鏡の話:10の2
「10の1」で、カタツムリやナメクジの話が出てきました。
★ここで、カタツムリを食べるヘビの話をしました↓
http://yamada-kuebiko.cocolog-nifty.com/blog/2012/11/post-8465.html
2012年11月20日 (火)「鏡の話:8」
カタツムリのカイラリティが、捕食者のヘビの顎にも「利き顎」を生み出すお話でした。
フィールドの生物学⑥「右利きのヘビ仮説―追うヘビ、逃げるカタツムリの右と左の共進化」細 将貴 著、東海大学出版会、2012年2月20日 第1版第1刷発行
という本からの引用でした。
そこには、ナメクジを食べるヘビでは、顎の構造に左右性がないということも書きました。
★そこで頭に浮かんだのが次の本。最近の読書。
「ナメクジの言い分」足立則夫 著、岩波科学ライブラリー198、2012年10月4日 第1刷発行
この本の表紙には。
「似たものどうしなのに 唱歌にも歌われ 愛されるカタツムリ かたや 嫌われるナメクジ どっこい! ナメクジのほうが しがらみ(殻)の ないぶん 自由なんだよ!?」
いいですね、なかなかよい。
なるほど「しがらみ」がないんだぁ!
当然カイラリティの話などではありません。鏡の話でもない。
でもまぁ、行きがかりで、ナメクジの話を少し。
★
つのだせ、やりだせ、めだまだせ――文部省唱歌の「かたつむり」の二番にあるように、カタツムリには上下に一対ずつの触角がある。上が長めの大触角、下が短めの小触角。ナメクジも同じだ。暗闇の中で餌を探したり、植木鉢や倒れた木の下にある巣に戻ったりするときに、大切な役割を果たすのだ。
大切な器官だけに、危険を察知したらすぐにしまいこむ。動作の緩慢なナメクジが、どうして触角を素早くしまい込めるのか。これも不思議な行動の一つだ。触覚にメスを入れ切り開くと、内部には円筒形の牽引筋が横たわっている。この筋肉が、触角の先端を体の内部に埋め込むために、すっぽり引き込む役割を果たしている。
・・・
ちゃんと、そのための筋肉があるそうです。
カタツムリやナメクジの目の「裏返し」の話です。
★「ナメクジの言い分」の81ページに
研究員の関口達彦さんら二人が1989年チャコウラナメクジを使った実験を開始した。一年目から、嫌なにおいをかがせて忌避行動を起こさせたり、脳を冷却して物忘れを起こす減少を使って記憶のメカニズムを調べたりする研究で成果を上げた。
こういう記述があって思い出してしまった。
この研究かどうかはよく覚えていないのですが、確か日経サイエンスの前身の雑誌で「冷却されたナメクジが学習結果を忘れる」という話を読みました。
まずナメクジに学習させるんですね。
あっちへ行ったら餌があるが、反対方向に行くと嫌な味にぶつかる。というような。ナメクジもちゃんと学習します。
ところが、学習直後に冷蔵庫に入れて冷やしちゃうんですね。
対照群(コントロール)は同じように学習して冷さないでおく。
そうすると、冷やされたナメクジは学習した内容を保持できず、忘れてしまうんですね。
この話は、たしか30年近く前に読みました。笑ってしまった。
冷やされると忘れちゃうんだぁ。かわいそうになぁ、寒くて忘れちゃったじゃないか、と怒られそうだ。
学習結果を保持することに、何らかの物質の合成が必要なのでしょう。あるいは、神経の接続を新たに作るとか強化するとか。ね。
ナメクジは結構寒い季節にも活動していますが、大丈夫なんでしょうかねぇ。心配してしまいます。
★見つけたぞっ!
http://lifesciencedb.jp/dbsearch/Literature/get_pne_cgpdf.php?year=1994&number=3914&file=E3VhOMqywvMJB18tkcGRUQ==
「蛋白質 核酸 酵素」Vol.39 No.14(1994)
軟体動物の古典的条件づけを通して見た学習・記憶の分子機構
という論文です。(「ナメクジの言い分」で言及している実験の話がここにもありました。)
このpdfファイルの3ページ目に
1.ウミウシの学校
2.ナメクジの学校
というのがありまして、ナメクジの学習の話が載っています。
ナメクジの記憶の消去は、逆行性健忘症としてSekigutiらによって研究された。ナメクジにニンジンジュースと硫酸キニジン溶液とを1回以上与えて忌避条件づけを成立させたのち、1℃で5分間ナメクジを冷却した。条件づけ後1分以内に冷却したナメクジでは、冷却終了後、条件づけ前のニンジン嗜好性を示した。すなわち冷却操作より前に獲得した記憶は、完全に消去されていた(逆行性健忘症)。
ナメクジの健忘症、ですって!
かかし爺さんの物忘れ、も最近すごいけどな。
ナメクジも、なのか、親しみを覚えてしまいますね。
ナメクジさんもいろんな実験にに協力して、大変ですねぇ。
御同情申上候。
より詳しくは、論文をお読みください。
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