モノサシトンボ羽化:2
2013.7.24 10:26
翅を伸ばし終えて、今度は腹部を伸ばし始めました。
10:38
12分でこれだけ伸びました。翅とほぼ同じ長さになりました。
この時点での翅と腹の拡大。
きれいですねぇ。
腹部はまだ半透明で、体内が透けています。
白い糸のようなものが体内を走っています。神経系でしょうか。腹の体節ごとに、神経節があるようにも見えるのですが、違うかなぁ。
10:44
また6分経過。翅よりぐっと長くなって、これで伸びきったかな。
10:45
ほぼ完全に真っ直ぐになりましたね。
見ている方としても、ほぉ~っと息が抜けてきた頃です。
10:47
アングルを変えてみようかという余裕も出てきて、真後ろショット。
翅が完全には乾き切っていないようですね。
自分の脱け殻から少し移動して棒にしっかりつかまっています。
10:59
この羽化の場所は、テラスの鉢でして、ずっとテラスに立ったまま観察・撮影していたのですが、もう目に見える大きな変化はないな、と考えてその場を離れ、室内側から全体像を撮ってみました。こちらを見る「眼差し」のようなものが、もう生じていますね。
下にある脱け殻と、上にいる成虫を見比べてください。
ホントにこの脱け殻の中にいたのか?と疑いたくなるくらいではないでしょうか。
脱け殻には大きな尾鰓があります。腹部より大きな鰓です。これで水中の酸素を取り入れています。
ヤゴが水中から棒につかまって空気中に出てきてから、実際に殻が割れて、中から成虫が姿を出し始めるまで、30分以上かかっています。おそらく、水中での呼吸から、空気中での呼吸に切り替えているのではないか、と想像しています。
他の赤トンボなどで、夜の羽化の際、空気中の場所に出てきて呼吸を切り変えている時に、人が電気をつけたりして明るくなると、ヤゴは水中に逃げ帰るのですが、呼吸ができなくなって「ヤゴがおぼれ死ぬ」という出来事を私たちは経験しています。羽化の時には夜は夜のままが良いのです。
そのことを勘案すると、おそらくモノサシトンボでも、水中での呼吸から空気中での呼吸への切り替えには時間を要したのだと思います。
ヤゴの脱け殻から白い糸が出ていますね。これが気管の脱け殻。
考えてみると、呼吸の切り替えというのは、すごく危険でセンシティブな「時間」なのだと思います。
人間の出産の場合なら、胎児は胎盤を通しての母体からの酸素供給から、肺を表面張力に打ち勝って広げて、空気を呼吸する瞬間、「産声」をあげますね。
あれと同じような呼吸の切り替えを、この小さなトンボが自力で行っている。
まったく、心揺さぶられる瞬間でした。
12:23
休憩して、12:23。
体色もずいぶん変わってきました。
もう大丈夫。
ありがとうね。
見たいと思って見られる出来事ではありません。
偶然の「賜物」です。ですから、可能な限り「見尽くす」ことが見る側の責任だと思って、一生懸命「観ました」。
ご報告します。
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