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2013年6月10日 (月)

チタン

★面白い記事を読みました。

チタンの使途、寺社の瓦に活路 耐震性向上、鉄鋼業界売り込み(朝日新聞 2013年6月6日)
 ゴルフクラブなどに使われるチタンを神社仏閣の屋根瓦に使ってもらおうと、鉄鋼メーカーが売り込んでいる。軽くてさびないのが売りで、鹿児島市で今春改修した寺でもチタンが使われた。コストがまだ高いが、耐震性も向上する、という。
 鹿児島市の本願寺鹿児島別院は、約3千平方メートルの屋根瓦がチタン製になった。重さは約15トンで、従来の粘土製の約10分の1。屋根を軽量化することで、建物の耐震性も高めた。使われたのは、神戸製鋼所が今年開発した純チタンの薄板だ。独自の表面加工技術で、鬼瓦のような複雑な形もつくれるという。
 東京都の浅草寺で2010年に完了した屋根のふき替えでは、新日鉄住金製のチタン屋根が使われた。屋根の重さは改修前の約930トンの5分の1に。
 チタンは重さが鉄の約6割で、変色や腐食に強く、寿命が長い。工場の配管や航空機のエンジンにも使われる。ただ、耐久性が高いために更新需要が少なく、使い道の拡大が課題だ。メーカーは「ふき替えが半永久的に不要」(新日鉄住金)、「古い寺社の耐震工事が進み、ビジネスチャンス」(神戸製鋼所)と期待する。

「耐久性が高すぎて、更新需要が少ない」というのがおかしい。
昔から、作る側、売る側としては、適当な寿命を持つのがいい、という話はあるんですけど。
テレビ、洗濯機、車・・・買い替え需要がないと、いずれ「飽和してしまう」のですね。明白なことです。
地デジに移行した時は、無理やり買い替え需要を引き起こして買わせました。で、その後テレビが売れなくなっちゃった。当たり前ですよね。新機種が出たからってそうそう買い変える気にはなりません、庶民は。

★話題の向きを変えまして。
昔、「生活化学」という講座を持った時に、チタンを中心教材として使ったことがあります。
その当時、もう、寺社の屋根の葺き替えの話もありました。金属としての特性が優れている。
ジェット戦闘機の機体にも使われています。軽くて丈夫。
その後、カメラのボディや、メガネフレームとして普及し始めました。
高かったけど自転車にも使われますね。
で、そのチタンの酸化物の結晶がチタニアダイヤという、屈折率の強烈に大きな透明結晶。
屈折率が大きいものを粉末にすると、隠蔽性能の高い白色顔料になります。
買い物袋の白は酸化チタン。石鹸や、飴などにも使われてましたね。
さらに、酸化チタン結晶が光のエネルギーを得て、高エネルギーの電子と電子の抜けた穴ができて、表面で酸化還元反応を起こす。で、汚れのつかない塗装材にもなりますし、超親水性というので、鏡や家の外壁の表面処理も。うまく行けば「人工光合成」への道につながるかも。

とまぁ、チタンを巡っては、話題が豊富なのです。
チタニアダイヤや酸化チタンの白色顔料は入手して、教材として生徒に見せたりできたのですが。
金属のチタンは、まあ、メガネフレームくらいでした。
そのうち、新聞広告で、山梨県のハンコ業者が、チタンの印鑑を試験的に売り出しました。
当時、チタンの印鑑は大同特殊鋼という会社が作っているくらいで、すごく高かったんです。安月給の高校教師の小づかいでは苦しかった。
それが、需要の多寡を知るためだったんでしょうね、試験販売で1万円を切る値段で売り出したんです。
さっそく電話して、認め印を作りました。
0607_0titan
これです。
金属だけど朱肉ののりはどうなんだろう?と思っていましたが、梨地加工がしてあるのかな、印影はとてもきれいです。高校では、出勤時、出勤簿に押印したのですが、理系の副校長あたりには「チタンだよ、いいだろ」と自慢して、幼いね、とか笑われたり。
それまでは、ハンコを落として欠け印にしてしまったことも、何度かあったのですが、チタンの印鑑にして以来、大丈夫。買換え需要は起こりませんねぇ。
密度の小さな金属とはいっても、そこはやっぱり金属、持ち重りがしましてね、敢えていえば「ズシッ」という感じ。
役所関係で、押印が必要な時に、係の人に渡して押してもらうこともあるのですが、手に持った瞬間ゼッタイいいますね「お、重いね」と。
そこで、チタンなんですよ、元高校理科教師としてはこれが教材にもなるし・・・と一言多いんだなぁ、私、ウンチクじいさん。
もう、じいさんになって、ハンコなんか押すことも減ったし、一生ものですね。
いや、ひょっとすると、先祖代々のハンコ、になるかもね。
棺に入れちゃだめです。あの世への旅路の路用としてとかいって、1円玉を入れることがありますが、アルミニウムは融点が660℃、ですから骨揚げのとき、金属としての姿は残っていませんけど。
チタンの融点は1666℃ですから、残っちゃいます。

簡易型のノギスでハンコの寸法を大雑把に見積もると
直径1.2cm、長さ6.1cmでした。
体積を計算すると6.9立方cm。
チタンの密度は理科年表によると、4.54g/cm^3
掛けあわせて、31.3g(約31g)
台所のデジタルタイプのキッチンスケールで測ってみたら、「30.5g」(約31g)
ま、あってますね。

いかがでしょう、元理科教師というものは日常生活の中でも、変なこと考えるものですね。

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