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2014年1月31日 (金)

具留多味酸

★新聞記事から。

(文化の扉)はじめてのだし 食材のすべてを生かす和食の基
2014年1月20日05時00分
・・・
 約100年前、うまみの正体を発見したのは日本人だ。東京帝国大の池田菊苗博士が昆布だしの成分を「グルタミン酸ナトリウム」と突き止めた。それまで基本の味とされていたのは酸味、甘み、塩味、苦み。うまみはどれにも該当せず、5番目に追加された。
・・・

この特集記事では、うまみ成分の物質名としては「グルタミン酸ナトリウム」しか出てきませんでした。
それはちょっと物足りない。{うまみが足りないぞ。}

昆布のうまみの主成分は「グルタミン酸ナトリウム」でいいとして。
カツオのうまみの主成分は「イノシン酸ナトリウム」です。
また、貝類のうまみの主成分は「コハク酸ナトリウム」です。

いろいろあるわけですね。
他にもありますが、ま、代表的なものだけ挙げてみました。

★いくつかのこぼれ話。
:有機酸の授業の時、レモンの酸味だよと言って、クエン酸を生徒になめさせます。その酸っぱさに大騒ぎ。
で、コハク酸というのもある、となめさせます。この時のリアクションがおかしい。
じと~っ、とした視線を浴びせられますね。
なめた生徒に対して、周囲の生徒が「酸っぱいのかよ」と聞いても、無言、あるいは「まずい」と一言。
正直なところ、だる~~っくって、マズイです。
酸だろ、酸っぱくないのかよ。
いえ酸っぱくないです。
ある女子生徒が、実に的確な評価を下しました。
塩を入れるのを忘れた『うしお汁』のだるさだ」と。
そうなんだよねぇ、コハク酸ナトリウムは貝のうまみ成分なんだ。
でもコハク酸ではだめなのでして、ナトリウム塩のコハク酸ナトリウムでなければ旨味がないのです。
{先生は俺たちをころす気か、と感想を書いた生徒もいましたっけ。それほどにマズイのです。}

:池田菊苗博士が抽出したグルタミン酸ナトリウムの「標品」が現存します。

http://www.csj.jp/archives/isan003.html
認定化学遺産 第003号 具留多味酸 試料
↑ここに、写真がありますので見に行ってください。
「具留多味酸」と書いてあります。
東大理学部化学科にあったものを、現在は、味の素株式会社が貸与を受けて公開しているそうです。

:グルソー
こういう省略、大嫌いです。
ものの名前はちゃんと言いましょうよ。
笑い話程度ならいいとして、実害があることだってあるんだから。
ある集団の内部用語(業界用語)を、粋がって使わないことです。

グルタミン酸ナトリウム=グルタミン酸ソー
で、グルソー。

炭酸水素ナトリウム=重炭酸ナトリウム=重炭酸曹達(ソーダ)=重曹(重ソウ)
と同じような省略法です。

p-hyroxybenzoic aciid = パラヒドロキシ安息香酸=パラヒドロキシ・ベンゾイック・アシド
=パラベン
{これのエステルが食品添加物に使われます}

あったま痛ぇ。

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