1200トンの屋根
★こういう記事があったのですね。
まるで落としぶた 西部ガス、LNGタンク屋根上げ(朝日新聞 2013年1月18日2時46分)
西部ガスは17日、北九州市若松区に建設中の液化天然ガス(LNG)タンクの「屋根上げ」作業を報道陣に公開した。直径80メートル、高さ40メートルの外壁に囲まれたタンクに下から空気を送り、底に置いた1200トンのドーム形の屋根を圧力で持ち上げる。鍋のなかの落としぶたを浮かせるような工法だ。
(後略)
大雑把な話。(ドーム形だそうですが、円盤で考えます)
直径80mの屋根の面積は
π×40×40≒5000平方m
1200トン=1200000kg
120,0000/5000=240kg/平方m
{力でいうと}240kgf/平方m
1kgf=9.8Nなので
240×9.8≒2350N/平方m=23.5hPa
はぁ?
23.5/1013≒0.023気圧(1気圧より2.3%程度圧力を高くすればいい)
そのくらい加圧すれば1200トンの屋根が持ち上がるのですか。
{計算違いしてないつもりですが}
LNGタンク内を1.023気圧にすればいいのか。
軽自動車のタイヤの空気圧が2気圧くらいじゃなかったか。
何だか桁を間違っちゃったかな、と不安なのですが、多分間違っていないと思います。
体積が大きいから、大量の空気を送り込まなければならないでしょうけれど、圧力にすると、そんなもんなんだなぁ、と、びっくりしました。
★東京ドームの屋根は400トンあります。
屋根面積の数値がはっきりしないのですが、8m×8mの膜を225枚つないだ、という記述がありました。いろいろゆがんだりしているでしょうけれど、この値で計算しますと
400000kgf/(8・8・225)平方m≒28kgf/平方m
これは28×9.8≒270Nですので
270N/平方m=270Pa=2.7hPa
約3hPa加圧すれば東京ドームの屋根が支えられる。
検索してみると、「外部の気圧より0.3%=3hPa高い」と書かれていました。
あってるな。計算方法には間違いないようですね。
★女性のストッキング。
「足首着圧13hPa」というのを妻が持っていました。
パーセントにすると、標準気圧の1.3%くらい高い圧力ですね。
東京ドームを支える圧力より強いんだ。ふ~ん。
ストッキングの圧力は10hPaくらいから20hPaくらいまであるようです。
20hPaというと、LNGタンクの蓋を支えられるくらいの圧力と言えないこともないなぁ。
なんだか、すごい話ですね。
{足首で30hPaという商品もあるようです。なんだかなぁ、すんごい、圧力だなぁ。大丈夫ですか?}
★参考までに。
1円玉は、半径1cm、質量1gです。
1円玉1個が下に及ぼす圧力を計算してみますと
0.0098N/(π×(0.01)^2)平方m≒30N/平方m=30Pa=0.3hPa
こんな感じです。
タンクの蓋で、23.5hPaなら1円玉約78枚
東京ドームが3hPaだと1円玉30枚
20hPaのストッキングなら1円玉67枚。
1円玉を集めて、積み上げて、支えてみてください。
★なんだかなぁ。
LNGタンクや東京ドームと、ストッキングが同じようなスケール(オーダー)で議論できるとは思わなかったなぁ。
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