鏡の話:9:余話1
鏡やそこに映る像の話はあらかた終わったのですが。
名残の話がありまして。
★私の「正四面体コレクション」を2,3回。
大したコレクションではないのですけど。
高校化学教師としては、炭素原子の一番安定な電子配置が「正四面体」状なので、それを生徒に視覚的に見せたいのですよね。
「正四面体」といえば習ってきたはずなのですが、すっきりイメージできる人は意外と少ない。
ピラミッド型は有名です。ピラミッド・パワーとかいうエセ科学もいっぱいありますね。
ピラミッド型は色々なところで見かけます。石を削ったもの、金属の置物・・・。
でもねぇ、ピラミッドなどというのは、あまりにも任意性が高くて、大して美的な形状ではありません。
ピラミッドの底面の正方形は一意に決まりますが、高さは任意ですからね。
岩塩ショップですが、手のひら状の台の上にピラミッド型にカットした岩塩も乗っています。
「只今マイナスイオン放出中」なんてどこかに書いてあったりして。
マイナスイオンがどんどん出ていったら、残った部分には正の電気がたまって、電圧がどんどん高くなって、そばを通ったら放電をバシッと受けるんじゃないか、などと茶化してましたがね。完全なエセ科学なんだけどな。
★さてさて、ところがです。
「正四面体」といったら、その一言で完璧に一意に決まるのです。
ユークリッド幾何の成立する空間だったら、宇宙のどこであっても、正四面体は一つしかない。
これこそ「美」でしょう。「球」も美しいですね。唯一絶対に決まりますからね。
もちろん正多面体は、正四面体、正六面体、正八面体、正十二面体、正二十面体の五つに限られることはギリシャの頃から知られていますし、どれも一意に決まる美しい立体です。
ただ、私にとっては、最もシンプルな正多面体だと感じられるのです。
正三角形がたった4枚でできてしまう。
美しいなぁ。
で、なんとか正四面体のオブジェクトを手に入れたいわけですが、これが、探し始めると少ないのです。
ご覧ください。牛乳。シュガー。紅茶。です。
シュガーは同僚が喫茶店にあったからもらってきた、といって分けてくれたものです。
この牛乳のテトラパックは懐かしいでしょ。1996年ごろかな。コンビニで見つけた復刻版ですね。
子らが小学校の頃はこれが普通にあった。でも配送のコストなどで、ブリックパックという直方体のパックに変わってしまったのですね。空間充填効率が高いから。
これを入手したころは、このテトラパックを教室に持っていくと、あ、なつかしい!と叫ぶ生徒がいっぱいいました。で、紙を円筒形にして、互いに直角な方向に封をするとこうなる、とか説明しながら感心を惹きつけ、炭素原子の正四面体構造に入って行くわけですね。
うけます。良い教材です。
これはティーバッグなのです。
牛乳のテトラパックと同じで、円筒状の紙筒を交互に直角方向に切って整形したのでしょう。
ですから、一応正四面体型なのですが・・・
ごていねいに、間違っちゃってるんですよね。
こういう形のピラミッドはないはずです。底面が正三角形のピラミッドねぇ。
しかも、登録商標になってますね。(registered trademark= Ⓡ)
ちょっと、恥ずかしい気がします。
これは数がたくさんあったのでいろいろ遊べました。
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