油を売る
★あれぇ!?という新聞記事を読みました。
2012年6月21日の朝日新聞の記事です。
ある船舶燃料輸送・販売会社が約3億6千万円の法人所得を隠し、約1億円を脱税したというのです。
・・・
大型タンカーなどに使われる重油は粘度が高いため、船から船に給油する時は温めて滑らかにし、パイプの中を通りやすくする。一方で温められた重油は容積が膨張する。○○は重油のこうした特性を利用。加熱で膨張してタンクの中に余ったり、パイプの中に残ったりした重油を燃料会社から買ったように見せかけ、経費を水増ししていたとされる。
・・・
給油船のタンク容量は数百キロリットル前後。温めることによって膨張したり残ったりした重油を少しずつためていけば、相当な量に上ることがあるという。
これって、「油を売る」を地で行ったんじゃないの?
広辞苑では
○油を売る:(江戸時代、婦女に髪油を売る者が、ゆっくりと話し込んで商売をしたからいう) 無駄話に時を過す。また、用事の途中で時間をつぶす。[広辞苑第五版]
こうなんですが、私が子どもの頃に落語かなんかで聞いた話は。
油売りが朝、商売に出かけても、油が冷たい。で、油が温まって体積が増えるまで、時間稼ぎをして売ったのだ、と。
そうすると、毎日わずかずつでも、膨張した分だけ儲けが重なっていく、という話でした。
で、今回調べてみたら。
http://www.abura-ya.com/kobore/kobore01.html
「油を売る」話
「油を売る」というと、世間話や無駄話をしたりして時間を過ごすという意味で、「そんなところで油売ってちゃダメだよ」などとあまり良い意味では使われません。
皆さん、この「油を売る」という言葉の語源はご存知ですか?
油屋さんが、行商で油を小分け売りしていた頃の名残ですが、ここで、質問です。
次のどちらが正しいでしょうか?(1)油は熱膨張率が大きい。また、油の行商人は柄杓で油を測り売りしていましたが、朝の寒いうちに売るよりは、日が昇って暖かくなり、膨張してから売ったほうが得。ですから、午前中は油を販売するより、世間話をして時間をつぶして、暖かくなってからおもむろに商売を始めた。ここから、世間話をして時間をつぶすことを「油を売る」となった。
(2)油を柄杓で計り売りするときに、粘度が高く、ツーッと糸を引いてなかなか切れない。柄杓の油が全部注がれるまで、油屋とお客は世間話をしながら待っていた。これが「油を売る」の語源。正解は、(2)でした。
実は、サイト運営をしている油屋自身随分前に先輩から(1)の説を聞いて以来、何人もの人に「油を売るの語源知ってる?」と(1)の話をしてしまいました。
その後、(2)が正しいと知り、赤面した覚えがあります。
さあ、「油を売る」のはこの辺にして、まじめに油を売らなくちゃ????
http://www.zenkyu-kyo.or.jp/kotowaza/index.html
全国給食事業協同組合連合会(全給協)の「食のことわざ」というページです。
油を売る
ずるい油売りの行商が油を太陽にあてて容積を膨張させてから売る。冷たい油で計って売るよりも利益が多い。日向ぼっこなどしてすぐ商売をせずに暇つぶしをすることをいう。
私の知ってた方の説もあるし、油はなかなか切れないんだ、という説もありました。
いくら粘っこくても、ツーッと垂れてなかなか切れない、というのも何だか変な感じですねぇ。
使用済みのてんぷら油なんかを濾すことはよくやりましたが、そんなに「切れない」とも思わなかったなぁ。(濾過には時間がかかりますけどね。)
思うに。
商売の相手がおそらく女性でしょうから、いっぱい世間話をしながら売り歩いたので時間がかかった、というようなことの方がありそうに感じますが。
床屋さんというのも世間話のサロンでしょ。
油売りさんも、世間話で世間を広めてくれる、「口コミ=ある種のマスコミ」だったのではないのかなぁ。うわさ屋さんだったとかね。
何にせよ、現代の「油を売る」話に笑いました。
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