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2013年7月 5日 (金)

ウサギの毛

★昨日、7月4日、グーグルの検索サイトへ行きましたら、検索窓の上にイラストがありました。
何かの記念日にグーグルがよくやるやつです。
なんだろ?とマウスポインタをイラストの上に置くと、ファイルネームの中に「ukichiro_nakayas_113th_birthday」とありました。
ナルホド、中谷宇吉郎さんの生誕113年の誕生日だったんですね。
ウィキペディアを見たら、「1900年(明治33年)7月4日 - 1962年(昭和37年)4月11日」とありました。
イラストには、六角形・六角柱・鼓型の雪の結晶が描かれており、世界で初めて人工雪をつくった業績を意味した絵だ、と了解です。
さて、雪の結晶のほかに、ウサギの絵が入っていました。
いかがでしょう?人工雪とウサギ、どういう関係か、お分かりでしょうか?
Ukichiro_nakayas_113th_birthday19_3
ウサギのところだけ切り出し、白黒にしました。こんなイラストだったよ、というイメージです。
なぜか虫めがねもあって、何かを拡大していますね。これ、多分、毛を拡大しているというイメージだろうと思います。

中谷さんが人工雪を作ることに成功したのは、1936年でしたが、気体の水蒸気を液体を経由せずに直接固体の雪の結晶に成長させるのに使った「結晶の核」がウサギの毛だったのです。
人間の髪の毛でも、キューティクルという鱗状の構造が毛の表面にありますね。ウサギの毛の表面もつるつるではなく、微細な構造があって、雪の結晶を作るのに適していたのです。
私自身は、多分小学生の頃だと思うのですが、そして多分岩波の科学映画でだったと思うのですが、人工雪づくりの再現実験を白黒のテレビ画面で見たと記憶します。
で、ウサギの毛なんだぁ、とひどく驚いたものでした。
というわけで、小学生の頃、今から半世紀以上も前の記憶が、今もなお有効なのです。
覚えることは決して悪くないんですよ。知らなければそこから先へは行けないんですから。

★「中谷宇吉郎 雪の科学館」というサイトに、実験装置の図などありますので、是非ご覧ください↓
http://www.kagashi-ss.co.jp/yuki-mus/research.html

★昔、私が見た科学番組の話を、「理科おじさんの部屋」で書いたことがあります↓
http://homepage3.nifty.com/kuebiko/chemistry/column/Hydr_Exp.htm

・大昔のことです。白黒テレビの時代のNHK教育テレビで、千谷利三先生が教室の助教授の方を実験助手にして、化学の講座を放送したことがあるのです。
 そのときに、大規模な実験装置を組んで、ガラス管の中に水素を流しながら点火して、外向きの炎を成立させ、その上で、水素の流量を徐々に落としていくと、あるところで炎が反転して、靴下を裏返しにしたような「逆炎」ができることを見せてくださいました。その逆炎がガラス管の中にうまくとどまっているように水素の流量を調節することはとても難しい、ともおっしゃっていました。水素は特にこの逆炎が生成しやすいのだそうです。私はまだ子どもだったのですが、はらはらしながらテレビ画面を食い入るように見つめたものです。
 ダイヤモンドを酸素中で燃やして見せてくれたのも、この番組でした。50年近くを経た今でも、私の視覚的記憶にありありと残っています。

・中谷宇吉郎先生が物理の講座をやったこともありました。スタジオ一杯に光学系を組んで、天秤のフレを「光テコ」で拡大して見せてくださったことをはっきり覚えています。理屈が分かる年齢ではなかったですが、見ることで「ストンとわかってしまう」というものすごい体験をさせてもらいました。

・「大陸教室(コンチネンタル・クラス・ルーム)」というアメリカの理科番組も見ました。半径2~3mもある大きな回転円盤に、ライフルをセットし、導火線で引き金が落ちるようにしておいて、スタジオから人は避難して、回転円盤上でライフルを発射し、弾丸がどう飛んだかをデモンストレートして見せてくれました。いわゆる「コリオリの力」ですが、完全に納得してしまいました。ライフルで実弾を発射するという、アメリカでなければできない実験でしたが、教師キャリアにとって貴重な経験になりました。

何がどこで「役に立つ」のかなんて、絶対に分かりっこないんです。
科学番組にときめいていた私は、将来、科学の教師になりたいなどという気は全くなかったんです。ただひたすら面白かっただけなんです。

人生経験が長くなった爺さんからのアドバイス。
たくさんの「無駄」を重ねるのがよいのです。
無駄の多い人を「教養がある」というのですね。「分厚い」人間になります。
ひたすら「夢に向かって」夢の実現に「役立つこと」だけを仕入れた人は、申し訳ないけれど「薄っぺらな人」になっちゃうんですよ。

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