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2012年10月19日 (金)

正の数・負の数

★先日、「有理数・無理数」という用語は、「比」で表せるかどうかについて与えられた名前だという話をしました。
http://yamada-kuebiko.cocolog-nifty.com/blog/2012/10/post-6193.html

★中学校の数学で「正負の数」というのも「躓きの石」らしいですね。
「正」に対して「儲け」、「負」に対して「損」を、アナロジーとして対応させることはよく行われますね。(歴史的に、負数が発見されたときにも、やはり損得の話のアナロジーが使われた、というように聞いています。)

「アナロジー」とは「類推・類比」「たとえ話」です。

アナロジーはある側面で出来事の性質をよく表現することができることがあります。
ある側面で有効なアナロジーだからといって、全面的に有効であることは稀です。
ですからアナロジーを無限定に拡大してはいけません。
どうしても人は「言葉の意味」にとらわれてしまう。
で、損と損が掛け合わさって儲けになるのはおかしい、納得できない、というようなアナロジーの拡張に戸惑ってしまうのです。
アナロジーは、「損と得という、反対向きの出来事」くらいのところで止めておけばいいのにね。

★「0(ゼロ)」を起点として、右に伸びる半直線上に1,2,3・・・と自然数を書いて行きます。
この半直線では足し算は右に行くことです。
2+3は、2の位置から3つ右に行くこと、ですね。
この半直線上で足し算は自由にできます。

では引き算はどうでしょう。
3-2なら、3の位置から2つ左に行く、でいいですね。
ただ、差し当たって、半直線は原点で閉じてますから、無制限に左には行けない。
2-3だと、原点を超えてしまう。
こういうとき、数学は多少、経験的・感覚的に抵抗があっても、制限を外して新しい概念を作っちゃおう、と考えるのですね。窮屈な制限を取り払って、広々と自由な方がいい、と考えるのです。
原点より左側、というのがあってもいいじゃないか、そうすれば引き算も自由になる。世界が広まります。

●原点を超えて左側の領域に「負」という名前を与えました。

で、負の方向にも半直線を際限なく延長して、直線にしてしまいましょう。
そうすると、この直線上では、足し算も引き算も完全に自由になります。制限なし。気分いいですね。
負の数というのは基本的にそれだけなんですよ。
引き算も制限なく自由にできる世界、です。

★ところで操作的にものを見る、というのも大事です。ちょっと数学的な厳密性には欠けますけどね。
Minus
数直線があります。差し当たってここには整数が目盛られています。

なんでもいい、ある正の整数「m」に対して「-1をかける」という「操作」を考えます。

「-1をかける」というのは、原点を中心として180度回すことと約束します。(反時計回りに、ということにしておきます、便宜上。)

そうすると「m」は負の領域へ飛びこんで「-m」の位置へ行く。
じゃあ、「-m」に「-1をかける」とどうなるでしょう?
同じこと。原点を中心として180度回すのですから、また「m」に戻ってきますね。

単純明快。
「-1をかける=180度回す」のですから、2回「-1をかける」と360度回って元に戻ります。
マイナスの領域にある数は負の数、それに「-1をかける」と正の領域の正の数になるのですね。

操作的に考えてしまえば楽でしょ。
「損の損は得なのか」なんてあんまり言葉の意味を拡張して悩まずに、単純に理解すればよいのです。
以上。

★(-2)×(-3)は
{(-1)×(2)}×{(-1)×(3)}と考えられます。すると
{(-1)×(-1)}×(2)×(3)
{ }内で、(-1)を2回かけてますから360度の回転、これは「1」
そうすると
(-2)×(-3)=(1)×(2)×(3)=6
詳しく分解するとこうなりますかね。

★一応、厳格な証明も考えましたので、次回でご紹介しましょう。


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