« ナス | トップページ | シクロペンタジエン »

2013年6月25日 (火)

高伝熱チタン

★6月20日の朝日新聞に「高伝熱チタン、海洋発電に採用 神戸製鋼が開発」という記事がありました。

 ・・・熱を伝えやすいチタン板が、沖縄県の海洋温度差発電施設の熱交換器に約3トン採用された。板の表面に細かい突起をつくって表面積を広げ、従来品より約2割熱を伝わりやすくした。・・・。海洋温度差発電は、冷たい深層水と温かい表層水の温度差を利用して、媒体を気化させ、タービンを回し発電する。熱交換器の性能が発電能力を左右するという。

ん?チタンってそんなに熱伝導率がよかったっけ?
理科年表で調べてみました。
そもそも熱伝導率というのは

厚さ1mの板の両面に1Kの温度差があるとき、その板の1m^2の面を通して1sの間に流れる熱量
と定義されます。
単位は W/m・K です。(熱伝導率の値は温度によって変わりますので、下の数値は0℃でのものです。)

★ちょっと付け加え。あれ、面積が入ってないゾ。
kを熱伝導率、1秒で流れる熱量をQワット(W)とすると
Q=k・断面積・温度勾配
この式は
1秒間に流れる熱量は、断面積に比例し、温度勾配に比例する。kは比例定数。
こう読みます。
そうすると
k=Q/(断面積・温度勾配)
分母はm^2・(K/m)ですので、mがキャンセルして
m・Kになりますね
ですから熱伝導率の単位は
W/m・K
となるのです。

熱伝導率
金:319
銀:428
銅:403
白金:72
アルミニウム:236
鉄:83.5
18-8ステンレス:15
チタン:22

金・銀・銅・アルミニウムがすごいですね。
銀の鍋を使えば熱伝導率はいいけれど、値段が高すぎます。
そこで「銅の鍋・ヤカン」などが使われます。
アルミニウムが結構熱伝導率が大きい。しかも比較的安いですから、鍋やヤカンなどに使います。冷凍食品の解凍用の台にもアルミニウムを使いますね。
白金が意外と熱を伝えにくい。鉄よりも伝えにくいんですね。
ステンレスは風呂桶にも使うくらい熱伝導率は小さい。
ちなみに我が家の風呂桶はステンレス。30年以上使ってますが、時々研磨すればきれいになるし、使い勝手はいいですよ。

さて、チタン。ステンレスと同じ程度の熱伝導率ですね。
こんなので熱交換器に使えるのでしょうか?
そこにメーカーの工夫があるわけで、「板の表面に細かい突起をつくって表面積を広げ、従来品より約2割熱を伝わりやすくした」ということです。

kを熱伝導率、1秒で流れる熱量をQワット(W)とすると
Q=k・断面積・温度勾配
でした。
断面積にも比例していますね。ですから、これを大きくすることで熱の流量を大きくできるわけです。
相手が海水で、鉄はさびやすい。ステンレスもさびにくいけれど、小さな傷とか切断面のところとかでは錆びます。一旦さびると、錆びは進行します。
チタンは加工が難しかったりしますが、錆びにくいです。海水相手には丈夫な材料。
熱伝導率の低さを補うことができる、というところまで来たのでしょう。

★先日の記事でチタンの屋根や、チタンのハンコの話をしましたので、こういう用途も開発されてきたのか、と面白かったのでご紹介します。
http://yamada-kuebiko.cocolog-nifty.com/blog/2013/06/post-185d.html
2013年6月10日 (月)「チタン」

« ナス | トップページ | シクロペンタジエン »

理科おじさん」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« ナス | トップページ | シクロペンタジエン »

2021年5月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          
サイト内検索
ココログ最強検索 by 暴想
無料ブログはココログ