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2012年11月28日 (水)

鏡の話:9:余話5

★正多面体コレクション
0saikoro1
これサイコロです。(賽・采)
正六面体のサイコロは普通の正六面体ですが、その他にプラスチック製の正四面体、正八面体、正十二面体、正二十面体のサイコロを見つけたので買ってきたものです。これで正多面体5種類が揃いました。
凝り性ですね、私も。
ここに写っている正二十面体サイコロは、1~20まで刻んであるようですが、正式な「乱数サイ」は同じく正二十面体サイコロですが、0~9を2組刻んであります。

★ところで「双対性」ってご存知ですか?
「そうついせい」と読むのが「相対性」と紛らわしくなくっていいと思いますが、どちらも「そうたいせい」と読む方もいます。

正六面体の各面の真ん中の点を頂点とする多面体を考えると、それは正八面体になります。
逆に、正八面体の各面の真ん中の点を頂点とする多面体を考えると、それは正六面体になります。
「正六面体と正八面体は「双対」の関係にある」といいます。(duality ですね。)
「正十二面体⇔正二十面体」これも双対。

ところがですね、正四面体はどうか。
正四面体の各面の真ん中の点を頂点とする多面体は、また正四面体なのです。
これがまた、正四面体のユニークなところですね。

視覚的に分かりやすい図をご紹介しますので、ご覧ください。
http://ds.cc.yamaguchi-u.ac.jp/~math/toybox/polyhedron_soral/explanation/037_4.html

★変なサイコロをご紹介します。
0saikoro2
透明なケースの中にプラスチックの球が入っています。
そもそも、このケースがユニークで気に入っているのですが。
どうやって開けるか、かなり難しい。ここからもうパズルになっている。
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「コ」の字型のパーツ2つを組み合わせてあるんですね。これが分かるまでには結構悩みますよ。
さて、中身の球なのですが。
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転がすと、なぜか、必ず何かの「目」を上にして止まるのです。ここでは2の目が出ています。
目は六つあって、球体サイコロなんですね。
???
どうして?球なのに。
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ここではは1の目が出ています。

なんで?

もちろん、中を空けてみたわけではないのですけれど、推論するに、中に空洞があって、丸い錘が入っている。空洞の隅に錘が入ることで、その真上のところの目が出る、ということですね。

ではどんな空洞なのかな?
球体サイコロなのだから、中には正六面体のサイコロ型の空洞があるのかな?
そうすると、正六面体には8つの頂点がありますから、静止するポイントが8カ所になってしまいますね。それはマズイ。
正六面体と正八面体は双対の関係にあるのでしたね。
ですから、球の内部には、正八面体型の空洞があるはずです。
正八面体には6つの頂点がありますので、錘がその6つの頂点のどれかに入った時に、その真上がサイコロの目になっているようにすればいいのですね。
推論するって楽しいことです。
中をあけなくっても、絶対これっきゃあり得ない、という構造を推論で「透視」できました。


0saikoro8
これは正八面体型サイコロ。
「6.」となって「.」があるのは、「9」と区別するためです。
{正八面体型サイコロでは「9」はないのですが、「これは9だ」主張する人もいるかもしれませんので。また、正十二面体や正二十面体のサイコロでは、実際「6」と「9」は区別しなければなりません。}

では、これは?
0saikoro9
正四面体を二つ重ねてつまんでいます。
これで一つの多面体だと考えてみて下さい。
正三角形が6枚でできた多面体です。
これは「正六面体」とは言わないのでしょうか?

意外と正多面体の定義ってちゃんとやってないかもしれませんね。

すべての面が合同な正多角形で構成されていて、しかもすべての頂点において接する面の数が等しい(各頂点に集まる辺の数が全て等しい)凸多面体のこと。

一応、5つの正多面体でチェックしておいて下さい。

写真のように、正四面体を二つ重ねた場合。
合同な正三角形6枚でできていることは確かなのですけれど。
指で挟んでいる頂点には、3枚の面が集まっています。ところがそれ以外の(横の)頂点には、4枚の面が集まっていますね。
ですから、この写真のような多面体は正多面体とは言わないのです。

ホントに私の話っていくらでも飛んで歩きます。笑っておつきあいください。
「かかしの話は脱線・命」

★脱線ついでに。もういっちょ。
サイドタ」ってご存知ですか?

「サイコロ」は「コロコロと転がる・賽」ですよね。
「サイドタ」は「ドタッと倒れる・賽」です。

数学教育研究協議会の小沢さんが確率の授業のために「発明」した品物、というか概念。
サイコロは6つの目の出る確率が等しいことが基本的に重要な性質ですね。で、ランダムに目が出る、ということを誰もが信頼して遊ぶわけです。{若い頃、小沢さんとは研修会などでよく一緒することがあって、お話を伺ったり、議論をしたものです。懐かしい方です。}

では、ティッシュペーパーの箱のような形をした六面体を考えて下さい。その各面に1~6の目がある。
で、これを投げます。
   ドタッ
ですよね。とてもじゃないがコロコロとはいかない。
で、出る目は明らかに偏ります。等しい割合で出るわけがない。
こんな偏った出目のサイコロなんかじゃ誰も遊んではくれませんけど。
でも、サイコロというものの意味、各々の目が出る確率が等しい、ということの意味を理解するにはもってこいの教材だとは思いませんか。

各目が出ることが「同様に確からしい」という言葉をよく使うのですが、なんだかあいまいでしょ。
サイドタはどう見たって「同様に確か『らしくない』」じゃないですか。
そのことが、かえって、「確からしさ」を考える上で重要なことなのですね。
ユニークな教具です。

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