言葉遊び
★「無理」数とか「虚」数とかのお話をしました。
言葉の意味を拡大しない方がいい、定義された意味だけにとどめるのがいい、操作的に把握してしまうのもいい、と。
で、言った本人が言葉遊びをしたくなったんですよ。鏡の前で歯磨きしていてね。
★鏡って、昔から人にとって不思議なものでした。
鏡の向こうにはこちらと同じ世界があるように見える。でも鏡の中には入れない。
こちらが現「実」の世界なら、鏡の中の世界は「虚」の世界。
さて、完璧な鏡があるとします。厚みのない100%の反射率の反射面。
その面上に起点「O(オー)」を置き、鏡面に垂直で現実世界の方へ延びる半直線を考えます。
数の半直線です。
0(ゼロ)は鏡面上にあり、自然数、有理数、無理数などがびっしり乗った半直線。
鏡を見ると、手前の「実世界の数の半直線」の虚像が鏡の中に「向こうへ向かって」延びています。
ということは、向こう側に延びているのは「虚の世界の数の半直線」でしょうね。
そうすると、私たちが今「負の数」と呼んでいるものは、「虚の世界の数」なのかな?
●これを「虚数」と呼んでもよかったかもしれませんね。
と、これがやりたかった言葉遊びなのです。
実世界と虚世界の境目にあるのは「鏡面」。
実と虚からなる数直線に垂直に鏡面内に垂線を立てましょう。
これが、私たちが今「虚数」と呼んでいる数の直線。
これが鏡面に乗っているのですね。
鏡面とは行ってみれば「虚実皮膜の間(あわい)」
その「虚実皮膜」に乗っている数ですから、「被膜数」とでも名付けますか?
広辞苑第五版から引用
きょ‐じつ【虚実】
①無いことと有ること。空虚と充実。
②うそとまこと。「―相半ばする」
③防備の有無。種々の策略を用いること。「―を尽して戦う」きょきょ‐じつじつ【虚虚実実】
(「虚実」を強めていう語。「虚」は備えのすき、「実」は備えのかたいさま) 互いに敵の虚を衝ツき、実を避けるなど、計略や秘術の限りをつくして戦うさま。「―のかけひき」きょじつ‐ひまく【虚実皮膜】
(近松門左衛門の語。「難波土産」に見える。「皮膜」はヒニクとも読む) 芸は実と虚との皮膜の間にあるということ。事実と虚構との中間に芸術の真実があるとする論。
近松門左衛門によれば「芸は実と虚との皮膜の間にある」のだそうですから、敢えて言葉遊びを発展させれば
●私たちが今「虚数」と呼んでいる数は「芸数」なのかもね。
気ままに遊んでみました。
「芸数は、虚にして虚にあらず、実にして実にあらず」なのでしょう。
ところで、ふと思い浮かんだのですが、
実世界の数半直線上で、小さい数から大きい数を引くと、鏡の中の虚世界の半直線上にいってしまいますね。
鏡の中の世界へ侵入する手段は「引き算」にあるのかな?
などと、この際、目一杯「意味つながり」で遊ぶのも楽しいかもしれません。
★オマケ
凸レンズでできる実像と虚像の簡単な図を載せておきます。
実像の位置にスクリーンを置けば、像が写りますが、虚像の位置においてもなにも写りません。そこにはないもないのです。
鏡の場合も、向こう側にものが存在しているように見えますが、向こう側には何もないのですよね。
鏡に初めて接する子や、動物などが、鏡の向こうを覗いて見て「悩む」ということがありますね。
「虚」というものに初めて接するのが「鏡」なのでしょうね。
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