アオスジアゲハ
2012.6.16
アオスジアゲハの幼虫が前蛹になろうとしているところです。。
終齢幼虫は歩き回って(ウォンダリングといいます)、蛹になる場所を決め、腹端部を固定し、胸のまわりを糸で固定して、ぎゅっと体を曲げて、蛹になる準備をはじめます。
上の写真ではまだ幼虫の姿が強く残っています。
前蛹の状態。上の写真とは別個体です。
飼育ケースの外側からの撮影で、フラッシュを使っていますから、幼虫が足場として張りめぐらせた糸が光って見えます。
で、黒い点が二つ、なんだか擬人化したくなりますね。これ、目ではありませんので誤解なきように。
この後、脱皮して蛹になります。
これが蛹。これもまた別個体。
飼育してきた幼虫たちが次々と蛹になろうとしているのです。
そのため、いろいろなステージが一度に撮影できました。
透明感のあるきれいな緑の幼虫が、独特の、多分「葉」に擬態した蛹になります。
不思議ですね。
経験的には、アゲハの蛹よりもアオスジアゲハの蛹の方が羽化の時にセンシティブで、足場を失って落ちることも多いようです。
蛹になってしばらくしたら、蛹を両側から挟むように、ティッシュペーパーを垂らして、上をセロテープで固定して、滑らない足場を作ってやると、羽化時の失敗がものすごく減ります。
もし、飼育なさっていらっしゃる方がおられたら、ちょっとだけ、手助けをしてやっておいてください。
これ、蛹の腹端部。
糸をマット状に張って、そこに引っかけて固定しているんですね。
幼虫の時代の皮を脱ぐとき、一瞬、皮をまたいでこのマットにしっかり引っかけて固定するのです。
★別件
朝日歌壇にこんな歌がありました。
糸を吐く蚕の苦しみしんしんと繭となりゆく夜更けの蚕室
カイコは家畜化された昆虫ですので野生のチョウやガとはまた少しは違うとは思いますが。
幼虫が糸をはいて繭を作る作業が、「苦しみ」だとは私は全然思わないんですけど。
幼虫の時代から、蛹の時代へとステージを移り、そうして成虫になる準備に入る。
成長の喜びこそあれ苦しみとは思えない。
人間は、胃の不調で「吐く」ということが起きますが、「吐く」という同じ言語表現を使ったために、同じようにつらい行為なのだろう、と思い入れをするのは不自然でしょう。
人間が吐いて苦しいのは、口から食道、胃へという「順」な流れに反する「逆」の行為だからです。
カイコにとって、口から糸をはくという行為は「順」な行為です。
クモは尻から糸を出すから楽だろうけど、口から糸を出すのは苦しいに違いない、と考える必要はありません。
家畜としてのカイコは、蛹になった後、殺されてしまうので、その意味では蛹化は辛い行為かもしれませんが、昆虫の本来の姿としては、成虫の時代へと大きく変化していく、表面は静かですが内部的には大きな躍動の時間への突入です。
これは歓びだろう、と私は想像するものです。
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