鏡の話:11
左ネジ
http://yamada-kuebiko.cocolog-nifty.com/blog/2012/11/post-631e.html
↑「鏡の話:5」で、右ネジを鏡に映すと左ネジになるという話をしました。
「右ネジ・右巻き貝の鏡像は左ネジ・左巻き貝になるの」のでした。
普段使うネジは皆「右ネジ」です。
では「左ネジ」というものは鏡の中の世界にしか存在しないものなのでしょうか?
★いえいえ。実は身近なところに左ネジがあるんですよ。
自転車に乗る方は多いと思います。その自転車に左ネジがあるんですね。
左ペダルをクランクに取り付けてある個所が左ネジなんです。
右ペダルの方は右ネジです。
ペダルを踏んだ時に緩まないように、ということなのですね。
ペダルの漕ぎ始めってかなり強い力で踏むでしょ。その力でネジがゆるんでは大変。
で、左ペダルは左ネジなのです。
新しい自転車を自分で組み立てようとして戸惑った方はいらっしゃいませんか?
★同じことが自動車にもないわけではない。
私が自動車の運転免許を取得した40年以上前、自動車の構造の教本で、タイヤ交換の時、左タイヤを固定しているボルトは左ネジであることに注意、と学んだのでした。
現在は、普通の乗用車は、右のタイヤも左のタイヤも、ボルトは右ネジです。
規定のトルクできちんとしめつけてあれば、緩むことはないです。
トルクレンチを使うとか、スタンドで使っている名前を知らないのですが空気圧を利用してボルトを締めたり緩めたりするやつ、あれでちゃんとやればいいです。
何かの拍子に、自分でタイヤ交換をしたら、早目にスタンドとか整備工場へ持っていって、規定のトルクで締め直してもらっておくといいでしょう。
現在でも大型トラックでは、左タイヤは左ネジでしめつけてあると聞いています。
タイヤのサイズが大きいですから、発進・停止の時にボルトにかかるトルクも大きいのだと思います。
★水素ボンベ
学生時代、化学科ですから、窒素や水素のガスボンベはよく使いました。
水素ボンベは「左ネジ」が切ってありました。
水素はやはり爆発の危険がありますから、間違ってつないだら大事故になりかねません。
ということで、そもそも「つなぐことができない」という形の安全策です。
人間は必ず間違いを犯すもの。避けることはできません。
間違うことが可能な構造なら、必ず間違いは起こる。
間違うことが不可能な構造にするというのは安全工学上の大事な原則です。
聞くところによりますと、ヘリウムボンベも左ネジだそうです。
{理由はよく知らないのですが。}
★あと、どこか、左ネジ使っているところはあるでしょうか。
もしあったら、コメントに書きこんで下さい。お願いします。
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