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2012年12月25日 (火)

困ったな:無色透明と有色透明

★朝日新聞の記事です。

省エネのガラス窓素材開発:奈良先端大 色のオン・オフ自在(12/20)
 色のついた状態と透明な状態をスイッチで切り替えられるガラス窓用の新素材を、奈良先端科学技術大学院の中嶋琢也准教授らのグループが開発した。切り替えの際に使う電力を、従来の9分の1程度にできるという。
 新素材に含まれる分子は、光を浴びると青い色がつき、電流を流すと透明に戻る。従来は、1個の電子で透明にできる分子の数は最大でも1個だと考えられていた。
 新素材では、透明になった分子が別の青い分子に働きかけるドミノ倒しのような現象が起こり、1個の電子で9個の分子を透明にできるという。少ない電流で色を切り替えられればコストを下げられる。
 夏場、ガラス窓に色がつけば日光を遮って冷房の効率が上がり、冬場に透明になれば暖房費を節約できる。こうしたガラス窓は、5年後に1700億円の市場規模が見込まれているという。

「色のついた状態と透明な状態」?
「光を浴びると青い色がつき、電流を流すと透明に戻る」?

この記者さんが使っている「透明」という言葉は、「無色」と同義語のようです。
それはいかんでしょ。
「有色透明」というのを御存知ない?

「青色透明なガラスが無色透明」に変化するんでしょ。

色がついたら透明じゃないと思っているのかなぁ。困った。
私の化学の授業をちゃんと受けた人だったらこんな書き方はしないなぁ。

★日経のサイトでは同じ内容の記事で

消費電力10分の1、調光ガラス開発 奈良先端科学技術大
    2012/12/17 22:27
 奈良先端科学技術大学院大学の河合壯教授らは消費電力が従来の10分の1以下で済む調光ガラスを開発した。電気で刺激を与えると、次々と反応を繰り返して青色から無色にだんだんと色が変わる材料を合成して実現した。ビルの窓に応用すれば、太陽光が入ってくるのを制御して空調費用を抑える用途に使える。研究成果は米化学会誌(電子版)に掲載された。
 「ターアリーレン」という化合物を合成した。紫外線が当たると青色に、電気を流すと無色になる。横1センチメートル、縦4センチで厚さが2ミリのガラスを作製して実験したところ、電気を流すと50秒ほどで青色から無色になった。化合物の構造の一部を変えれば、無色から青への変化も電気で制御できる。
 今回の新材料は、電気を流すと次々と反応が連鎖するので、効率よく制御ができ電力消費が少なくて済む。

「青色から無色へ・・・色が変わる」と正しく表現していました。

記者の基礎的な科学力が問われちゃいますねぇ。

色の有無と、透明・不透明ということは、互いに独立なものなのです。

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