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2013年10月 9日 (水)

イチイの実

★朝日新聞の土曜日別刷り特集「be」に「作家の口福」という連載があります。
2013年10月5日の掲載分は清水真砂子さんの「赤く熟したイチイの実には」という文でした。
清水さんは子どもの頃にイチイの実を食べていたのだそうです。

その頃それがイチイとは知らなかったが、一緒に遊ぶ上級生が食べていいもの、わるいものを、きっちり下の子たちに教えてくれていた。イチイは木さえ見つかれば、実は遊び仲間に行き渡るだけあって、私たちは次から次へと口にふくんでは、種子だけプッと吹きとばした。
 それから三十数年後のある秋の日、夫と私は作家のフィリッパ・ピアスさんとケンブリッジに近いグレート・シェルフォードの彼女の生家の入り口に立っていた。名作『トムは真夜中の庭で』の舞台となった屋敷である。門に向かって左手には年経たイチイの木があって、折しも実はすっかり熟れていた。私たちはふたりとも手をのばして、赤く熟した実をつまむと、口に運ぼうとした。とたんにピアスさんが顔色をかえて、叫んだ。
 「食べちゃだめ!毒よ、それは」
 「そんなこと、ありません。子どもの時から食べてきましたもの」。私は言い返した。
 「ううん、ぜったい毒。馬だって死ぬのよ」。ピアスさんも引かなかった。
 ・・・

で、植物図鑑を調べたら「猛毒とあった。ただし、毒は種の中にある」ということだったのだそうです。

★我が家にもイチイの木はあるのですが、私と妻の「踏み分け道」のそばにあるので、歩くのに邪魔にならないように低く小さく刈り込んでいます。
そのせいでしょう、実がなったという記憶がありません。
家のイチイとは違う同名の木があるのかな、と調べてみたら、同じもののようです。
ふ~ん。

ウィキペディアによりますと↓
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%81%E3%82%A4
イチイ

果実は甘く、そのまま食用にしたり、焼酎漬けにして果実酒が作られる。
しかし種子には有毒アルカロイドのタキシン (taxine) が含まれている。種子を誤って飲み込むと中毒を起こし、量によってはけいれんを起こし、呼吸困難で死亡することがあるため注意が必要である。イチイのタキシンは果肉を除く葉や植物全体に含まれる。

そうなんだ。

ブログ記事で

小鳥もイチイの実を食べているんですが、ちゃんと種は食べずに出しているそうです。
誰に教えてもらわなくても毒かどうか分かるのは野性動物ってすごいですよねぇ!!

というのも見つけました。
これはおそらく、考え過ぎだと思います。
要するに、鳥は「噛まない」で「呑み込む」だけなんですね。
消化管を通過するうちに、果肉は消化されますが、種子は表面だけに消化酵素の作用を受けただけで糞と一緒に排出される。
ですから、種子に毒があっても、中毒することはない。
哺乳類は、顎があって歯が生えていて、基本的に「噛んで」「すりつぶして」食べます。
ですから、種子の中の毒の作用を受けてしまうのです。
ウィキペディアで「種子を誤って飲み込むと中毒を起こし」とあるのですが、それはどうかな。通過してうんちに出るだけじゃないかな。

種子の側からしますと、鳥の消化管の中で表面を消化酵素で処理されると「発芽率が上がる」というようなこともあるやに聞き及んでおります。

★今年、ギンナンを蒔いた話↓
http://yamada-kuebiko.cocolog-nifty.com/blog/2013/10/post-93b2.html
http://yamada-kuebiko.cocolog-nifty.com/blog/2013/07/post-c28d.html
↑ここで、多分鳥の糞だと思われるものの中にあったギンナンをまいたら発芽して成長している、ということを書きました。鳥の消化管の中を通って、発芽しやすくなっていたのではないか、と想像しています。蒔いたのが全部発芽しましたものね。

★同じようなことがランタナにもあります。
ランタナの実は、哺乳類には有毒だが鳥類には無毒だ、という話です。
これも、哺乳類は噛んで食べるけれど、鳥は呑み込むという食べ方の差のせいです。

植物側は、種子をかじってしまう哺乳類には食べられたくない、種子を糞と一緒に広範囲に撒布してくれる鳥には毒作用がない、という形で進化したのでしょうね。
野生動物がすごいというよりも、種子の広範囲な撒布を狙う植物の知恵(進化)はすごい、と私には感じられます。

★そういえば、哺乳類の消化管を通過して出てきた「コーヒー豆」というのもありましたね。
たまたま日経で見かけたので引用します。

希少「ルアックコーヒー」の識別法発見 日本などの研究チーム(日経 2013/10/7 10:07)
 世界で最も高価なコーヒーの一つとされ、まがい物が横行しているインドネシア産の希少品「ルアック・コーヒー」について、日本とインドネシアの研究チームが7日までに、成分分析によって「本物」と識別する方法を見つけ、米専門誌に発表した。
 (中略)
 ルアック・コーヒーは、インドネシアに生息しコーヒーの果実を食べるジャコウネコ(インドネシア語でルアック)の排せつ物から、消化されずに残ったコーヒーの種子(豆)を取り出し、洗浄、乾燥後に焙煎してつくる。
 (中略)
 現在は熟練した検査員が味や香りを頼りに判別しているが、人手に限りがある。効率的な識別法確立に向け、チームが研究に乗り出した。
 チームは国立インドネシア・コーヒーカカオ研究所が提供したコーヒー21種類のサンプルを分析。各サンプルを特殊な方法で気化させ、アミノ酸や糖などの含有率を調べ、ルアック・コーヒーに特徴的な成分比を発見した。
 (後略)

私は飲んだことないです。そのルアックコーヒーというもの。
それほど「違いの分かる舌」の持ち主じゃないからなぁ。
毎日キリマンジャロをドリップして2時~3時ころに1杯飲むのが習慣。
苦みより酸味が好きです。そのくらいの差は分かるけど。
{ティーバッグの紅茶が「紙くさい」くらいの味覚もあります。でも毎日飲むのはティーバッグですけど。30年近く前の昔話:パイプ煙草や葉巻、シガリロと比べると、紙巻きたばこは焦げくさかったです。}

ジャコウネコは「噛み裂く歯」はあっても「すりつぶす歯」はないんでしょうね。だから、多少口の中で噛んでも、種を噛みつぶさず呑み込んでしまうのでしょう。で、うんちに出てくる、と。
しかしまあ、それを焙煎して挽いて飲む、なんてこと、誰が思いついたのかなぁ。
私はダメですね。せいぜいが「蒔いてみようかな」と思うだけだな。

別件ですが:ウィキペディアから引用
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%BC%E3%83%AB
インドール
インドールは室温では固体だが、大便臭を発散する。実際大便の臭い成分にもインドールが含まれる。ところが非常に低濃度の場合は花のような香りがあり、オレンジやジャスミンなど多くの花の香りの成分でもあって[1]、香水に使われる天然ジャスミン油は約2.5%のインドールを含む。現在では合成インドールが香水や香料に使われている。
(後略)

こういう話もあるしなぁ。まあ、いいや。

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