように立ててもらいたい。同じ成分で復元したものでいいですから」と伝えました(笑)。若いころ直径15センチの反射望遠鏡を作ったことがあります。最後の磨きはベンガラを使いました。焦点は100センチです。銀鏡反応で、鏡にしました。土星の輪も良く見えました。当方、現在はボランティアで、大勢の子供たちに創作した楽しい実験を演じています。
投稿: | 2014年7月11日 (金) 20時01分
初めまして、埼玉県蓮田市内にある、黒浜貝塚の展示場にて、私は市職員の解説者に「古墳から発掘された鏡などは、青くさびているし、裏の文様が文化的に大事なものだから、そちらを展示したい気持ちはわかる。でも、鏡の「表」も展示して欲しい。例えば裏表が見えるように立ててもらいたい。同じ成分で復元したものでいいですから」と伝えました(笑)。若いころ直径15センチの反射望遠鏡を作ったことがあります。最後の磨きはベンガラを使いました。焦点は100センチです。銀鏡反応で、鏡にしました。土星の輪も良く見えました。当方、現在はボランティアで、大勢の子供たちに創作した楽しい実験を演じています。
投稿: | 2014年7月11日 (金) 20時02分
コメントありがとうございます。昔のものは性能が低い、などという思い込みは打破したいですね。反射望遠鏡の鏡をおつくりになりましたか。すごい。当方、元化学教員ですので、大面積にむらなく銀鏡をつけることのむずかしさはわかります。表面鏡だと像が二重にならないというような基本的なことも、知らない人はびっくりするかもしれませんね。顕微鏡のカバーグラスに銀鏡をつけ、レーザー光線で音の振動を可視化する、というのもなかなか面白い実験でした。
投稿: かかし | 2014年7月14日 (月) 09時13分