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2012年7月30日 (月)

世界最軽量の炭素素材

★また悩んでます。悩めるじいさんだな。
こんな記事がありました。

世界最軽量の炭素素材開発 ドイツチーム(朝日新聞 2012年7月20日)
 「世界最軽量」の炭素素材の開発にドイツ・キール大などのチームが成功し、17日に発表した。発泡スチロールの75分の1という軽さだが、圧縮や引っ張りに対して強い。電気を通す性質もあり、電気自動車などに使われる電池や人工衛星の部品の軽量化などに役立ちそうだという。
 この素材は、穴だらけの炭素の筒が集まった構造をしている。密度は1立方センチあたり0.2ミリグラムで、現在最も軽いとされているニッケル合金(同0.85ミリグラム)の4分の1。その軽さから「エアログラファイト(空気のような黒鉛といった意味)」と呼ばれている。

【 2012年7月20日 世界最軽量の炭素素材を開発 】(サイエンスポータル編集ニュース)
 ドイツのキール大学やハンブルク工科大学のチームは18日、空気密度よりも軽い世界最軽量の炭素素材を開発したことを、ホームページで明らかにした。
 新素材は三次元ネットワーク炭素構造の検索によって見つけたもので、多孔質の細かい網構造をしている。密度は1立方センチメートル当たり0.2 ミリグラムと、空気(1気圧、20℃の場合)の密度約1.2ミリグラムよりも小さく、これまで最軽量とされたニッケル素材の4分の1ほどの軽さだ。さらに、発泡スチロールの75分の1の軽さながら、95%に圧縮されても元に戻るなど、まるでスポンジのように圧縮や引っ張りに強く、導電性にも優れるという。
 “空気のような黒鉛(グラファイト)”の意味から「エアロ・グラファイト」と名付けられた新素材は、ナノウォールやマイクロチューブとしての加工も可能で、電気自動車のリチウム電池や航空機、人工衛星などの軽量化などに役立つかもしれないという。

空気の仮想分子量は28.8ですので
0℃、1気圧で1molの空気は22.4Lとすると
空気の密度は約1.18g/L=1.18mg/cm^3
まあ、1.2mg/cm^3でいいですね。

★私の悩みは「エアログラファイトの密度」ってなんなのだろう?という疑問です。

ごく普通の物質なら

物質の密度がその周囲の流体の密度より小さい場合、物体に働く重力より流体から受ける浮力が勝る

つまり「浮く」んですよね。ヘリウム風船みたいに。

でも、エアログラファイトは、すっかすかに多孔質なんだから、空気中では空気が自由に中に入るんでしょ。だから、ヘリウム風船みたいに浮かび上がっていくわけじゃないですよね。

蒲団の綿とか縁日の綿菓子をイメージして下さい。
綿や綿菓子の全体の体積、というのはあいまいさがあるんですけど、綿菓子をいれたポリ袋の体積が綿菓子の体積(V)としましょう。で、そのポリ袋の中の綿菓子を作っている砂糖の質量が綿菓子の質量です(m)。
そうすると、「m/V」という密度が求まります。日常用語では「密度」より「比重」の方がなじみ深いかな。大差ないということにしておきましょう。

「かさ比重」と「真比重」という言葉があるようなのです。
物理用語じゃないですね。工業用語になるのかな。
上でm/Vとして求まる数値は「かさ比重」です。
{「みかけの比重」でもいいのかな。意味合いとしては}

砂糖(ショ糖)の結晶である「氷砂糖」の比重(密度)は約1.59です。
この比重は「真比重」とですね。

どうも、理科屋は比重より密度の方が気分が落ち着きますので、私の造語として「かさ密度」と「真密度」ということにします。

密度は1立方センチメートル当たり0.2 ミリグラムと、空気(1気圧、20℃の場合)の密度約1.2ミリグラムよりも小さく・・・

上の記事にあったこの表現は

(このエアログラファイトの)「かさ密度」は0.2mg・cm^3と、空気の「真密度」1.2mg/cm^3よりもちいさく・・・

こういうことですね。

ここまで考え至るのにずいぶん回り道をしてしまいました。
エアログラファイトを作っている炭素素材の「真密度」を知りたいものです。
概念をきちんと定義して使わないと、コミュニケーションが成立しません。
科学記事なんだから、そのあたりはちゃんとしてほしいなぁ。

★エアログラファイトの「かさ密度」は0.2mg/cm^3、という数値をちょっといじってみましょう。
0.2mg/1cm^3=0.2g/1L=1g/5L

1円玉1枚は1gです。ですから、1円玉1枚を作っているアルミニウムを超極細繊維の「綿」にして体積が5Lくらいになれば、エアログラファイトと同じくらいになりますね。(エアロアルミニウムかな。)

ダイヤモンドでいうと、5カラットで1gですから、5カラットのダイヤを作っている炭素原子を線維にして5Lの「エアロダイヤ」がつくれたら「エアログラファイト」と同じになるんだな。

★ついでに文句をもう一つ。
「軽さ」という物理概念はないよなぁ。
「重さ」が小さい、のですよね。
「軽さ」なんていいだしたら、アリストテレス物理になっちゃうじゃないですか。
質量と密度もごちゃごちゃにしてるし。

★さらについでに、気にしている言葉
「薄さ」という言葉も、実は変。
時計の薄さ、とかね、いうでしょ。
あるのは厚さ・厚みです。
厚さの値が小さいことを「薄い」と形容するのであって、「薄さ」というのは変だよなぁ。

年とって、どんどんうるさい爺さんになってきたぞ。

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