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2013年10月 9日 (水)

チョウの吸水行動

★前の記事で、クロアゲハの吸水行動の写真をお目にかけました。
あのクロアゲハは、おそらく9月21日に羽化した雌雄2匹のうちのオスだったのではないか、と想像しています。
そうすると、「羽化して間もないオス」ということになるわけです。

雄チョウが尿に集まる理由は… 広大教授ら習性の謎解明(朝日新聞 2012年8月19日7時18分)
 雄のチョウが家畜や人の尿などでできた水たまりに集まる不思議な習性は、子孫繁栄のための行動であることを広島大の本田計一名誉教授(化学生態学)らのグループが突き止めた。尿に含まれるアンモニアを、雌を追いかけるのに欠かせない筋肉や精子などをつくる原料にしていた。
 羽化間もない主に雄のチョウやガは、水たまりに集まって、長いときは数十分間にわたって「吸水行動」をとることが知られている。尿を出しながら吸水する種類もいるため、水分に含まれる何らかの栄養素を取り込もうとしていると考えられてきた。
 研究グループは、吸水行動を頻繁に行う琉球諸島にすむシロオビアゲハを選んで、アンモニアを加えた砂糖水を、羽化翌日から5日間与えた。その後、目印をつけておいたアンモニア中の窒素が体のどの組織になっているかを解剖して調べた。
 その結果、体内でアンモニアからアミノ酸が合成され、胸の筋肉組織や精子がつくられていることが分かった。砂糖水だけを与えた個体群に比べて、精子の数は3割ほど多くなっていた。ほかのチョウでも同様の合成を行っている可能性があるという。
 実験に当たった生物圏科学研究科大学院生の高瀬浩行さんは「繁殖の成功度を高めるために積極的にアンモニアを取り入れているのではないか。チョウの飼育、絶滅危惧種の保全にも役立てられるかもしれない」と話している。
 研究結果は、独科学誌に掲載された。

こういうことなのですね。
この同じ研究について中国新聞では、掲載日の記録が欠けているのですけれど

チョウ吸水行動の「謎」解明(中国新聞)
 広島大(東広島市)の本田計一名誉教授=化学生態学=と生物圏科学研究科大学院生の高瀬浩行さんが、水たまりや家畜、人のふん尿に集まり、水分を吸うチョウの「吸水行動」は、アンモニアを摂取して繁殖活動に役立てるためだと突き止めた。絶滅危惧種の保全などに役立つ可能性がある。
 吸水行動はこれまでナトリウムの摂取のためというのが通説だった。本田名誉教授はチョウがふん尿や死体にも集まることに着目。アンモニアも摂取していると仮説を立て、2009年秋から高瀬さんと実験を始めた。
 琉球諸島に生息、頻繁に吸水するシロオビアゲハを学内で繁殖。吸水行動をさせて解剖したところ、アンモニアをナトリウムの1・16倍も摂取していた
 このアンモニアを原料に体内でアミノ酸を合成、精子や精液タンパク質、胸部筋肉組織の製造に使っていることも判明。受精に直接関わる有核精子の割合がアンモニアを摂取していない個体より約3割高いことも分かった
 これらのデータはいずれも精子の競争や飛行力のアップなど、繁殖に有利になることから、吸水行動は繁殖成功度を高めるためと結論づけた。
 高瀬さんは「絶滅危惧種の保護や繁殖に役立てばうれしい」。本田名誉教授は「謎が一つ解明できた。他の昆虫類ではどうなのかなど、さらに調べたい」と話している。

精子というものは、運動能力のある遺伝子、みたいなものです。遺伝子はDNA。すると窒素分が大量に必要になるのですね。卵子の場合は発生に必要な栄養をたくさん持たせることが大事ですね。

もう一つ、同じ研究を、読売新聞では
<>

チョウはなぜふん尿まじりの水を吸うのか(2012年9月10日14時44分  読売新聞)
 チョウが人や動物のふん尿を含む水たまりに集まって吸水する習性は、アンモニアを摂取して繁殖の成功度を高めるためだということを、広島大の本田計一名誉教授(化学生態学)らの研究グループが解明した。
 研究結果は7月下旬、ドイツの科学雑誌の電子版に掲載された。
 チョウは幼虫の頃に植物を食べて育つが、植物にはナトリウムが少なく、成虫になって筋肉を動かすのに必要なナトリウムの欠乏状態になっていることが知られていた。
 チョウの吸水行動はナトリウムの摂取が主な目的。ただ、研究グループは、同時にアンモニアなどを吸収して生命活動に必要なたんぱく質を合成しているのではないか――との仮説を立て、2009年秋から11年末まで、沖縄など琉球諸島に生息するシロオビアゲハを使って実験した。
 ショ糖(砂糖の主成分)と塩化アンモニウムの水溶液をシロオビアゲハに吸わせた後、解剖して調査。その結果、体内でアンモニアからアミノ酸を合成してたんぱく質に作り替え、精子や胸部筋肉組織の組成に使っていたことが分かった。ショ糖だけを与えたチョウに比べ、塩化アンモニウムを摂取したチョウは、精子の数が約3割増えていたという。
 研究グループの広島大大学院生物圏科学研究科博士課程前期の高瀬浩行さんは「他種のチョウも同じとみられ、絶滅危惧種の保護や繁殖に役立てられるのでは」と話している。

同じ研究の記事であっても、読んでいると結構雰囲気が違うものですね。

今回見たクロアゲハの吸水行動は窒素分の補給にはなっていないような気もしますが、でも、若いオスが吸水して繁殖に備えようとしていたということはおそらく間違いないでしょう。

実はチョウの吸水行動については、上に引用した記事が新聞に掲載されたころに扱っています↓
http://yamada-kuebiko.cocolog-nifty.com/blog/2012/08/post-83ab.html
2012年8月20日 (月)「チョウの吸水行動」

書いてあることはほぼ同じですが、よかったら参考までにお読みください。

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