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2013年5月30日 (木)

「夏と紫外線」余話

:南中高度と受光面積のグラフについて。
南中高度のグラフはきれいなカーブなのですが、受光面積のグラフは、なんだか上下の対称性の低い曲線ですね。
冬至の辺りでは上にとがっていて、夏至のあたりでは平らななべ底のようです。
どうしてこうなるのでしょう?
原因は「1/sinθ」という逆数になっているからなのです。
分母が小さいと逆数は大きくなりますので、分母の変化が大きく表れてくるのです。
分母はいくら大きくなってもその逆数は1に近づくだけですので、変化が小さくなります。

ホントかな?確かめてみましょう。
0≦sinθ≦1 ですね。
分母が0になってはマズイので、5度から175度まで5度刻みでグラフを書いてみました。
Sin
黒い曲線がsinθで、右目盛り。
赤い曲線がその逆数で、左目盛り。
です。
面白い形になりましたね。
分母が小さくなると、逆数の方は大きく変化する、ということがお分かり頂けたかと思います。
{この問題、微分方程式をコンピューターで数値的に解いて、天体の運動などのシミュレーションをやろうとすると、必ずぶちあたる厄介な問題でして、昔のパソコンのコンピューター言語では大きな壁でした。今はいろいろ多倍長計算ができる言語もあるようですが、いかんせん、私の方に「気力」がなくなってしまって、もうやってませんけど。}

:他の緯度では?
前回の話は北緯35度・東京のあたりということで進めました。
そこで、ちょこっと他の緯度での南中高度をグラフ化してみました。
N0_90jyukou
★北緯23.4度というのは北回帰線上ですね。
夏至の時に南中高度90度。真上です。
これは聞いたことがあるはずですが、グラフにしてみるとナルホドでしょ。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%A9%E3%83%88%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%8D%E3%82%B9

エラトステネス
・・・
エラトステネスは図書館で学ぶうちに、シエネでは夏至の日に陽光が井戸の底まで届くこと、つまり南中高度が 90°となる(北回帰線上に位置する)ことを知り[5]、このことにより地球の大きさを計算できることに気付いた。アレクサンドリアで夏至の太陽南中時に鉛直に立てた棒とその影が作る角度が、シエネとアレクサンドリアの緯度の差に基づくものとみなし、シエネとアレクサンドリアの距離が地球大円の1/50であることを確かめた[6]。
・・・

有名な話です。
夏至の日に陽光が井戸の底まで届く
ね。

{北緯35度はとばしまして}
★北緯66.6度というのは、北(きた)極線上です。
これより北は北極圏。
冬至の日に太陽南中高度が0になってしまいます。水平線上ということですか。
厳密な話をすると、空気の屈折とか、高度とかいろいろありますので、ごく大雑把に考えて下さい。

★北緯90度は北極点
角度がマイナスになっているのは地平線より下、です。
秋分から春分まで、太陽はのぼってこないんですね。

http://www.env.go.jp/nature/nankyoku/kankyohogo/nankyoku_kids/donnatokoro/donnatokoro/taiyou.html

極夜と白夜
南極には一日中太陽が出てこない日があります。これを極夜(きょくや)といいます。反対に、一日中太陽が出ている日もあります。これを白夜(びゃくや)といいます。このようなことが起こるのは、地球のまわっている軸がかたむいているからなのです。

図があって分かりやすいです。

★赤道上はやめときます。
頭の真上から南北23.4度以内に常にあるわけです。

:ピークのズレについて。
ヤカンに水を入れてガスの火にかけます。すぐさま沸騰するわけではありませんね。遅れが出ます。
もし同量のてんぷら油を鍋に入れて、同じ強さの火で加熱します。水よりは速く熱くなるはずです。
物体には「熱容量」という属性があります。
物体の1℃温度を上げるのに必要な熱エネルギー量です。
でも、同じ物質の水であっても、1Lの物体の時と、10Lの物体の時では熱容量が違ってしまって不便ですね。
そこで、同じ質量あたりの熱容量を考えましょう。
これが「比熱」です。
物質1gの温度を1℃上げるのに必要な熱エネルギー量。です。
より正確な定義や値はここでは議論しません。
水の比熱はとても大きなものだというだけでいいです。
ですから、同じペースで熱を与えても、比熱の小さいてんぷら油はすぐ熱くなり、水はなかなか熱くならないのです。
さて、太陽の南中高度は夏至に一番高くなりますが、平年気温のピークはほぼ立秋の頃になります。
そのせいで、まだ暑いのに秋だなんて変だ、という感覚を生じるのですが、立秋を過ぎると平年気温は確実に下がり始める、やはり立秋は秋の始まりなんだな、と捉えて下さい。
冬も。太陽の南中高度の一番低い冬至から遅れて、立春のころに平年気温の底を過ぎます。
立春を過ぎれば気温が上がり始める、やはり春の始まりなんだ、と理解して下さい。
Peakshift
2枚のグラフを重ねて上のグラフの地を透明化するという技を私は持っていませんので、上下に並べてみました。
上が太陽の南中高度のグラフ。冬至から冬至まで、になっています。
下は最高気温と最低気温の平年値のグラフ。
見た感じで、横軸スケールがほぼ一致するようにしてあります。(いい加減ですが)
夏至から約1カ月強の遅れで年間のピークに至る。
冬至から約1カ月強の遅れで年間の谷底に至る。
ということがお分かり頂けると思います。
太陽という「炉」で熱されて、大地が温まるのにこのくらいの時間的な遅れが出るのですね。(冷える時も)

水である海は温まりにくく、大陸は温まりやすいです。(比熱の違いによる)
ですから、夏には、海の温度が相対的に大陸より低い。で、太平洋に高気圧、大陸に低気圧、という配置になり、南から湿った風が日本付近に吹きこんできます。
太陽からのエネルギー供給が減る冬場。大陸は冷めやすく、海は冷めにくい。で、大陸に高気圧、海に低気圧、という配置になって、西高東低、冬の季節風が大陸から日本付近に吹いてくるわけです。
その「境」で、梅雨、秋の長雨、の季節がきますね。
大気の勢力争いです。

今は梅雨。
「気象庁は29日、関東甲信地方で梅雨入りしたとみられると発表した。平年より10日早く、1951年からの統計開始以来3位タイの早さだという。」
なんだかなぁ、天気図には梅雨前線が「explicit」には現れていなくって、「implicit」に日本列島あたりに前線帯が隠れてます、なんて言ってますが、すっきりしないな。
梅雨前線が現れてから梅雨入り宣言したっていいのに、とかかしさんは思うものです。

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