消臭?
★新聞記事なのですが
汗臭さだけブロック…花王が消臭成分を発見
花王は鼻の細胞に作用して、汗臭さなど特定の悪臭だけを感じにくくさせる消臭成分を発見したと発表した。
これまでの消臭剤は強力な香りで悪臭を覆い隠すか、脱臭成分ですべての臭いを吸い取るものだったが、新技術を使えば、狙った臭いだけを感じなくすることができる。今後研究をさらに進め、5年後をめどに商品化したい考えだ。
今回発見したのは、汗臭さのもととなるヘキサン酸だけを感じにくくする成分で、3種類の香り成分を調合して作った。
鼻の奥の粘膜細胞には約400種類の嗅覚センサーがあり、センサーと香り成分が結合すると、脳が臭いを感じる。花王は、5種類の嗅覚センサーがヘキサン酸と結合したときに汗臭さを感じることを突き止め、ヘキサン酸よりもこれらセンサーに付着しやすい香り成分を探しだした。研究員3人が試験したところ、ヘキサン酸による悪臭の強さの感じ方が5分の1以下になったという。(2014年1月9日07時29分 読売新聞)
「汗臭さのもととなるヘキサン酸だけを感じにくくする成分」をして「消臭剤」というんですか?
ヘキサン酸はあるのに感じなくなるだけでしょ。それは「不感剤」とでもいうべきものじゃないでしょうか。
なんだか妙な気分だ。私はそれ、使いたくないな。
★ところで、ヘキサン酸というのはおそらく聞きなれない名前ですね。
「hexa ヘキサ」=6です。
CH3(CH2)4COOH
これで炭素が6個ありますね。ですから、ヘキサン酸なのです。
慣用名ではカプロン酸と呼ばれていました。
グリセリドとしてバター脂、やし油中に存在する。不快臭のある無色油状の液体。融点1.5℃、沸点205℃。水に難溶、エタノール、エーテルなど普通の有機溶剤に易溶。香料などの原料として用いられる。(化学辞典から)
★「炭素数が少ない」ことを表す化学用語は「低級」といいます。
低級脂肪酸は「くさい!」
・酢酸は炭素数が2ですからエタン酸。薄ければ食酢ですが、濃酢酸の刺激といったら鼻がマヒします。
・プロピオン酸は炭素数3でプロパン酸。特異な刺激臭といいましょうか。
・酪酸は炭素数が4ですからブタン酸。牛乳が腐敗した匂い。
・吉草酸は炭素数が5ですのでペンタン酸。汗が発酵したような匂い。
ま、いずれにせよ、ろくな匂いではありません。
ところで「高級アルコール系洗剤」という表示を見たことありませんか?
そうか、高級なアルコールというのだからきっと品質がよいのね、上等なのね、と思わせる、ある種の策略ですよ。
この場合の「高級」は「炭素の鎖が長い」という意味しか持っていません。
そのあたり、知っておいてください。「長い」ということに厳密な定義はないですが、およそ6以上、と考えておけば間違いないです。
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