月を射る
★オリンピックの大騒ぎには鬱陶しさしか感じていない私です。
いろいろ「周辺の物語」「感動秘話」が好きですよね。あれが大嫌いなんです。
騒ぐために騒ぐというのか、大騒ぎを自己目的化している姿も見たくない。
でも、競技者が自分の能力の最大限に挑戦する姿は好きです。
そういう意味で、チームスポーツにはもともとあまり関心がない。
個人で肉体の限界に挑むのがいいなぁ。
陸上とか水泳とかは結構好きです。
個人的に、高校時代少しやったアーチェリーも好きです。
歩く、走るがダメなんで、上半身の力を使うスポーツはどうかな、といろいろ試したんですね。
自分の肉体的な可能性はどんなものなのかを探っていた時代があるんです。主に高校時代。
大学の1年の頃にはベンチプレスで、腕だけで100kg近く押し上げた時代もあるんですよ。
アーチェリーは高校から大学にかけてしばらく楽しみましたね。
水泳が一番私には向いている、今も泳いでますものね。これ、いいですね。
自分が泳ぐので、選手が泳ぐのを見るのはすごく楽しい。
★話はアーチェリーなんです。
新聞を見たら、メダルを獲得しましたね。
で、経験があるくせに、的の大きさを知らなかった。
「70m先にある直径12.2cmの中心円」
ですって。
的全体は直径122cmで、それが等間隔で10に切られているんですね。
それって、ものすごく小さくない?
ひょっとして、地上で見る太陽や月より小さくない?という直感。
計算してみなくっちゃ。
図のθを求めたいわけですね。このθを視半径と言います。
それには、タンジェントの逆関数を使えばいい。
大雑把に行きます。
太陽の視半径
l=1.5×10^8km(1億5千万キロと暗記してます)
r=7.0×10^5km
これでθを計算すると
θ=0.27度
月では
l=3.8×10^5km(38万キロと暗記)
r=1700km
θ=0.26度
太陽と月の視半径はほぼ等しいのです。ですから日食が起きたりするんですね。
★では、アーチェリーは?
l=70m
r=0.061m
θ=0.05度
わっ、1桁小さい!
アーチェリーの的を射るのは、月を射抜くより難しいんだ!
1円玉の直径は2cmです。半径は1cm。
1円玉の視半径が0.05度になる距離というと
0.061:70=0.01:x
x ≒11.5m
11m先の1円玉ですって。
アーチェリーって、凄いものなんですね。
こういう話なら「わたし感動して」しまいます。
これ「感動秘話」だよなぁ。
別件:私のアーチェリーですが。
わたくし、小さい頃に椅子から転げ落ちて、左手の肘関節を脱臼し、骨も折ったことがあるせいでしょうか、肘関節が逆反りするんですね。そうすると、矢を放つときに弦で肘の内側を打つ。ガードを着けてやるんですが、やはりきつい。私の腕はアーチェリーには向いていないのでした。
ものすごい内出血を頻繁にやってましたっけね。
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月に吠える、を思い出して「月を射る」とはロマンチックなお話かなと想像したのですがやはり違ってました(^^; アーチェリーの的を射るのは本当に難しいことなのですね。驚きました。私も競技を見ていましたが矢を射る時、いくらか孤を描くようにしていました。射撃の場合は真っすぐ狙うと思いますがこの差は何なのでしょう。無知な話でお恥ずかしいのですが良かったら教えてくださいませ、無理ではないので時間があったらで結構です。肘、お大事に!
投稿: 桔梗 | 2012年8月 2日 (木) 17時09分