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2012年11月 1日 (木)

113番元素(ウンウントリウム) その1

★新元素が発見されたという場合、どうなったらそれが認定されるのか、について何か書きたいなと思っていました。そうしたら、新聞にいくつかの記事が出たので、ちょっと出遅れになりました。
しくじった。

★理化学研究所では、原子番号83のビスマス原子核に原子番号30の亜鉛原子核を加速して衝突させ、「83+30=113」番の元素を作りました。
それが認定されるためには、できた新元素の原子核がα崩壊して変化していって、既知の元素にたどりついたことが確認できればいいのです。
α粒子というのはヘリウム原子核で、陽子2個+中性子2個でできています。
ですから、何かの原子核がα崩壊すると、陽子が2つ減って原子番号が2下がり、質量数が4つ減ることになります。
新元素がα崩壊を4回繰り返して、原子番号105のDb(ドブニウム)にたどりつくところまでは既に確認されていました。113-2×4=105ですね。
でも当時、Db自体がよくわからない元素だったので、認定されなかったのです。

★東京化学同人の「現代化学」2012.11月号に短報が載りましたので、一部引用します。

 113番元素の登場は、2003年にさかのぼる。最初はロシアと米国の研究グループが発見を報告した。・・・α崩壊を5回観測したものの崩壊後に既知の原子核にはならず、確証が得られなかった。
 理化学研究所は2004年と205年に、亜鉛とビスマスから113番元素を2回合成し、4回のα崩壊を観測した。崩壊は、107番元素のボーリウム(266Bh)を経てドブニウム(262Db)が自発核分裂するまでを確認した。ところが、当時266Bh自体が1例の合成報告しかなく既知核と確定できないこと、観測数が2個と少ないことを理由に113番元素は認定されなかった。・・・(理化学研究所では)2008年~2009年にボーリウム(266Bh)を直接合成し、既知核への到達が確かであることを実験的に示した。
 さらに今回、これまで観測した4回のα崩壊に加えて異なる2回のα崩壊を観測し、ドブニウムからローレンシウム(258Lr)、最後はメンデレビウム(254Md)になる新たな崩壊経路も確認した。・・・

★この出来事を図示してみました。
Newelement
理科年表などで「崩壊系列図」として掲載されている図の様式を参考にして作ってみました。
横方向の101~113は原子番号です。
縦方向の278~254へ減少する数は質量数です。
上に書いたように、「α崩壊すると、陽子が2つ減って原子番号が2下がり、質量数が4つ減る」ので、α崩壊するとこの表を斜め左下へ移動していきます。
ドブニウムまではすでにたどり着いていたのでした。

自発核分裂というのは原子核が不安定で、外部からの中性子を捕獲したりしないでも自発的に原子核が壊れてしまう現象です。原子炉燃料のウランも自発核分裂をごくわずかにしますが、核燃料としての発熱を起こす核分裂は中性子を吸収して原子核が不安定化して分裂するものです。
どちらにせよ、原子核が壊れると、その後の追跡ができなくなってしまうので、新元素のたどった道としては不適切ですね。

で今回はドブニウムからメンデレビウムに至る道が確定できたということで、新元素発見の優先権を強く主張しているわけです。

この図が見やすい図かどうか、分かりませんが、今のところこのタイプの図を提示したメディアがないので、私が描いてお目にかけることにしたわけです。

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