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2012年7月24日 (火)

生レバー駆け込み、食中毒

★朝日新聞デジタルから。

生レバー駆け込み、食中毒11件 3日間で1年分超える(2012年7月20日11時33分)
 7月1から提供が禁止された牛のレバ刺し(生レバー)を食べた人の食中毒が、禁止直前の3日間に全国で11件発生し、54人に症状が出ていたことが厚生労働省のまとめでわかった。通常、牛生レバーが原因となった食中毒は年間でも9件程度で、「駆け込み消費で発生が急増したのではないか」とみている。
 厚労省食中毒被害情報管理室によると、牛生レバーを食べた人が下痢や発熱などを訴えた食中毒は、6月は12件58人が報告された。このうち埼玉県の1件を除く11件は28~30日の食事で発生していた。(後略)

以前は、O157などの腸管出血性大腸菌は腸管内にいて、内臓を取り扱う過程でレバーに付着するものだと考えられていたのですが、腸管出血性大腸菌がレバー「内部」に入り込んでいることが確認されたのですね。

以前、私がこのブログで書いたように、腸管というのは「体の外部」であって、腸管に開く胆管の中も外部空間に開いているのであって、肝臓の「内部」といっても、胆管の始まりの部分は「体外」なんですよね。

体外の細菌が尿道に上がると、尿道炎、膀胱炎を起こしますが、外部空間とつながっているのですから当然と言えます。
同じことが肝臓についてもいえるのですね。
腸管内の細菌が、胆管をさかのぼって、肝臓の中に入ることができるようなのです。
屠殺直後に腸の内容物が圧力の関係か何かで肝臓内に入るのかな、とも思っていましたが。

★こんな記事もあったのです。

肥満の肝臓、細菌に過剰反応 肝炎の治療法開発に期待(朝日新聞 2012年7月5日)
 肥満によって慢性肝炎が発症する仕組みを、横浜市立大の中島教授(消化器内科)らがマウスの実験で見つけた。太っていると、肝臓の細胞が、ごくわずかな細菌の毒素にも過敏に反応し、炎症を起こしていた。お酒を飲まないのに運動不足などで脂肪肝や肝炎になる人は増えており、治療への応用が期待される。
 肥満の肝炎では、腸内細菌による影響が指摘されていた。チームの今城さんらは、肥満だと、わずかな細菌の毒素に肝臓が過敏に反応して、肝炎になっていると考えた。
 ・・・(後略)

プレス発表資料によると

健康な肝臓では腸内から侵入してくるごくわずかの細菌毒素に関しては無反応で炎症をおこすことはないが、肥満状態では脂肪組織からホルモンの一 種であるレプチンが多量に分泌され、肝臓のクッパー細胞(Kupffer細胞)上に転写因子の一種STAT3活性化を介して細菌内毒素 (endotoxin)の共受容体CD14の発現を亢進させます。この結果肥満状態では通常は炎症をおこさないごくわずかの細菌毒素に対してCD14によ り過剰反応をきたしKupffer細胞は活性して炎症性サイトカインを産生し肝炎を発症することを明らかにしました。

腸内細菌がわずかに肝臓に進入しても通常の人は病気にならないが、肥満の人は過剰反応を起こして慢性肝炎、肝硬変、肝臓がんになりやすいのですね。
人が生きている状態で、肝臓に腸から細菌が侵入することがあるのですね。

同じ哺乳類ですもの、屠殺前の牛でも細菌が肝臓に侵入することは充分あり得るでしょう。

刺身とか、生牡蠣とか、衛生管理で食中毒を防げるものもあります。
ふぐ刺しのように、有毒部位を完全に除去すれば大丈夫なものもあります。

でも、牛の生レバはそれらとは質的に違うんですね。
おそらく生きている時から、そして屠殺後にも、腸から肝臓内へ腸管出血性大腸菌が侵入している。

ですから、新鮮であればいいとか、衛生的な取扱いをして表面が清浄であればいいとはいえないのです。汚染部位を取り除けばいいかというと肝臓全部がなくなっちゃう。
やっぱりダメなんですよ。

「牛の約1割が腸管出血性大腸菌を保菌している」そうです。牛自身はそれで病気にはならない。ところがヒトにはかなり危険な食中毒になってしまうのです。死者も出ます。
感染が2次的に広がる危険性もあります。
自己責任では済まないですね。

熱して食べましょう。美味しい調理法を作り出せばいいじゃないですか。

加熱は内部全体を63度で30分以上か75度で1分以上が目安。

これは守りましょうよ。

「うちのは新鮮だよ」。東京都内の焼き肉店の店主は不満そうだ。信頼する卸業者から直接仕入れ、調理器具の衛生管理も徹底してきたという。「自信を持って生で出せるメニューであることに変わりはないのにね。もどかしいですよ」

事態を正確に理解していないですね、この店主。悲しいです。質的に違うレベルなのに。

牛がダメなら豚はどうだ。という方もいるとか。
豚はもともとだめです。
日本のシカ、イノシシ、ブタにE型肝炎ウイルスが存在するということは聞き及んでいます。
E型肝炎ウイルスははじめから豚の肝臓や血液の中にいますので「新鮮だから大丈夫」とは言えませんので、十分加熱してください。

馬についての知見は私にはありませんが、馬刺しくらいにしておいてください。
肝臓は同じような危険があるんじゃないでしょうか。

改めて、非専門家ですが、敢えて解説しました。

★以前に私が書いた記事です。
http://yamada-kuebiko.cocolog-nifty.com/blog/2011/12/post-ed3a.html
2011年12月19日 (月) 牛レバー内にO157

http://yamada-kuebiko.cocolog-nifty.com/blog/2011/07/post-78c6.html
2011年7月12日 (火) 牛生レバー

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