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2013年10月24日 (木)

渦について(後に追記あり)

昨日、藤原の効果などのお話をしましたが、今日は、実験できますよという話。

★実験ではないですが、竜巻の映像がテレビでたくさん流れました。
あれは雲を伴うことで可視化された大規模な大気中の渦管です。
小規模なものは、風に木の葉が巻きあげられて渦を巻く、というのが見られますね。あれも渦管の可視化。

★新しい水から沸かしたてのお風呂に入りますと、水にとけきれなくなった空気が微細な泡となって肌に着きますね。その状態で、肌を手のひらの縁で撫で、掻き取り、肌から手を遠ざけるように、穏やかに動かして下さい。肌と遠ざかる手の間に、周囲から水が流入しますが、その時渦管が生成し、そこに微細な気泡が巻き込まれて可視化されます。
まるで白い糸のようなものが水中に引き伸ばされるのを見たことはないですか?
あれが渦管です。
渦管が水面に達すると、渦管の断面が、水面のくぼみとして現れるのですが、そこまではなかなか見えないと思います。

あるいは、二酸化炭素入浴剤で湯の中に微細な泡があるときでもできます。

ぜひお試しください。渦の実態とはこういう管だったのだ、ということが実感できます。

また、想像力を働かせて、この渦管が両端でつながったら「リング状」に独立した渦管の輪ができるのだな、煙の大砲や、イルカのバブルリングと同じなんだな、などと考えながらじっくり温まって下さい。
湯当たりなさいませんように。

★手のひらを湯の中から水面に立てて、手を押すように湯の中に沈めると両側に渦ができますよね。
手が沈みきるまでは緩やかに、手が沈んだら一気に深く手を沈めると、水面からかなり深くまで渦管を作ることもできます。面白いですよ。

★水面のくぼみ程度の渦でいいので、確実に渦が作れるように練習して下さい。
それと水面の反射などを利用して、渦を観察することに慣れること。そして、普通の渦の寿命がどの程度か、なんとなく体感しておくこと、これをお願いします。

Uzu
手を手前から向こうへ押すようにして沈めた場合、手のひらの左側に反時計回りの渦ができ、右側に時計回りの渦ができます。
これを、図中では反時計回りの方を「渦A」、時計回りの方を「渦B」と表記しました。

先ず図1のように。
左右の手を並べるようにして、押し沈めると、両手のひらの間には、回転の向きが逆であるような渦を並べることができます。
この並んだ渦を眺めると、特に相互に干渉することなく、並んだままやがて消えていきます。

次に図2のように。
両手のひらを向かい合わせに交差するような動きをして渦を作ります。
すると、手のひらの間には、同じ回転の向きの渦が生じてすれ違うことになります。
観察していただくと、この時の渦は、互いに相手の周りを回るような、絡みあうような動きをして、すぐに消えてしまいます。
このケースが「藤原の効果」の原理に対応するものですね。

なんだかんだいっても、お風呂遊びは楽しい。
のぼせてしまわないようにしながら、楽しんで下さい。

★水面に渦を作った後、渦の下を掻きおろすように手を動かして水を下に流します。
すると、渦が深くなったりして寿命を延ばすことができます。手を動かすエネルギーが渦に供給されたのだ、という見方もできます。
また、渦の真下で、手のひらを斜めにして水面に平行に動かすと、渦を長持ちさせることができます。これはその斜めの手のひらの水平な動きが下への水流を生じて渦を強化するのです。
これが、船の「櫓をこぐ」という動きの原理です。
櫓を動かす方向と船の進行方向とは垂直ですね。
水泳でスカーリングという動きがありますが、これも同じ原理です。

★ずいぶん昔に「気を送る」とかいって、机の上に倒れやすく折った紙を置き、ちょっと離れたところから、手のひらを開くようにしながら何かを送るような動作をして、紙が倒れて、「超能力だ」と騒いだことがありました。
手のひらを開く動作では、大した「風」は起きませんので、風が吹かないのに紙が倒れた、気を送ったからだ、というのでした。
これ、実はおそらく「渦」です。渦は質量のある物体のごとくに進んで、紙にぶつかって倒すことができるのです。

お風呂で渦の実験をして身につけていただくと分かりますが、渦を作るというのと、水流を起こすのとは違うんですね。
渦はしばらくの間、あたかも質量のある物体の塊のごとくにふるまって進行する。

水中で魚が泳ぐ。このとき、尾びれで渦を後方へ押しやって、その反動で進む、という泳ぎ方があるのです。ある種の「渦ロケット」ですね。質量のある物体のごとくに扱える渦に速度を与えて送り出すと(運動量の放出)、同じだけの運動量を送り出した側も得て、前進できるというわけです。(運動量保存の法則)

アメンボが水面で脚を後へ掻くと、水中に小さな渦が出来てそれを後に送り出すことができます。
このようにして後方へ運動量を放出すると、アメンボ自体が前進する、というメカニズムがあるようですよ。

★だらだらと、渦について頭に浮かんでくることを書き連ねました。
よろしければ今晩、入浴時に、渦管の観察と水面の渦づくりなどお楽しみください。

反省:2013.10.25記
上で、水面に渦を作って観察する話を書きましたが、「頭の中の実験」はやはり最適ではなかったですね。
私自身は頻繁に渦を作って遊んでいるものですから、つい、上の図のような組み合わせでもいいだろうと、描いてしまったのですが。

◎回転の向きが異なる二つの渦は安定的に共存しうる。
これは、片方の手のひらを押すような動作をしながら沈める、という単純な渦の作り方で十分に観察できます。手のひらの両側に生成した渦が、ペアを組んでずっと移動していくのが見られます。

◎回転の向きが同じ二つの渦は安定的には存在できない。
これは上の図でご紹介した方法では、なかなか難しいですね。
手の周囲にできた渦が複数絡みあってしまって、識別が難しいです。出来事が複雑化してしまいました。
渦は絡みあうなぁ、ということぐらいは分かります。
その程度の実験だとご了解ください。

手のひらを手前に向けて沈めて、大きな渦を作り、干渉させるというようなことも試みてください。よろしく。

やっぱりやってみないとダメですねぇ。やってみてもダメでしたけど。
反省。

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