算術平均 ≧ 幾何平均
★タイトルをご覧になって、ムッとしてませんか。まぁ、気を落ち着けて読んで見て下さい。
高校数学で習うのですよね、算術平均 ≧ 幾何平均 というやつ。
(a+b)/2 ≧ √(ab) というあれ。
左辺を算術平均(相加平均)といい、右辺を幾何平均(相乗平均)といいます。
普通は、「平均」といえば算術平均です。ただ、成長率とか、経済的なところでは幾何平均も使われていますが、あまり意識されていないですね。
単純に言えば、算術平均は2本の棒の長さの中間、ですね。
幾何平均は、長方形の面積を変えずに正方形に変形した時の正方形の一辺、ですね。
★ところで、10月8日(月)付で、「平方根(ルート、√)の作図」という記事を書きました。
http://yamada-kuebiko.cocolog-nifty.com/blog/2012/10/post-7cfb.html
この中で、「ちょっと面白い作図をご紹介しましょう」といって、「作図可能な任意の数」の平方根を作図する方法を書きました。
あの図を、自分で眺めていて、「そう、面白い話があったっけ」と思い出しましたので追記します。
あの図の方法を使って「算術平均 ≧ 幾何平均」を証明してしまおうというのです。
数学の授業でオーソドックスな証明を学んだかもしれません。さして難しい証明ではないですけどね。
大小関係は自乗しても変わらないので、不等式の両辺を自乗して、差をとり、計算すると、((a-b)^2)/4の形になり、自乗はゼロまたは正ですので、証明終わり、と。
★これを視覚的にやってみましょう。
これだけ。
PD=√(ab)になっているというところに、平方根の作図の相似関係を使っていますが、めんどくさいのでここには書きません。(△DAPと△BDPが相似です。)
直感的にOCはPDより大きいですから、証明終わり。っと。
「明らか」なんて言葉を数学で見かけて「どこが?」とムッとすることはよくありますけどね。
明らかでしょ。
直感的には「明らか」だけど、ホントに直感だけでいいの?という向きには
図の右下。sinが1より小さいことを使えばいいでしょう。
というわけでした。
★別の、面白い証明も思い出してしまった。
これだけ。
「4畳半」みたいな図ですが、図の右に書き込んだ証明でお分かり頂けるでしょう。
全体の正方形の面積=(a+b)^2 は、部分である4枚の長方形の面積の和=4ab より大きい、ということを使っています。
等号が成立するのはa=bのときのみ、というのも明白ですね。aとbが等しいと、真ん中の斜線部分が消えてしまいますね。
数学って、分かり切ったようなことをうまく使うものです。
★ところで、思考が飛んで歩いて。ピタゴラスの定理の証明を思い出しました。
{似てないですけどね。なんだか記憶がむずむむずしました。}
全体の正方形の面積から、4枚の直角三角形の面積を引くと、中の斜めの正方形の面積になる、ということを書き表しただけです。
証明終わり。
面積を移動させるオーソドックスな方法は、実に見事な方法だと思いますが、直観的に明白、というのもいいでしょ。
★別件:ピタゴラスの定理でまた思考が飛び回っていまして、ピタゴラス数を網羅的に作るというのを、そのうちお目にかけます。それなりに面白いはずです。
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