「∞」に似た図形
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2014年1月21日 (火)「カッシーニの卵形曲線(2点からの距離の積が一定)」
からの続きです。
★前の話で「∞」記号に似たレムニスケートの話が出ました。
このレムニスケートの「∞」に似た図形を描いた経験があります。
高校物理の電気関係で、電位を扱い、電位の「等高線」としての等電位線を扱います。
点電荷Qから r 離れた地点の電位Vは V=Q/rとなります。
面倒だから、Q=1にしてしまえば、点電荷の周囲の電位は1/rです。
複数の点電荷がある場合、ある点での電位は各々の点電荷が作る電位の和になります。
これが二つの正電荷がある時の電位の様子です。エクセルの3Dグラフで描いたものです。
二つの電荷を結ぶ線分の中点のところに「鞍点(saddle point)」があります。(「峠点」ともいいます。)
●鞍点(峠点)というのは。
山越えをしようとするときに、両側の山の間の一番低い「峠」を越えますよね。でも旅人にとっては、峠まで登ってきてここを越えればまた下る。一番高い点でもあります。こういう、一番低くて一番高い点のことを「鞍点」「峠点」というのです。馬の鞍の形も思い出してください、そうなっていますよ。
この鞍点を通る等電位線が「∞」の形に似ています。
この図で原点で交差する∞型の曲線ですね。
似てはいますけれどこれはレムニスケートではありません。
ついでに正と負の二つの点電荷がある時の電位の様子(3D)です。
等電位面にするとこんな感じ。
★懐かしいな。
こういうのをボール紙で立体模型に作り授業に持っていきましたっけね。
苦労して計算したものですが、今なら、エクセルシートに計算式を書き込んで、3Dグラフを指定すればすぐできてしまう。「隔世の感がある」というのはこれですね。
3Dグラフを見る「視点」をマクロで移動させていくと、山の周りをまわったり、裏側に回り込んだりの動画も作れますよ。すごいんだから。
★さて、もう40年近くも昔からいろんな手法で描いてきた曲線ですが、今回新たな認識を得ました。
2点からの距離の和・差・商(比)・積と場合を尽くす考え方に接しました。(楕円・双曲線・アポロニウスの円・カッシーニの卵形線)
その視点でいうと、この等電位線を描く、という作図は
++の場合は、2点からの距離の「逆数の和」が一定
+-の場合は、2点からの距離の「逆数の差」が一定
という曲線だったんですね。
なるほどねぇ、面白い。
逆数の商(比)は当然アポロニウスの円になります。
逆数の積は
1/(r1*r2) = const.
こうですから、分母になっていますが「距離の積が一定」ということですね。
ですから、これは、カッシーニの卵形線になるはず。
{一度、プログラムを書き換えて確かめてみましょうかね。}
話は大きく変わりまして。
★2つの等しい正電荷がある時は「鞍点」ができました。
では
3つの等しい正電荷が正三角形の頂点にある場合の、中心部は「鞍」か「盆地」か?
という問題を思いついたのは20代の終り頃だったかなぁ。
当時、私が持っていたのは「YHP-25ミニ」
(横河・ヒューレット・パッカード(YOKOGAWA・HEWLETT・PACKARD)でYHPです。)
プログラミング・ステップはたったの49ステップ。
点一つを計算するのにすごく時間を要し、それを手書きでノートに写し取り、グラフに点を一つ打つ。
これを繰り返しました。
http://homepage3.nifty.com/kuebiko/science/freestdy/RPN_CALC/RpnCalc.htm
●正三角形の各頂点に等しい大きさの正の電荷を置いたとき、正三角形の中心部での電位の面は「峠」になるのか「盆地」になるのかを解いて、「盆地」になる解を得た時は感激しましたっけ。
1か月以上かかった、と記憶します。
今はエクセルで「一瞬」だもんなぁ。
ご覧ください↓
こういう状況設定です。
この時、真ん中の部分は「峠」でしょうか?それとも「盆地」でしょうか?
真ん中あたりの拡大です。
曲面の右の方、青い曲面の中に「白いスポット」がありますね。
これは「盆地」です!
昔の感動を思い出しますね。
今回「十進BASIC」で、電位の山のプログラムを書いたので、ちょっと変形して、この「3つの正電荷」の等電位面を描かせてみました。
中央に太い線でスポットが描かれています。
これが「盆地」!
ごく浅い盆地なので、今回の手法で描くと、許容誤差範囲にたくさんの点が入ってしまい太くなりました。
しかしまぁ、簡単に描けるものだと。感慨深い。
時代は変わるんだなぁ。
パソコンのCPUパワーが全然違うものなぁ。
YHP25ミニはよく頑張ったよなぁ。
あれが私のプログラミング趣味の原点です。
★
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2014年1月23日 (木)
三角形に糸の輪をかけてぴんと張ったまま線を描くとどうなるか(かかしの卵)
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