« フウセンカズラ | トップページ | 白い雲のような気体 »

2012年7月31日 (火)

不気味の谷

★「桂米朝さんのアンドロイド」という記事がありました。

人間国宝ロボが一席 「米朝アンドロイド」お披露目(朝日新聞 2012年7月24日)
 人間国宝の落語家、桂米朝さん生き写しの「米朝アンドロイド」が23日、大阪市の劇場でお披露目され、高座で落語まで演じてみせた。
 9年前に撮った写真がモデル。米朝さんの映像をまねた長男桂米団治さんの動きをコンピューターで読み取り、再現した。50代に語った小噺の音源に合わせて動く。大阪大学の石黒浩教授の協力で、劇場運営会社が開発した。お披露目には本人も登場。アンドロイドをまじまじと見つめた米朝さんは「部分部分を見たら、確かによう似てるね」と感心しつつ、笑みを浮かべて「嫌やな」。

これを読んでいて、「不気味の谷」というのを思い出しましたのでご紹介します。

赤ちゃん:「半分お母さん」はイヤ 日本の研究チーム発見(毎日新聞 2012年06月13日 11時21分)

 ママと微妙に違う顔は不気味? 赤ちゃんは、母親と他人の映像はじっと見つめるのに、母親と他人の顔を合成したコンピューターグラフィックスの映像は避けようとする傾向があることを、科学技術振興機構の松田佳尚研究員ら東京大、京都大、理化学研究所などのチームが実験で見つけた。生後間もないヒトが周囲の仲間をどう認識し始めるかの一端を示す成果で、13日発行の英科学誌「バイオロジー・レターズ」電子版に掲載された。
 松田さんらは生後7〜12カ月の赤ちゃん51人を月齢によって3グループに分け、それぞれの赤ちゃんの(1)母親(2)他人の女性(3)両者の顔を合成した「半分お母さん」---がほほ笑む映像を10秒間ずつ見せた。赤ちゃんがそれぞれの映像を何秒間見つめるかを計ったところ、生後7〜8カ月児は3種類を同程度の時間見つめていたが、9〜10カ月児で「半分お母さん」を見つめる時間が短くなった。11〜12カ月児では「母親」を見つめる時間に比べて「他人」の映像は90%程度、「半分お母さん」は75%程度に縮まった。理由を推測するため大人10人に同様の実験をしたところ、8人が「半分お母さん」の映像に「不気味さを感じた」と答えた。
 ヒト型ロボットが中途半端に人間に似ると嫌悪感を感じる「不気味の谷」現象が知られているが、松田さんは「ロボットだけでなく、近しい人への親近感と他人の目新しさの間にも『不気味の谷』がある。赤ちゃんは生後間もない段階で、自分にとって大切な人のイメージを獲得しており、(中途半端に似た顔で)予測を裏切られることに気持ち悪さを感じるのだろう」と分析する。【斎藤広子】

  不気味の谷 森政弘・東工大名誉教授が提唱した概念。ロボットへの好感度は、外見や動作が人間らしくなるほど増すが、ある時点で強烈な不快感に転じ、人と見分けがつかない水準にまで似ると再び好感に戻る。森名誉教授は、中途半端に人間に似たロボットが嫌悪感をもたれる現象を「不気味の谷」と名付けた。

サイエンスポータルニュース
2012年6月13日 赤ちゃんが示す『不気味の谷』現象を発見
 顔の50%がお母さん、50%が他人の女性という合成映像に対して、赤ちゃんは生後9カ月ごろから嫌悪するような「不気味の谷」現象が現れることが、東京大学大学院総合文化研究科の岡ノ谷一夫教授や理化学研究所の松田佳尚研究員、京都大学大学院教育学研究科の明和政子准教授らが発見した。赤ちゃんの認知能力は、「好き」といったポジティブ感情だけでなく「不気味」や「嫌悪」といったネガティブ感情によっても支えられていることが分かったという。13日付けの英国王立協会科学誌「Biology Letters」(オンライン版)に発表した。
 「不気味の谷」現象は、ロボット工学者の森政弘・東京工業大学名誉教授(85歳)が、1970年に提唱した仮説だ。ロボットの概観や動作が人間らしくなるにつれて、人間は好感や共感を覚えるが、ある時点で突然の強い嫌悪感に変わる。さらにそれ以上にロボットが人間らしくなると、人間は再び好感を持ち親近感を覚えるようになる。ロボットの人間への類似度を横軸に、人間の感情的反応を縦軸に取ってグラフを描くと、突然に嫌悪感が起きた部分だけが、ちょうど谷間のように凹んで表わされることから「不気味の谷」と名付けた。
(後略)

★米朝さんの場合は、自分に似ているロボットなので、「谷」ではなく、「似れば似るほど気分悪い」でしょう。ものすごく若い頃の自分ならまだしも、かな。あるいは、別の落語家に似たロボットが自分の噺を演じて見せて、「なかなかやるもんだ」ならまだいいんでしょうね。

日本のロボットは「鉄腕アトム」の影響もあってか「人型」も多いですよね。
妙に似すぎるのは気持ち悪いでしょう。適当に「抽象的」な方がいいと私も思います。
アシモ、ムラタセイコちゃん、ムラタセイサクくん、エボルタくん、などなどは可愛いと思っていますけど。

赤ちゃんは、生後半年から1年くらいの頃に、遅かれ早かれ「人見知り」をしますよね。
「おばあちゃんの知恵」の伝達がないと、初めての子育てのお母さんは不安になるようです。
おばあちゃんがそばにいれば、まあおかあさんと違う顔がちゃんと分かるようになったのねぇ、すごいわねぇ、どんどん知恵がついて来たのよ、などと人見知りなどごく当たり前のこととして励ましてもらえるんですけどね。

そう、認識力、識別力が強くなるんです。
おかあさんに似てるんだけどやっぱり違う顔、なんて嫌ですよね。
「赤ちゃんが示す『不気味の谷』現象」っていってますけど、ある意味では、昔から知られていることですよ。そして、赤ちゃんは無力で無能力なのではなく、成長中の「個人」なんです。親の思う通りになるわけじゃなし。自力で成長していくんです。親はそばにいていつも声をかけてあげて、コミュニケーションは必ず成立するんだという安心感のもとで、心の発達を支えてあげましょう。

« フウセンカズラ | トップページ | 白い雲のような気体 »

理科おじさん」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 不気味の谷:

« フウセンカズラ | トップページ | 白い雲のような気体 »

2021年5月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          
サイト内検索
ココログ最強検索 by 暴想
無料ブログはココログ