浜風
★朝日新聞の「しつもん!ドラえもん」の894回で甲子園の「浜風」の話が出ていました。
晴れて陸の気温が上がると、上昇気流が生まれて海から空気が流れ込むんだ。右翼方向から左翼方向に吹き、風速10mを超えることもあるよ。
★これを読んでいて、昔の物理の授業を思い出しました。
熱、熱容量、比熱などの話のところです。
海の「水」は比熱が大きく、陸の土は、比べれば水より比熱は小さい。
比熱の大きいものは温まりにくく冷めにくい。
比熱の小さなものは温まりやすく冷めやすい。
この話の続きとして、黒板にこんな図を手描きします。↓
{図}
上段は夏の海岸の真昼。お日様が「サンサン」と照っている。{sun sun で生徒にうけます。}
比熱の小さな陸は温まりやすく、比熱の大きな海は温まりにくいので、相対的に陸が海より熱くなるね。すると、陸で上昇気流が生じ、海では下降気流。それを繋いで、海から陸へ「海風」が吹くんだよ。
★これが甲子園の「浜風」ですね。
★下段は夜の海。月が出てるからね。
{ここで、敏感な生徒は、先生!「ムーンムーン」とした夜なんでしょ、とか、からかってきます。大真面目に。その通り。}
比熱の小さな陸は冷めやすく、比熱の大きな海は冷めにくいので、相対的に海が陸より熱くなる。すると、海で上昇気流が生じ、陸では下降気流。それを繋いで、陸から海へ「陸風」が吹くんだよ。
じゃあ、昼と夜の境目は?なんだろね。
朝と夕。でしょ。
夏の暑い夕方に、さっきまで吹いていた涼し目の海風が止まってしまって、むわぁっと暑くなる時間帯があるんだね。
これが「夕凪(ゆうなぎ)」、海も「凪(な)ぐ」。
朝は「朝凪」というね。
「凪(なぎ)」という字は「風が止まる」という意味で日本で作られた漢字なんだよ。国字というね。
英語では「calm」。
形容詞だと、天候や海などが、穏やかな、平穏な、冷静な、という意味で
名詞だと、平静、なぎ、という意味だ。
やっぱり「風が止まった状態」のことのようだね。
★さて、話をでかくしよう。
夏。大陸は熱くなり、太平洋は比較的冷たい。
図の上段と同じ。
海から陸へ風が吹く。そこに日本列島があるでしょ。
だから夏は太平洋高気圧から大陸へ南風が吹くんだね。
冬。大陸は冷え切ってしまう。海はそれほどではない。
図の下段と同じ。
陸から海へ風が吹く。
シベリア高気圧からの冷たい北風が日本列島に吹くわけだ。
じゃあ、春や秋は?
ある意味で「凪」なのさ。
圧倒的な風が切り替わる時期なんだな。
梅雨があり、秋の長雨があるでしょ。ね。
★古い理科年表には、世界の気圧分布の図がありました。
8月、北半球では大陸に低気圧・海に高気圧が分布します。
2月、北半球では大陸に高気圧・海に低気圧が分布するのです。
そして、南半球では見事に分布が反転している。
この図をコピーしてプリントにし、配布すると、「ナットク」です。
わっと記憶が押し寄せてきましたので、ちょっと再現してみました。
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