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2012年11月19日 (月)

追記:基礎研究

★出たばかりの、「現代化学」No.501 2012.12 東京化学同人
これを、昨夜のんびり読んでおりましたら、ノーベル賞の解説が載っていました。
化学雑誌ですからもちろん、化学賞の解説もありまして、これを読んで、私は受賞内容がすっきり分かってホッとしたところです。
生理学・医学賞では2本の記事がありましたが、丹羽さんの解説が非常に面白かった。
以下に出だしと、節の見出しと、最後のパラグラフを引用します。

解説:2012年ノーベル生理学・医学賞
成体細胞が多能性に初期化されうることの発見 丹羽仁史

 2012年のノーベル生理学賞・医学賞は、「成体細胞が多能性に初期化されうることの発見」の功績により、英国ケンブリッジ大学のJ.B.Gurdon博士と、京都大学の山中伸弥博士に授与されることが決まった。授賞対象となった業績の影には、細胞の初期化の解明に挑んだ多くの研究者による重要な基礎的知見の積み重ねがあった。

{節のタイトルのみ列挙}
細胞の運命を決めるのは遺伝子の再構成か制御か
初期化現象の発見
初期化をめぐる分子生物学
想像以上に単純だった初期化メカニズム
 ・・・
 このような研究の流れの中で、2012年、Gurdon博士と山中博士へのノーベル生理学・医学賞が決定した。その受賞理由は「成体細胞が多能性に初期化されうることの発見」であった。Gurdon博士はそれを核移植で証明し、山中博士はその分子実体を解明した。これは純粋に基礎生物学的研究への評価であり、将来の医学応用の可能性は主要な理由ではないことを強調しておきたい。最近の科学の世界においては、「役に立つ」ことが強く求められる。山中博士のiPS細胞に始まる再生医学研究は、その象徴的存在といえる。しかし、その背後には、その研究がなされた時点では、到底役に立つことを明確には説明できないような基礎研究の成果がある。今後、日本から、第2、第3の「iPS細胞」的な独創的研究成果を発信するために、一見役に立たなさそうな基礎研究への理解と支援を切に願ってやまない。

丹羽仁史(にわ・ひとし)さんは、1964年まれ、理化学研究所発生・再生科学総合研究センター 多能性幹細胞研究プロジェクトリーダーでいらっしゃいます。山中さんより2つ年下の同世代の方ですね。

★前の記事「鏡の話:7」で「化学(科学)の研究は「必ず役に立たなければならない」というような風潮」について私は批判的な立場を表明しましたが、現場の人からの要請は重いと思います。
今まで知られていなかったことを知る喜び、そこに科学研究の原動力があるのです。
新しい発見を成し遂げた時、「世界中の何十億人ものなかで、今このことを知っているのは私一人なのだ」という、孤独と到達感。その深い歓びを「ことほぎ」ましょうよ。
「無駄」なんてことはないのです。
いつだって、そういう中から、「役に立つ」ことが派生してくるのです。

★この引用文を今テキストエディタに入力していて、ふと気づいたのですが、現代化学は501号に来てるんですね。
私の化学科の一年先輩が、降りてきて同学年になり、今度は私が、独りで「卒業拒否」なんて「闘っちゃって」、そのせいでまた先輩になっというある方が、化学科を卒業して、東京化学同人に就職して、「現代化学」の創刊に関わりました。おまえ、義理も縁もあるんだから購読しろ、といわれて、創刊号から読んでいる雑誌です。
古い話だなぁ。一回だけ、何だったか定かではないけれど、記事を書いたこともあるんですけどね。
昔むかし、あるところに・・・ というようなお話しでした。
とっぴんぱらりのぷぅ。

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