モノクローム または 白と黒
{写}
これ、「ニュートン」という科学雑誌の、表紙の右下の部分です。
地震や原発事故の特集だったので購入しました。定期的には買っていません。
さて写真ですが、一番下が「なにもしない」で撮影したもの。普通のカラー写真です。
「暗記グッズ」とでもいうのでしょうか、緑や赤の透明下敷きというのを売っています。
覚えるところを赤いサインペンでマークしておいて、緑の下敷きを乗せると、真っ黒になって見えなくなるので、その部分を思い出さなければならない、というやつです。
写真中央は緑の下敷きを乗せて撮影。
一番上は目には赤く見える下敷きを乗せて撮影。どうもこの「赤」、単色じゃないようです。
ま、おおよそ「単色の世界」になりました。
単=モノ、色=クローム でモノクロームの世界です。
明るさだけの世界になりました。
これをですね、画像処理ソフトでグレイスケール変換というのをやって、「白黒」にしてみました。
白黒の世界なのですが、見え方に微妙な違いがあります。
面白いですね。
ニュートンの同じ号の裏表紙の広告。
一番下が普通のカラー写真で、真ん中が緑下敷き、上が赤下敷きを透かしての撮影。
ベクトルの矢印が、下から赤、黒、白みたいになりましたね。
自分の肉眼で試すと面白いですよ。
これも白黒にしてみました。
不思議な世界になりました。
白黒の映画や、テレビでも、なんとなく「質感」や「表面の感覚」や、色に関わるイメージは伝わったものです。人間が脳で補うのでしょうね。
モノクロームだと、基本的には明暗の世界になります。
2色の視細胞があれば、色覚が生まれます。
3色性の色覚と同じではないですが、色を識別する、色彩世界を認識するという意味では、同等の視覚です。
4色性の色覚や、5色性の色覚もあるでしょう。
ヒトの不完全な3色性の色覚が最高のものだなどとは思いあがらないことです。
★自分の視覚で実験。
赤や青の下敷きや、セロファンが手元にあるとしましょう。
例示するのは赤ということにしますが、青のものでも同様です。
1:赤い下敷き越しに、室内なり屋外なり、眺めてください。
4,5分もしたら、下敷きなしで同じ光景を眺めてください。
ヘン!でしょ。
赤色に反応する視細胞だけが使われたので、その細胞が感度が落ちているのです。
で、下敷きなしで世界を見ると、赤に対する感度が落ちた状態で色彩を見ますので、実に妙な見え方になるのです。
2:片目の前に赤下敷きを持ってきて、もう一方の目は普通のままにしてしばらく過ごします。
しばらくしたら、下敷きなしで見てください。
左右の目の色に対する感度が変わってしまっていますので、ホントに妙です。
片目ずつつぶって、同じものを見ると、なんで?という気分。
色が違うんですもの。
神経質な方で、そういう感覚の変化に弱い方はやらない方がいいかもしれません。
気持ち悪くなる可能性があります。
ま、しばらくすれば、回復しますから大丈夫。
目の機能に悪影響を及ぼすものではありません。
変な気分を味わって下さい。
★おまけ
下のサイトでみることができる「補色残像」という現象は面白いです。
絶対、あれ?何?これ?となります。
http://www.olympus.co.jp/jp/event/wakuwaku/lesson/04.cfm
実験は簡単、下の通り。
①スタートボタンをクリックすると、補色画像が表示されます。10秒間できるだけ瞬きをしないように、しっかり黒い点を見てください。
②10秒後、マウスのカーソルを画像にあわせると補色画像が白黒画像に切り替わります。すると、白黒画像に色が付いて見えます。
ビックリしますよ~
請け合います。
視線を固定することがポイントです。
補色画像の中央に黒い点がありますから、それを凝視して視線を動かさない。この時はマウスカーソルを画像の外に置く。
で、マウスカーソルを画像上に持ってくると、「色のついた写真」になるはずです。
その後に、視線を動かしてみてください。
実は白黒画像なんですね。
脳がだまされます。快感。
「理科おじさん」カテゴリの記事
- 化学の日(2022.10.26)
- 秒速→時速(2022.09.01)
- 風速75メートル(2022.08.31)
- 「ウクライナで生まれた科学者たち」(2022.05.31)
- 反射光(2022.05.09)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント