方解石
★「偏光器の話」で方解石を利用した「ニコル・プリズム」のことにちょっと触れました。
で、私は個人的に方解石を持っていますので、お目にかけましょう。
3個持ってます。
石屋さんとか、アクセサリーショップとかで見かけると、あっ教材だ、と買ってしまうんですね。
「目が教材」「教師眼」などといって自分で笑っていましたが、何を見ても教材に見える。化学・物理の教師でしたから、身の回りのものがなんでも教材になってしまうのです。
さて、方解石ですが、上の写真の左二つが典型的な形です。長方形を斜めに押して変形させたような形です。
方解石は炭酸カルシウムの結晶です。炭酸カルシウムの結晶にはこのほかにアラレ石という結晶もあります。
鍾乳洞で析出したての炭酸カルシウムは、アラレ石タイプの微結晶で、粉っぽいですが、何千年もの時間をかけて方解石型の結晶に変化します。ですから、鍾乳石の断面を見ると、中心部は透明感があり、表層は粉っぽいですね。
大きい結晶を物差しの目盛りの上に置いてみました。
ずれますね。これが複屈折という出来事の目に見える形です。
こちらは、結晶全体の形は分からなくなっていますが、薄めに切り出して研磨したものですので、濁りが少ない。
理科年表の表紙に置いてみました。
読みづらいですね。
こんなにずれてしまうのです。
この結晶を持って、生徒の机間を巡回し、生徒のノートの自筆の文字をズレさせると、びっくりします。印刷された文字がずれるよりも、自分で書いた文字がずれると驚きが大きくなるようでした。
さあ、こうやってずれているところへ、カメラのレンズの前に偏光シートを入れますと・・・
こうなります。
片方の像がほぼ消えてしまいます。
偏光していたので、偏光シートを偏光面が直行するようにいれると透過できなくてこうなるのです。
というわけで、方解石を通った光は偏光しますので、この偏光した光だけを取り出すように二つの結晶を貼り合わせたのがニコル・プリズムなのです。
学生時代に「ブドウ糖の変旋光速度の測定」というような実験をやりましたが、あの時の偏光子、検光子はなんだったかな、ニコルだったか、偏光シートがあったかな?定かでなくなってしまいました。昔話になりましたことよ。
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