立方体の展開図から四面体を折る:1
★かなり驚きの体験へご案内できると思います。
私自身は仰天しました。
事の起こりは、雑誌「数学セミナー」2012年11月号。
「ここ10年で解決した問題」という特集がありました。
その最初の記事が「3通りの箱が折れる展開図」という記事。
北陸先端科学技術大学院大学の上原隆平さんが書かれたものです。
「はじめに」という節見出しの下に「図1 典型的(?)な展開図」というのがありました。
↑エクセルで再現したのがコレ。
展開図と聞くと多くの人が図1(a)のようなものを思い浮かべるのではなかろうか。これはもちろん立方体の展開図の一つであるが、実は図1(b)の折り線に沿って折ると四面体にもなる。この四面体が具体的にどんな形になるのか想像するのはそれほど簡単ではないだろう。
そりゃそうですよね。立方体の展開図は11種類ありますが、ま、その典型的な一つを提示されて、その同じ展開図から別の立体を折ることができる、それは四面体だ、といわれてもなぁ。
そもそも、立方体の展開図から別の立体が作れるということが想像の枠外でした。
しかも、辺で切り開くのではないというのも、経験の外。
どんな立体ができるのか、私には想像がつきませんでした。
すぐやってみればよかったのですが、何となく遅れて、正月になってしまいまして、いかん、やってみなければ。
と、工作用紙を買ってきて、始めたのです。
まずは工作用紙に展開図を描きます。
5cm×5cmを単位の正方形にして作図しました。
左が普通の立方体を折る図。
右の展開図には問題の四面体を折るための折り線を赤で引いてあります。
どこからどこへ線を引いたらよいのか分かりにくかったら、冒頭のエクセルで描いた図の方を参照してください。青い線で示してあります。
ペーパーナイフで折り線の部分をなぞり、折りやすくします。
折り曲げていきますと、なんとなく完成形が見えてきます。
なるほどね、これで、ぜんぶ閉じられるのかぁ。
↑要所要所をセロテープで止めたのがこれです。
参ったなぁ。こうなるのか!
2組の合同な三角形で構成されています。
ちょっとねじれたような形ですね。
ハイ、これが「同じ展開図」から作り出された「2つの立体」です。
なんだかこう、ため息ものですね。
ホントかよ、どうやってこんなもの考えたんだい?
{蛇足:当然、二つの立体の表面積は等しくなっています。アッタリマエ。}
ぜひ、是非、ご自分でもやってみて下さい。
ゼッタイ、びっくりします。請け合います。
おススメします。
★上原さんの結論の一つを先取りしておきますと
「二つの箱を折れる展開図」が理論上は無限に存在することを示すことに成功した。
のだそうです。
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