ダウンバースト
★ダウンバーストの解説はいろいろありますので、私があまりちょっかいを出すほどのものでもない。
ここでは、相変化の熱の授業に使えるぞ、というお話を、ちょっと。
水蒸気(気体)→水滴(液体) 熱を放出=凝結熱
水滴(液体)→水蒸気(気体) 熱を吸収=蒸発熱
積乱雲が発達していく時。
水蒸気が水滴になると「凝結熱」を放出して、それが更に上昇の力を生む。水蒸気から直接氷になることもあると思います。その場合は昇華熱を放出します。
それが激しい上昇の原動力になる。
逆に積乱雲の中で氷の粒や雨粒が落ちることもありますね。
そういう氷粒や雨粒が周囲の空気を引きずって下降気流が生じます。下へ行くと温度が高くなるわけですが、液体の雨が気体の水蒸気に変わって蒸発熱を吸収しますと、一緒に落ちている空気塊は冷やされて、速度が落ちません。
もちろん、氷粒が水滴に、氷粒が直接水蒸気にという変化もあり得るわけで、これも熱を吸収して空気塊を冷やします。
で、下降気流は速度を落とすことなく降りてきて、地面にぶつかります。これがダウンバースト。
自然に落ちてくるだけではなく、加速の原動力があるんですね。それが相変化の熱。
加速しながら落ちてきて地面にあたるのですからものすごい。
もちろん、こんな単純な話だけではなくって、乾燥した空気が絡んできたり、複雑なんですけど、エネルギーの出入りの大づかみな理解としては間違っていません。
★ダウンバーストでも、水という物質の「相変化の熱」が大きく働いているという認識は、私にとって驚きであり、納得でした。残念なことに現役を退いてから知ったことでしたので、授業には使えなかった。
授業の一部に組み込んでみたかったなぁ。
私って、根っからの「授業屋」なんです。
何を見ても授業のネタに見えてしまう。
いまだに、その癖が抜けなくて、しょうもないことです。
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