台風18号
★今日の東京は台風一過の晴天、朝は肌寒いほどでした。
台風お見舞い申し上げます。
皆様には如何お過ごしでしょうか。被害などなかったでしょうか。
{昔の誤解「台風一家」。どんな家族構成なのだろう?などと幼い頃は思っていました。 「鉄道がふつう」とラジオから聞こえてきて「普通」なら問題ないじゃないかとも。
洞爺丸台風の時、6歳。小学校に上がる前の年。2階の一部屋の借間暮らし。長押の上の3尺四方を風圧で吹きぬかれて恐ろしい思いをしたという記憶があります。}
さて、話を戻して。私の住んでいるあたりでは、15日(日)の朝からの何時間かの雨が猛烈でした。多摩川の水位も普段よりは上昇して、「水防団待機水位」に近づいていました。
16日(月)は、雨は15日ほどには激しくなかったのですが、風がすごくて
1 6.1 南南東
2 8.4 南南東
3 8.2 南南東
4 9.7 南南東
5 12.5 南東
6 13.5 南南東
7 17.0 南南東
8 20.4 南南東
9 19.5 南南東
10 18.9 南
11 18.4 南
12 20.5 南
13 15.6 南西
14 8.6 南西
16日の羽田での、午前1時から午後2時までの平均風速と風向です。
7時ごろから昼過ぎにかけて、すごかったです。
その風に乗って雨が雨戸に吹き付けまして、雨量の割に緊張を強いられました。
13時を過ぎる頃からは、嘘のように穏やかになりました。
外へ出てみて、被害はなかったか、と一回り。
被害はなし。ただ、オーシャンブルーのグリーンカーテンが風で乱れて垂れていました。
★豊橋での気象データを見に行きましたら、気圧の観測はしていないアメダス・ポイントのようでしたので、風向と風速のデータをコピーしてきました。
平均風速のグラフです。
データをエクセルに貼り付けて、グラフを指定して、エクセルが描いたグラフに何の手も加えずに掲載します。(加工するのが面倒だという、単なるものぐさです。)
8時過ぎのところで、一瞬風が弱まっていますね。この辺りが台風の目の通過のころでしょうか。
6時から9時50分までの平均風速と風向の表です。
東南東→南東→南南西→南西 と風が回りました。
いわゆる「吹き返しの風」です。
強い風が一瞬弱まって、次いで逆方向の強い風に変わるというのが、台風の目が通過するときのパターンです。
日本中、いつ自分の頭の上を台風が通過するかもしれませんから、防災知識として知っておいてください。
★豊橋のデータには、気圧がありませんでしたので、名古屋のデータを使って、気圧変化を見てみましょう。{エクセルが自動的に描いたもの、そのままです。}
ここでの「気圧」は「現地」での気圧で、海面気圧に補正したものではありません。念の為。
8:10に972hPaまで下がりました。
やはりこの頃が台風上陸のようです。
このグラフ、ある意味で、台風の気圧構造の断面図になっています。
観測者が台風の中を突っ切りながら気圧測定をするのではなく、固定観測者の頭上を台風が通過していくことによって、相対的に台風を突っ切るわけです。
昔、伊勢湾台風の時のこういう気圧変化のグラフを地学の教科書だったかな、で見て、非常に深く驚いたのでした。
今は、インターネットがあるので、私のような「固定人間」も、あちこちのデータをとってくることができます、おかげで、こんなグラフを自分で描いて観察することができるようになりました。
★理科おじさんの部屋の第62回で、2006年9月の台風13号について、やはり気圧構造の断面図など作っています。
石垣島を通過した時には930hPaくらいでした。
佐世保市のあたりを通過した時は960hPaくらいでした。
いろいろ工夫したグラフも載せています。関心がおありでしたら是非読んでみてください。
http://homepage3.nifty.com/kuebiko/science/62th/sci_62.htm
↑ここです。
★もういっちょ。
台風が例えば時速36kmで進んだとしますよね。それは秒速10m。
台風の周囲の風が秒速30mとか40mで吹いていて、台風の移動速度が加わると、
台風の進路の右側では風速が足し算の形になって(単純じゃないですけどね、おおざっぱには)風台風の様相が強まります。
台風の進路の左側では、風速は多少弱まるのですが、雨台風の様相が強まります。
もちろんこれは単なる目安に過ぎません。絶対そうなるなんて信じ込まないでくださいね。
テレビなどで、正しい情報を入手して、対処して下さい。
台風は一様ではない、ということを知っておいた方がよい、という意味合いです。
今回の場合は、上陸前に、台風の前面左側で豪雨災害が起こっています。
湿った空気を送り込んだからですね。
台風ごとに性格が違いますので、正しい情報に基づいて行動してください。
昔の人の言い伝え
「台風の風を背に受けるように立ったとき、左手を斜め前に伸ばした方向に台風の中心がある」
これも目安です。この目安で、台風がこれから来るのか、もう通過したのかの、おおまかなめどを立てて、対処したのでしょう。台風の中心へ吹きこんでいく風を考えれば確かにおおよそこんなふうになります。ただし、風は地形などによって大きく変わりますから、ご注意ください。
今は、テレビの情報がリアルタイムで入りますから、正しい位置情報で判断して下さい。
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