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2013年9月 6日 (金)

収れん火災

★イギリスの高層ビルのガラス壁が光を反射して焦点を結び、車の一部が溶けたというよな記事がありました。

英高層ビル、ジャガー溶かした 反ったガラスが凹面鏡(朝日新聞 2013年09月04日11時47分)
 ロンドンで、反射ガラスを多用したデザインで建築中の高層ビルが、巨大な「凹面鏡」と化して太陽光を集め、眼下に駐車した車の一部を溶かしたり、店の外装を焦がしたりする騒ぎを起こし、話題になっている。
 金融街シティーに建てられている37階のビル。直方体の真ん中をすぼめた特異な形が話題を呼び、完成前から「ウオーキートーキー(携帯無線機)」というあだ名を付けられていた。
 ところが最近、午後になると、反ったガラスが陽光を照り返し、反対側の通りに焦点を結ぶようになった。英メディアの報道によると、先週、駐車していた高級車ジャガーのサイドミラーを溶かしたという。
 記者が訪れた3日午後、雲間から日光が差すと、気温が50度を超える「ホットスポット」が出現。ベトナム料理店の入り口付近にある外装の石が焦げて、はがれ落ちていた。隣の理容店のドアマットには焦げ跡が。ビジネスマンたちが次々に見物に訪れ、路面の石で目玉焼きを作るパフォーマンスを繰り広げる人も。
 騒動が拡大する中、ビル建築主のディベロッパー2社は3日、「光を遮断するスクリーンを24時間以内に通りに建てる」と発表した。ディベロッパー側は朝日新聞の取材に対し、「2~3週間すれば日光の向きが変わり、この現象は解消する見通し」と説明した。

NHKでも

ロンドン ビルの反射光で騒動(NHK 9月4日 13時40分)
 イギリス・ロンドンで、建設中の高層ビルに反射した太陽の光が向かいの地区に集中して当たり、場所によっては温度が100度近くにまで上がるなど、地元でちょっとした騒動となっています。
ロンドン中心部のビジネス街近くに建設中の37階建てのビルは、内側にくぼんだ独特のデザインで、壁面はすべてガラス張りになっています。
 ところが、凹型の反射板のような形状になっているため、太陽が上るとビルに反射した光が向かいの地区に集中して当たり、あまりのまぶしさに通りかかったビジネスマンが思わず足を止めて見上げるほどです。
 場所によっては温度が100度近くにまで上がるところもあり、用意したフライパンで目玉焼きを作るパフォーマンスをする人も現れています。
 一方、冗談ではすまないケースも起きていて、ビルからの光が原因で、向かいの美容室のカーペットが焦げたほか、路上に止まっていた高級車の車体が変形するなどの被害も出ています。
美容室の従業員は「焦げ臭いと思って振り返ったら、カーペットから煙が出ているのを見つけ、慌てて消しました」と話していました。
 ビルのオーナーは原因の調査を始めるとともに、建物の壁面に光の反射を抑える特別なコーティングを施すことも検討しているということです。

多少の実害があっても、ほぼ冗談で済ませられる状態だからいいですが、これ、火災を引き起こすこともあるんですよ。
(車が加熱されてガソリンが気化し炎上することだってあり得ないわけじゃない)

★「収斂(れん)火災」といいます。
思わぬものが凸レンズや凹面鏡として働いて、その焦点から発火する火災です。
日差しが低くなる冬場、部屋の奥まで日光が差し込んで、起こることも多いので、日差しの強い夏場のものだとは思わないでください。
車のお守りをぶら下げるプラスチックの吸盤が凸レンズになって車が発火したというのもありました。
私の個人的「データベース」を検索したら
●実験室でボヤ、凹面鏡が犯人{収れん火災、都立北園高校}(1993/2/1)

●凹面壁のビルにご用心{反射光"収れん"バイク燃える}(1994/3/30)
 {これは大田区蒲田でのことです。近場なので印象に残っています}

●[とうきょう火消し図鑑]原因を分析し防火対策{収斂火災,プラグからの出火}(1994/4/8)

●ペットボトルで火事{光線集め、廃材燃やす}(1994/11/9)

●ボヤの犯人 料理用ボウル(1995/2/16)

●水入りボトル火事の元(1999/2/7)

●「火元」はガラスの置物:昨年都内で レンズの役割(2001/3/22)
  収斂火災:ガラス製のリンゴの置物

●ぼや原因はステンレス製ボウル 都内で相次ぐ(2006年02月06日11時39分)
 ベランダに置いていた食器のボウルが突然丸焦げに――東京のマンションで昨年10月、ステンレス製のボウルと、中に入れてあったプラスチック製の植木鉢が焼けるぼやがあった。東京消防庁の調べで、太陽光がボウルの内面に反射し、出火した「収れん火災」と判明。都内では昨年、同様の火事が8件起きた。太陽が低くなる冬場に増えるといい、同庁で注意を呼びかけている。
 「帰宅したら植木は跡形もなく燃えていて、ボウルは真っ黒。たばこも吸わないし心当たりがなく、放火されたのかもと心配だった」。杉並区のマンション2階に住む会社員男性(38)が振り返る。ベランダでぼやがあったのは、昨年10月14日午前11時40分ごろ。その後、東京消防庁からボウルが原因と伝えられた。
 収れん火災は水晶玉やペットボトルなどで太陽光が反射または屈折し、一点に集中して発火する現象。太陽光を虫眼鏡に通して、黒い紙に当て続けると煙が出るのと同じ原理だ。男性方は南向き。ベランダのエアコンの室外機の上にボウルを置いていたという。
 都内では昨年11月にも豊島区の民家で、ベランダに干していた布から出火、17平方メートルが焼ける火事があった。そばに置いてあったボウルが原因と特定された。収れん火災は昨年、都内で8件。ボウルが原因となったのが4件、凹面鏡が3件、ガラス玉が1件あった。
 東京消防庁は「収れん火災は、日差しの角度が浅く室内に長い距離で差し込む冬場に多い。窓際にボウルや水晶玉などを置かないように」と注意を呼びかけている。

●東京新聞(2007年8月21日 07時42分)
猫よけペットボトルに注意 レンズの役目、火事の危険
庭先に「猫よけ」として置かれるペットボトル。専門家は発火の危険性を指摘している=名古屋市内で 名古屋市北消防署は20日、同市北区の住宅の庭に置かれていた猫よけの水入りペットボトルがレンズの役目をして木くずを焼くぼや騒ぎが、17日にあったと発表、注意を呼び掛けている。野良猫よけの水入りペットボトルは、10年以上前に全国で広まったが、専門家も「火事の危険があるだけだ」と警告している。
 ぼや騒ぎは、17日正午ごろに発生、木くずがくすぶっていた。家人が猫よけにペットボトル(4リットル)を置いていた。火事はペットボトルの水で消し止められたが、火の気がなく、晴れて乾燥した猛暑日だったため、同消防署は「水で光が集められ、近くの木くずに着火した」と断定した。
 総務省消防庁によると、化粧で使う拡大鏡など曲面の物体が太陽光を集め、近くの可燃物などに着火する「収れん火災」は全国で年間10件近くある。部屋の奥まで日が差す冬も注意が必要という。

●車ホイール付近の発火に注意(2008/11/9)
 車のタイヤのホイールが凹面鏡のような働きをして太陽光を反射し、近くのものが燃える可能性があることが、国民生活センターのテストで分かった。
 「日差しの強い日に車の近くの散水ホースが焦げた」と、テスト依頼が8月に秋田県の消費生活センターからあった。4銘柄の8製品をテストした。
 日光の反射光が最も集まる距離(約45cm~約130cm)に、新聞紙の束と新聞紙を入れたゴミ袋を置いて実験。めっきがしてある4製品で、5秒~6分後に新聞紙の束から煙が出た。炎は出なかった。ゴミ袋では同じ4製品で32秒~32分後までに発煙、発火した。
 このような「収斂火災」はルーペ、ペットボトルなどでも発生するという。

★ね、冗談ごとじゃないでしょ。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8F%8E%E3%82%8C%E3%82%93%E7%81%AB%E7%81%BD
収れん火災

http://www7a.biglobe.ne.jp/~fireschool2/d-A3-03-3.html
収れん火災

1994年(平成6年)3月25日14時25分頃 出火した車両火災。
 大田区蒲田のビル前に駐車していたバイクの座席シートが焼損した。
 原因は北東のビル外壁のガラスによる収れ ん火災である。
 当日の太陽の位置は
  高度 h=41.8度
  方位角 A=233.7度 (理科年表から算出)
 外壁面の1/4円の半径は、4.55mであった。

http://www.isad.or.jp/cgi-bin/hp/index.cgi?ac1=IB17&ac2=94fall&ac3=5443&Page=hpd_view
消防科学総合センターのサイト

★思わぬ火災を引き起こさぬよう、ご注意ください。

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