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2012年11月16日 (金)

鏡の話:6 光学異性体

★高校有機化学で出てくる光学異性体の第一歩は、1つの炭素原子に4つの異なるものが結合した時に生じます。こういう分子を鏡に写すと、実物と鏡像が重なりあわなくなってしまうのです。
単純な実例が、ヨーグルトにも入っている乳酸です。
炭素原子の4本の手に、-H,-CH,-OH,-COOHの4つがついたものです。

Asymmetry0
分子模型の中央の黒いのが炭素原子、上の丸いのが水素原子を表していますが、赤・青・黄は適当に。
全部異なるものだということさえわかればそれでいいのです。
二つの模型の間に鏡があるつもり。どちらが実物でどちらが像か、それもどっちでもいいです。
大事なのは、互いに鏡像関係にある、ということです。

分子模型を生徒に渡すと面白がり過ぎて、目的のものを作る以外に遊んでしまい、集中できなくなることがあります。立体的に分子の姿を見られるのはいいけれど、でたらめなものを作って遊ばれては収拾がつかない。で、図をプリントした方がいい場合も多いのです。

Mirror8
炭素原子を中心とする正四面体の4つの頂点にA,B,C,Dがついたものを考えます。
炭素原子に「A’,B’,C’,D’」がついた方をその鏡像としましょう。
さて、鏡像を取り出して、実物と重ねようとしても、絶対に重なりません。
3つを重ねると、残る1つが反対側になります。

このことはじっくり考えれば分かるのですが、苦手な生徒も必ずいますので、考案した教具が次の写真。
Asymmetry1
ボール紙で正四面体を2つ作ります。教室で生徒にいじってもらえるように、ガムテープなどで頑丈に作ります。
4つの頂点に、赤・黒・青・白の色をつけます。
このとき、二つの正四面体が鏡像関係になるように、色をつけます。
{赤青黒はマジックで、白は修正液で塗りました}
写真の下の二つです。

次に、正四面体の面の正三角形と同じ大きさの正三角形3枚で、底抜けの正四面体を一つ作ります。キャップのようなものです。さらに頂点付近をカットしておきます。
で、この底抜け正四面体を、上で作った正四面体のどちらかにかぶせて、中の正四面体の頂点が、底抜け正四面体のカットした頂点部分から出るようにします。
そして、中の正四面体の頂点と同じ色を塗ります。
写真で上のもの。

Asymmetry2
これが、底抜け正四面体をかぶった正四面体(右)とその鏡像正四面体ですね。

Asymmetry3
さて、最初はデモンストレーションで。
かぶせた底抜け正四面体を取って、鏡像正四面体にかぶせます。
2つの色を一致させると、残りの2つが絶対一致しない。逆になるのですね。

で、自分でやってみていいよ、と生徒に渡して、順番に、後ろの席へ、隣りの列へと回覧させます。
この間、わいわいがやがや、となりますので、ま、10分くらいは我慢して、にやにやと眺めることにしましょう。あるいは、机の間を模型と一緒に回りながら、ほら合わないでしょ、と確認させながら順送りを促進させてもいい。

私の授業では毎時間必ず何か「もの」を持ち込んで、回覧したり、私が持って巡回したりしましたので、その手法に年度当初から慣れている生徒たちは、それなりに楽しみながら順に送ってくれますから、そんなにロスをした気分にはなりません。
楽しみながら、鏡像が重なりあわないということを実感することができます。

これで、一応、鏡像異性体についての基本的な理解は固まります。
単純ですが、わかりやすい教材です。


先生って、いっつも授業になにか「仕掛け」を持ってくるんだよねぇ。と楽しそうに言ってくれた生徒がいて、嬉しかったなぁ。

化学は苦手だったけど、先生って、いっつも楽しそ~に授業してたよね、と言ってくれたのも嬉しかったなぁ。

先生の授業は「脱線・命」と言ってくれた生徒もいましたっけ。

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