« アシダカグモ | トップページ | ジャン・ベルナール・レオン・フーコー »

2013年9月18日 (水)

イプシロン打ち上げ:1

★イプシロン打ち上げをJAXAのライブ中継で見ていました。パソコン上で。
0914_14epsiron_2
カウント「+1」くらい。
これは多くの人が見た映像。

★しばらく見ていたら、ロケット本体はカメラではとらえきれなくなり、現在の飛行状況を示す画像になりました。
0914_15e1
メインの画像では予定の軌道と、現在どこまでいっているか、現在はどういう状況にあるかが示されています。
左上の窓に、打ち上げ後の経過時刻、対地速度、高度、緯度、経度などが表示されています。
上の写真では、打ち上げ後259秒、対地速度4694.8m/s、高度302.6kmなどが表示されています。
0914_15e2
ぼんやり見ていたら、あれ?速度が落ちてる。高度は上がっている。
あわてて撮影したのが503秒後の画面。
対地速度3222.0m/s、高度732.1km。

あ、そうか、運動エネルギーが失われた分が、位置エネルギーになっているのか。
第2段燃焼終了の状態ですから、慣性飛行なんだ。
推力のない状態ですから、エネルギー保存法則がそのまんまに見えるんだ。
{後で分かったことですが、第2段燃焼終了は264秒の時点でした。燃焼停止の直前だったんですね。}
これは「授業に使える!」{ったって、教壇に立つわけじゃないのにね。}
このデータで
   失った運動エネルギー=獲得した位置エネルギー
という計算をちょこっとやってみましたら、「オーダーがあっている(桁があっている)」くらいの結果しか出ませんでした。第2段の切り離しはまだですから、ロケットの質量は変化していないはずなんですが、重力加速度が変化することも無視できないかな。
早目に気づいて、もっと時間感覚を短く撮影出来ていたらよかったなぁ、と反省しています。{次の時にはちゃんと撮ろう、って、それはいつなんだろう?}
甘くはなかったですが、定性的には充分使えますね。

第2段を切り離すのは、第3段の燃焼開始の直前です。
慣性飛行中に切り離すと、せっかくの運動エネルギーのかなりの部分を捨ててしまうことになるからなのかな、とも思います。

それにしても、ボールを投げあげた時に、ボールの速度が落ちて行きながら高さは上がっていって頂点に達する、というような出来事が、ロケットの打ち上げの中にあったとは、うかつにも知りませんでした。びっくりしました、本気で。

★意識的にちゃんとデータを集めてはいないのですが、時々シャッターを切って何枚か写真を撮りました。その写真から読み取ったデータを下に示します。
Utiage1 表1

更にJAXAのサイトから、プレスリリースで「打ち上げシーケンス(速報)」を入手しました。
Data 表2
これで、燃焼開始、終了などの時刻が特定できます。
264秒後から623秒までが慣性飛行ですね。
627秒から716秒までが第3段の燃焼時間です。
その後に「PBS」というのがありますが、「ポスト・ブースト・ステージ」というヒドラジンを燃料とする一液式の液体エンジンだそうです。
固体燃料はいったん点火すると、燃え尽きるまで止められません。で、途中で精密な制御をしたくても難しい。そこで、液体式エンジンを使って最終的に精密な制御をすることになったようです。

ヒドラジンはHN-NHというような分子で、可燃性ですが、「一液式」といっていますから、タンクから触媒のある部分へ導入して、触媒の作用で分解・気化させて、噴出速度を上げるのではないかと想像します。{この行の内容は元化学教師の「推測」ですので全く信用しないでください。}

★さて、パソコン画面の写真から得たデータを可視化してみようと思い立ちました。
Utiage2
赤い点が速度で右目盛り。黒い点は高度で左目盛りです。
横軸は打ち上げ後の時刻で、単位は秒です。

データ点を結んでありません。
写真から読み取ったデータ自体は信用できると思いますが、その「間」に何があったか、きちんと特定できませんので、点を結ばず、点としてだけで示す方が信頼度の高いグラフになると考えました。
それから、論理的に、時刻0で、速度0、高度0ですが、書き込んではありません。

・260~500秒:ここでエネルギー保存が見えています。
速度を落としながら高度を稼ぐ、という飛行をしているのですね。
なるほど、そういう技術が合ったんだなぁ、と「机上の空論」派{私}は感心するばかりです。

・640~730秒くらいの間、速度がぐんぐん増しています。
これは第3段の燃焼中。
この間、高度はあまり稼いでいませんが、目標高度は約1000kmですので、後で調整する、と。
速度の方はほぼ7km/sに近づきました。
第一宇宙速度は7.9km/sですから、これも後で調整する、と。

「後で調整する」というのがPBSという液体エンジンの仕事。
JAXAの打ち上げシーケンス(速報)では、PBSを2回に分けて使ったようです。

ちょっと好奇心を起こしまして、640~730秒の間の平均の加速度を計算してみました。
それが、表1の下に書き込んである計算でして、
平均加速度=36.5 m/(s・s)
です。
地表での重力加速度9.8で割りますと
「3.7G」
ということになりますか。
{生身の人間でも耐えられない加速度ではないようですね}

★JAXAのプレスリリースは下のURLで閲覧できます。
http://www.jaxa.jp/press/2013/09/20130914_epsilon_j.html

★以前、ロケットの打ち上げを同じようにライブ中継で見ていて、上昇中のロケットが音速をこえるときに、ロケットが白い帽子をかぶり、輪になって、「音速の壁」を抜けていくところを見ました。
http://yamada-kuebiko.cocolog-nifty.com/blog/2007/10/post_82b8.html
2007年10月 1日 (月)「かぐや」打ち上げ
↑ここにソオ記事があります。
2007年9月14日に月探査衛星「かぐや」をH2Aロケットで打ち上げた時に私が観察した出来事です。

ロケット打ち上げを見ると、いろいろ面白いことが起こっていますね。
元物理教師ですから、原理と技術のギャップなどを味わうのも楽しいことです。
へぇ、そんな風なんだぁ、ということがいっぱいです。

{そもそも、ロケットの原理自体は高校物理で扱えるのですけれど。「運動量保存」。でもねぇ、ロケットエンジンが燃焼中は、ロケット自体が軽くなっていく、なんてことは、高校物理で扱うのは難しいなぁ。}

« アシダカグモ | トップページ | ジャン・ベルナール・レオン・フーコー »

理科おじさん」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« アシダカグモ | トップページ | ジャン・ベルナール・レオン・フーコー »

2021年5月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          
サイト内検索
ココログ最強検索 by 暴想
無料ブログはココログ