平方根(ルート、√)の作図
★季刊「理科の探検」(RikaTan)という雑誌があります。
2012年夏号に「√2が開いた科学の扉」という記事がありました。
自然数、有理数、無理数そして実数、というようなお話で、ピタゴラスの定理から無理数が生まれてしまうことが簡潔に述べられています。
そこに下のような図がありました。
雑誌の図版は正確できれいです。
私の図は、作図ソフトをちゃんとコントロールするのがめんどくさくって、ずれを生じていますが、こんな図だという「感じ」さえ伝わればいい、ということでずさんな図を載せました。
間隔が「1」の平行線を使って、1と1から√2を作図、1と√2から√3を作図・・・と進めていけば、原理的に全ての自然数の平方根を作図できますね。
私が中学生のときは、原理は同じなのですが、ちょっと見、違うスタイルで学びました。
このように、次々と直角三角形の斜辺上に作っていくわけです。
どちらも、自然数の平方根は作図出来ますが、順番に作っていくしかない、という方法です。
★そこで、ちょっと面白い作図をご紹介しましょう。
まず「1」という長さは絶対必要です。任意に「これが1だ」と定めます。
次に、平方根を作図したい有理数「m」が与えられたとします。
直線上にAP=1、PB=mとなるような、線分ABをとります
線分AB=1+mです。
ABを直径とする半円Oを描きます。
PからABに垂線を立て、円との交点をCとします。
すると、図の下に書き込んだように
△ACPと△CBPの相似から、比例式が書けます。
ここで、分数形で「AP/PC」というような表記をしているのは、比の表現です。
「AP:PC」というような表記よりも、比でありながら分数としての取り扱いもできて便利なものです。幾何をやった方ならストレートに理解して頂けるでしょう。図形の中の比を扱う時は全て分数形で行います。
で、図中に書き込んだように
PC=√m になります。
●こうして、与えられた任意の有理数mの平方根が作図出来ます。
1という長さに対して、作図可能な長さであるなら、mは必ずしも有理数に限定しなくてもいいのですが・・・。
例えば、無理数である√2は作図できるのですから(√(√2))も作図出来ます。いろいろ何が作図できるか探ってみて下さい。
「任意の(=すべての)」という言葉をつけられるのは有理数に限定したときだけですね。
●ところで、上での私の書き方は、すべての有理数が作図できることを含意していますね。
ほんとでしょうか?
詳しくは省略します。図中の書き込みをよく読んでいただければ難しいことは書いてありません。
OP=1、OA=m、OB=nとし
ABに平行なPQを作図しますと
OQ=n/m となりますので、2つの自然数m、nが与えられれば、n/mは作図出来ます。
オマケ:普通、二つの自然数m、nを掛けるという作図を考えると、m、nを2辺とする長方形を描けばその面積がm・nになりますが、面積と長さでは比較できません。
m・nという2つの自然数の積を長さで求めることはできないのでしょうか?
図中、色のついた線が積を作図する線です。
PBに平行なARを引きますと、OR=m・nとなります。
2つの自然数の積を長さで表示出来ました。
★最初歩的幾何のお遊びでした。
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