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2013年1月15日 (火)

立方体の展開図から四面体を折る:3(または「鏡の話:12」)

★四面体のカイラリティについて

http://yamada-kuebiko.cocolog-nifty.com/blog/2013/01/post-a1eb.html
2013年1月 9日 (水)「立方体の展開図から四面体を折る:1」
↑ここで、こんな言葉を書きました。
「2組の合同な三角形で構成されています。ちょっとねじれたような形ですね。」

「ねじれたような形」と、自分で何気なく書いて、その言葉が自分自身の思考に跳ね返ってきてしまいました。
立体で、ねじれがあったら、それはカイラリティがあるということじゃないのか。
別の表現をすると
   その立体は、鏡に写った自分の鏡像と重なりあわないのではないか
ということです。
これはもうやってみるっきゃないですね。

★立体を裏返す。
右手用の手袋を裏返すと左手用の手袋になるのでした。(足袋や足袋ソックスも同じ)
そこで。
この不思議な四面体を裏返して見ようと思い立ちました。
どうやって?

↓使う展開図はこれ
Simen0
単位正方形が2×3の長方形を作図して下さい。
単位正方形の一辺の長さは任意です。
今回は、単位正方形を2cm×2cmとして、小さく作ります。その方が簡単で楽だから。
{単位正方形の一辺を1とすると、大きい三角形の辺の長さは、2 : √5 : √13 ≒ 2 : 2.24 : 3.61です。
小さい方の直角三角形は 1 : 2 : √5 ≒ 1 : 2 : 2.24です。}

この展開図の線を裏側からなぞります。
Simen1
単に裏返しただけですよね。
で、どちらの展開図でも折り線を「山折り」にして四面体を組み立てます。

そうすると↓
Simen3
こうなるんですね。
右の立体を「裏返した」ものが左の立体になります。
「ねじれている」ものですから、巻き貝と同じような感じで、真上からみた平面的なねじれはひっくり返せば重なります。x-y平面だけならいいんです。ところが立体に組みましたから、z方向の向きが生じて、それによって重なれなくなってしまったのです。どうひねっても重なりあいません。

Simen5
↑これ見て下さい。
右下を「通常の」四面体と呼ぶと、右上が「鏡像」で、左上が「裏返し」の四面体になります。
裏返しの四面体は、通常の四面体の鏡像と同一です。

★鏡に写った展開図
Simen2
今度はこんな展開図を描いてみました。
折り線を山折りにした場合、右が通常の四面体になります。
左の展開図は右の展開図の鏡像になっています。
この鏡像展開図でも折り線を山折りにして立体を作って見ます。
右の図の面には1~4までの数字を書き、左の展開図には1’~4’まで、対応する面に数字を書いて立体をつくってみました。おきました。

Simen4 {写}Simen4
はい。展開図と四面体の位置関係は対応しています。
3の面を下にして置いた場合、
通常の四面体では1→2→4が反時計回りになりました。
鏡像展開図から作った四面体では1’→2’→4’が時計回りになりました。
ね、巻き貝と同じことになりましたね。

Simen6
さっきと同じ。通常の四面体の鏡像が、鏡像展開図から作った四面体と同一になりました。

★いやあ、マイッタナ。
カイラリティだって数学的な表現ができるんですが、応用的ですからね、あまり数学者はやらない。
私は化学教師でしたから、光学異性体にはなじみ深い。
同一の「立方体の展開図」から立方体と四面体が折れる、ということ自体にびっくり仰天しましたが、できた四面体にカイラリティがあることに気づいてしまうのは、化学屋の習い性というものかもしれません。

★不斉炭素原子
この「ねじれ」をもつ四面体の内部に炭素原子があって、4本の結合の手を伸ばしていると考えてみて下さい。
Simen7
こんなのが。

手の1本は四面体の底面とくっついています。
残りの手3本も四面体の面と結びついている。別に垂直になっている必要はないです、伸ばして交わったところで結合していると考えて下さい。(結合の手の長さはバラバラになってしまいますが、今はそういうことは無視)
そうするとですね。
四面体は2組の合同な三角形でできているのですが、三角形に「向き」が存在するものですから、三角形だけ取り出せば合同であっても、結合の手の先に固定されてしまうと、異なるものになってしまうようですね。
そのために、4本の手にすべて異なるものがついた炭素原子=不斉炭素原子になってしまうのです。
高校化学的に表現すればこうなりますね。

★さてさて、この四面体の話はこれで多分終わったと思います。意外なところへ来てしまったという感じですね。
まだ、数セミの記事から別の話が続きます。
それは次回以降にしましょう。

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