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2012年8月14日 (火)

仕事とエネルギー

昔の物理授業を思い出しつつ。また、最近のことも。

★「力(F)」を加えて物体を「移動」させるとき、「仕事(W)」をします。
移動距離をSで表すと
W=F・S
です。

・地面にある石を「力をくわえて持ち上げ」ます。
石に対して仕事をしますね。
その「仕事」どうなっちゃうんでしょう?
持ち上げた石を落っことすと、加速しながら落ちていって、脚に当たったら怪我するかもしれません。
石に対してした仕事は、石が「高いところにある」という位置エネルギーになって「蓄えられて」います。
石を落とすと、位置エネルギーが運動エネルギーに転換され、石が脚に当たるときにまた仕事(骨に対して力をくわえて移動)をして、骨にひびを入れるかもしれません。

・摩擦のない面上で、物体に力をくわえて押していくと、加速していきます。
つまり、物体に対してした仕事は、物体の運動エネルギーとして蓄えられます。
それが停止する時は、また仕事ができます。

・物体に対して仕事をすると、物体はされた仕事を蓄えます。この状態をエネルギーがある、といいます。
蓄えられた仕事=エネルギーは、再び仕事ができます。エネルギーとは仕事をする能力のことです。

・ビックリ箱のバネを押し縮めて人形を箱の中に収めます。この時、バネに対して仕事をしますので、バネは仕事を蓄えます。弾性エネルギーといいます。
蓋をされたビックリ箱は、ずっとエネルギーを蓄えたままでいますが、蓋を開けると、エネルギーが解放されて、重さのある人形を力で押して飛び出させます。で、ビックリ。


アーチェリーの弓を引きます。
弦は伸び縮みしません。腕で力を加えて弓を変形させます。
弓はバネですから、弓に対してなされた仕事は蓄えられます。
で、矢を放つとき、弓に蓄えられたエネルギーが、重さを持つ矢に力をくわえながら押していって矢に対して仕事をし、矢の初速を与えます。矢はその初速での運動エネルギーを持って飛ぶわけです。

人間の腕力で、弓に対してした仕事=矢の運動エネルギーなのですね。
このようにして射出される矢の初速が約60m/sとしてお話しをしました。

エアライフルの仕組みをちゃんとは知りませんが、確かレバーのついたポンプで空気を加圧するのではなかったですか。
レバーが「てこ」になっていますから、何回もポンプを押す必要はありますが、なまの筋肉が出し得る力よりはずっと強い力を使えます。その結果、エアタンクには200気圧というような圧力の空気が蓄えられます。これも、空気をバネと見て、空気に対してした仕事が蓄えられている、という状態です。エアタンクの空気はエネルギーがあるのですね。それが弾丸を打ちだすわけです。
大雑把に180m/sとしてお話しをしました。
てこという道具によって人間の仕事能力が拡大されたのですね。

小さな力×長い距離=大きな力×短い距離=同じ量の仕事

人間の腕力は弓を引く力程度でそう変わりません。ですが、弓では「一回引く」だけですが、エアポンプでは何回もレバーを動かせる。その結果大きな仕事ができるのですね。決して仕事の得をしたわけではありません。

道具に対してした仕事≧道具がする仕事

摩擦がないとか理想的な状況でのみ等号が成り立ちます。現実には必ずロスがあって仕事の得はしません。
これを仕事の原理といいます。

さて、蓄えられた仕事が解放されて、弾丸を短い距離、大きな力で加速して大きな初速を与えることができるのです。

ここまでが筋肉がする仕事の話。

★火薬では、直接には力学的な仕事は蓄えられていません。
原子同士が結びつく、という「結合」にエネルギーが蓄えられているのです。
火薬を構成する原子の結合のエネルギーが解放されて、気体の体積の猛烈な膨張という形で現れて、弾丸を加速すると、音速をこえてしまうのです。
人間の筋肉の直接の仕事、道具を使って拡大された能力での仕事をはるかに上回るエネルギーが原子同士の結合の中に蓄えられているのです。

産業革命から現在の石油エネルギーまで、化学エネルギーの利用技術を人間は開発してきました。
それなりにコントロール下においているようです。
でも、化学反応の廃棄物処理に手を焼き始めている。地球温暖化とかね。環境破壊とかね。

★原子は原子核と電子で構成されます。
原子核はまた、陽子と中性子で構成されます。
この原子核のレベルで、原子核がくっついたり、壊れたりすると、大きなエネルギーが出ます。
陽子や中性子の結合エネルギーは、原子同士の結合エネルギーより桁違いに大きいのです。
質量が消滅してエネルギーになるというレベルの話になります。
E=Mc^2
このレベルの話です。

原子レベルの世界で使うエネルギー単位は「eV(エレクトロンボルト)」といいますが、詳細には立ち入りません、そういう単位なんだとだけ了解して下さい。

・水素と酸素が結合して「爆発」した、というような化学反応では
2個の水素原子と1個の酸素原子の反応ででるエネルギーは「3eV」程度です。

・ところが、
235U → 137Ba + 97Kr + 2n
こんな核分裂で放出されるエネルギーは「200MeV」程度です。
200×1000000eV→2千万eVです。

エネルギーの桁が100万、1000万倍も大きいのです。

・このエネルギーを一挙に解放すると、原子爆弾になります。
徐々に解放して「お湯を沸かして蒸気を作りタービンを回して」発電すると原子力発電です。

人間は原子核エネルギーを手に入れてコントロールできるような気になっていますが、桁が違いすぎるんだよなぁ。
原始のヒトから現代人まで「肉体を使う」「火を使う」という形で化学反応のエネルギーを利用してきました。

でも、原子核エネルギーは、人間のコントロール能力を超えている、と私は考えています。
技術的にも、倫理的にも。
人間の歴史の中から「戦争」というものが消え去るときがきたら、核エネルギーに挑戦する資格が生じるかもしれませんね。

それにつけても、核エネルギーを利用した後の始末が全然できないのに、なんで平気で使う気になれるんだろう。

核エネルギーの利用は人間の手に余る、と思います。

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